ロクシタン

なぜロクシタンの広告には、モデルが出てこないのか

そういえば広告会社の人間だったので、たまには広告っぽい観点の話を書いてみます。(現業ではまじで広告作ってないんですがw)

表題の件、ロクシタンの中では明確にルール化されていて、絶対に女優とかモデルとかが広告に出てこない。化粧品業界の常とう手段と照らしてもこれは超異例の戦法。なぜか?それは安易にモデルだすと、人によっては「あーこれは私向けのブランドじゃないわ」と感じて、お客様の幅を狭めちゃうから。ロクシタンが届けたいメッセージは「〇〇代女性向けのブランドです」という機能ではなくて、「南仏プロバンスの自然と人の豊かな営みをあなたに」というストーリーであり価値のほうなわけです。

ですが、モデル使うのだってちゃんとメリットがあってそれは「あーこれ私向けだ!」を作るってことですよね。それを放棄しちゃって、戦えるのか?と。そこでロクシタンがやったのが「ギフト作戦」と「アメニティ作戦」。ギフト作戦とは、プレゼントに最適な少量多種類のアソートパックを作ったことで、ほら、ロクシタン初体験が友達からもらった!って人は少なくないはず。要するに「モデルなんか使わなくても実ユーザーが手渡ししてくれる」状態を作れればイメージなんか作らなくても実像が動いてくれるってわけです。「アメニティ作戦」も近いんですが、高級なホテルのアメニティに導入してもらいまくって、これも家に持って帰らせるためです。しかもいいホテルなので、変な人は泊まらないから、持って帰らせる相手も”ロクシタンにとっていい感じの実像”になってる。

イメージよりも実像に働いてもらう、っていうのはブランドの観点からするといかにも「コミュニティ的」だなと思いました。知らないモデルより知ってる友達が利く時代。インスタってそういうことですよね。

あと「想像力の余白を残す」っていうのは、小説原作の映画にがっかりされる話にも通じるなあと。絵で示しきることが必ずしもいいとは限らない。絵は、各人の想像力や境遇にゆだねるっていう意味でも改めて思い出したロクシタンの小話でした。

#コンテンツ会議

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

サポートありがとうございます! 今後の記事への要望や「こんなの書いて!」などあればコメント欄で教えていただけると幸いです!