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鯉の背に乗って (先日みた夢のはなし)

こんな夢を見た。

川が流れている。川幅は広くないが水はとても澄んでおり対岸には草花が豊かに茂っているのが見える。美しく、可愛らしい印象もある風景。

川の対岸へと渡るための踏み石が並べられており、その石が川を横断する形でまっすぐ伸びている。私はその石橋を渡る。石の高さがなく石部分が水面に届いていないため、渡る時足首が水に浸かる。川の水が大変心地よい。川の中央を抜けたあたりから川が予想以上に深くなり、踏み石も川の中に埋もれ、脚の太腿まで浸かって歩いた。対岸に着くと太腿までびっしょり濡れていて着ていたワンピースも濡れた。しかし、それも心地いい。また渡って脚が濡れる感触を味わいたいなと思った。

1匹の鯉が川の上流に向かって泳いでいる。一般的な鯉より大きく、綺麗なクリーム色をして艶々している。まだ子どもの鯉だと直感でわかる。この子の背中にサーフィンのような形で乗っている。私が乗って重くないかな大丈夫かなと思う。
今度はその鯉よりさらに大きいがっしりした鯉が現れたためその鯉に飛び移る。この鯉は先ほどの子どもの鯉の成長した姿だなとまた直感でわかる。大きくなった分安定した乗り心地になる。どっしりして美しい鯉だ。

またさらに大きな鯉が現れたのでまたそちらに飛び移る。その鯉もまた成長した姿だろう。しかしその鯉は私が飛び移るやいなや、岸に向かって力一杯跳び上がった。私も一緒に岸へ跳んでいって呆然とする。岸には当然水がなくそこでは鯉は生きられないが、その鯉は自分の意志で岸に上がった。おそらく先代の鯉から続く風習でここが鯉の死に場所なのだと、これが鯉の人生の道のりなのだと直感するが、その鯉はまだ立派な鯉であったため、なんとも言えない気持ちになる。
跳んだ鯉はやはり水がなくてバタバタとしている。私が周りを見渡すと、1匹の鯉の死骸が見つかった。この鯉もとても大きく立派な鯉だ。狩りの途中で亡くなったようで口に小魚(と言ってもその鯉より小さいだけで、実際は大きい)を咥えたまま死骸となっている。狩りの途中に亡くなったこともあり、その死骸には躍動感や生命力が漲っている。死ぬその寸前まで生きてやるという気迫があり、それが死骸となった今でも滲み出ている。私はその力強さを魅せられ、しばらくこの死骸から目が離せなかった。

おわり。


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