ガタカ

23. 「未来が正しく怖くなる」映画 TOP3

ガタカ

1997年公開
監督 : アンドリュー・ニコル

出生前の遺伝子操作が当たり前になっている近未来で、”自然”に生まれた主人公の「才能」と「意志」のお話。シンプルながら重たいテーマを、簡潔ながらメタファーをちりばめた描写で伝えた一作。”意志”は”才能”を勝ることができる、想いを実現することができるという、強いメッセージを感じます。なぜ最後にユージーンは自ら命を絶ったのか。彼に生きる意志がなくなってしまったということか。あの行為が彼の意志ということか。遺伝子のメタファーである螺旋階段を這い登る彼の姿が、あまりに哀しく象徴的。出演者全員がどこか無機質で機械的な表情を浮かべていることが、テーマをより浮き立たせている。

2001年宇宙の旅

1968年公開
監督 : スタンリー・キューブリック

宇宙に存在する謎の石板と、それによる人類の進化と知のお話。って説明しても意味わからんと思いますが、これが1968年の作品っていうのが、やっぱり古典を知るべきだなと思いました。エヴァ的でもあり、ノーラン的でもあり、星新一的でもあり、おそらくいろんな後世の作品に影響を与えたであろう各シーンの描写・設定と、それなのに決してこの作品自体が「踏み台」にとどまらない美しい映像になっているということ。

しかしHAL9000の存在感。狂気の描き方の新しい形を見た気がします。映画史的には、新しくないはずなのに。個人的に。

ブレードランナー

1982年公開
監督 : リドリー・スコット

2019年、荒廃した地球に脱走した人造人間「レプリカント」と、彼を追う捜査官「ブレードランナー」の邂逅のお話。1982年当時から見た37年後に未来予想図なワケですが、街中にサイネージ広告が溢れ、飛行船広告が飛ぶ。未来描写の先見性が素晴らしいです。画的にはかなり陰鬱で暗い感じで、メッセージ性は濃くて、重い作品。ぱーっと楽しめるもんじゃないけど。レプリカントが、ただただ哀しい。


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未来って、基本的に怖いですよね、って書きながら自分が未来を信じられていないということを自覚して悲しくなりましたがw ただ、単にディストピアというか、滅亡しかかった未来みたいなものは、あんまり好きじゃないというか、あんまりテクニックいらないと思うんです。そこにどれだけ、本来人が望んでやまなかったはずの未来への夢と希望が垣間見えて、それゆえに危険をはらんでいるということを示唆しているのか。選んだ映画にはそんな思いを感じて選びました。欲の怖さと危うさと・・・ そんなセレクションでした。

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