【感想】私は女になりたい


窪美澄さんの「私は女になりたい」を読みました。気付いたら一晩で一気読みしていた程、物語に引きずり込まれてしまいました。

興奮が冷めないうちに感想を書きます。


窪美澄さんの作品は「ふがいない僕は空を見た」から始まり、「晴天の迷いくじら」や「やめるときも、すこやかなるときも」など、好きな作品ばかりです。


どれもテンポ良く進むため一気読みしてしまうイメージですが、一方で、テーマは暗く重い作品が多いと感じます。
ですが最後はハッピーエンドで終わる事が多く、読後感は爽やかな事も多いです。



今回の「私は女になりたい」も決して明るいテーマではありません。

47歳のバツイチ子持ちの女医が主人公であり、子育てと介護を抱えています。
経済的に頼れる人はおらず、自分の力で子供の学費と母の介護施設費を稼がなくてはなりません。


自由には生きれず、母として、娘として、医師として責任を背負って生きています。

そんな彼女が14歳年下の男性と恋をするお話です。


周りからは応援されず、主人公自身も彼との歳の差を気にせずにはいられず葛藤する場面も多いですが、私は、この作品を読んで真っ先に

「恋をするってなんて素敵な事なんだろう」

と思いました。


窪美澄さんの描く、大人の恋人同士のやり取りがとても甘く読んでいてうっとりしてしまいました。


女性としてではなく母として生きてきた主人公が、彼との出会いによって女性に戻されていきます。

好きな人のためにご飯を作りたい、疲れていても彼の顔を見たい、彼と過ごした時間を思い出してうっとりする、、、そんな女子高生のような淡い気持ちを主人公が思い出すのです。


何歳になっても、「私は女になりたいと」思うことは自然な事であり、許されるべき純粋な感情であることを教えてくれます。


日々、仕事に、子育てに、追われて忙しい女性にオススメしたい一冊です。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?