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【3】step13 本当は、何がしたい(ジョブ)のだろう?

この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。

■ 主な登場人物

爽太(SOUTA):物語の主人公。高校2年生。どこにでもいる普通の高校生(と本人は思っている)。社交的で素直。姉が1人いる。

健人(KENTO):爽太の友人。まわりから物知りだと知られている、穏やかな青年。経営者の父と大学院に行きながら起業した兄を持つビジネス一家で育つ。


■ 前回までの配信



第3章 「やりがい」をみつける
自分たちが没頭できるやりがいをみつけてみよう!


Step13:本当は、何がしたい(ジョブ)のだろう?


次の日、朝起きると健人からLINEが入っていた。

健人『爽太、今日僕の家に来れる?今朝、爽太とやってることについて、昨日までの話をうちの父さんに話したんだ。そしたら 今日よかったら一緒に考えようって。』

爽太『えーっ!町の小さかった会社を大きくしたって有名な経営者の健人のパパさんに!?それはなんと贅沢な…。うん、わかった!すぐ行くよ。』

ーーー健人の家ーーー

源人「いらっしゃい、爽太くん。久しぶりだね。君たち、面白いことをやってるじゃないか。」


爽太「お久しぶりです。そうなんです!というか、些細なきっかけから、いつのまにかつい夢中になっちゃって…。でもここからどうしていけばいいのか、あんまりよくわかっていないんですけどね。」

源人「いやいや、高校生でここまで進められるのはすごくいいことだよ。何より楽しんでやっているのがいいね!何事も楽しくなくちゃね。健人に話を聞いたけど、ちょうど今のタイミングでは『ジョブ』というものを検討して、『インサイト』と『ジョブ』を決定できると良さそうだね。実際に大人になってビジネスをしていても、多くの人がこの辺りでつまづくんだ。」

源人パパがリビングにあるホワイトボードに「ジョブ」「インサイト」とペンで書いた。爽太はこの家には、会社や学校にあるようなものがなんでもあるのだと驚いた。

源人「ジョブ理論については、あとで少し詳しく解説しよう。要するにジョブ理論とは顧客が「なぜ」製品やサービスを購入するのかを理解するということ、ここで言えば『なぜお客さんはミックスジュースを買うのか?』を理解するってことだね。2人はなぜお客さん…言い換えると『ユーザー』はミックスジュースを買うのだと思うかな?」

爽太「健康的な飲み物が飲みたい、という動機があるんだと思います。でもそれが駅前のジュース屋さんでは、実は提供できていない可能性があると思っているんです。そこで僕たちが提供をしたいと思っているのは…。」

源人「はい、爽太くん、そこでストップ。動機について考えられてるのはいいね!つい、私たちは ここからすぐ、自分たちはどうしたいかを考えたくなりがちなんだけど、それはもう少しあとの話。今は、ユーザーがどうして、何を欲しているのかに集中したい。健人、他にはどうかな?特に感情の観点ではどうだろう?」

健人「そうだな〜。実は表層的な『フレッシュ』というアピールには騙されたくない、というか安易な健康には騙されないぞ、という懐疑心とか不安とかはあるんじゃないかなぁ。」

源人「なるほど。いい視点だね。爽太くん、なんとなく『ほんもの』を欲している人たちが社会的にこう見られたいポイントってあるだろうか?これ、難しい質問なんだけどね。」

爽太「”社会的にこう見られたい”…難しいですね。こだわりを持って生きている、とか、本当に自分にとって大切なものを確かめながら身体に取り入れている、ってことそのもの、その姿を社会からみられたいとかあるんじゃないでしょうかね。」

源人「2人とも、とってもいい感度でユーザーをみているね。感心したよ!今まで聞いた話をまとめるとこんな感じかな。」

機能的ジョブ:健康的な飲み物を飲みたい、詳しく書くと、無添加、砂糖なし(または白砂糖以外を少々)、ビタミン豊富、バランス、抗酸化作用。それでいて、美味しい飲み物が欲しい。品質に見合った価格がいい(安くても、高すぎても嫌だ)。

感情的ジョブ:「フレッシュ」ってアピールは怪しいので近づきたくない。一般的で「安易な健康」というものには騙されたくない。健康に関しては、信頼している人の「これいいよ」が欲しい。 オンラインや広告の情報を信じてなくて鵜呑みにしたくない。 

社会的ジョブ:本当にいいものを少し高くても選んで買う集団の一員である。 こだわりをもって良いものを体に取り入れる人たちである。

爽太「こうやって、3つの観点で、『要するにユーザーは自分の生活で何を欲しているのか』ってことを探るのがジョブ理論ってやつなんですね。難しいけど、なんか本質に近いている!って感じがしますね!!」


【コラム】ジョブって何? 私たちの生活をどう支えるか

ジョブ理論と呼ばれる考え方があります。これは、クレイトン・クリステンセン教授が考えた理論です。クリステンセン教授は「イノベーションのジレンマ」という世界でとても有名になった現象を研究していた人ですが、晩年はこのジョブ理論を熱心に提言していました。

ここではジョブ理論を出来るだけシンプルに解説してみます。

・ジョブ理論って何?
ジョブ理論は、ユーザーの「欲するもの」を深く理解し、新しいことを生み出すための開発に活かすための画期的な理論です。私たちが何故特定の製品やサービスを選ぶのかを理解するための考え方です。私たちの生活の中で、提供されている製品やサービスはどんな役割を果たしているかを見るための方法とも言えます。

「ジョブ」とは、ニーズとは違い、私たちが何かを買う時に、それを使って「達成したいこと」や「解決したい大元の困りごと」のこと。消費者が特定の状況で達成しようとする進歩とも言われます。
この理論を使うと、ただ物を買う理由だけでなく、その背後にある本当の理由、本当の目的を知ることができます。

・3つのジョブ
ジョブには3つの側面があると言われています。機能、感情、社会です。それぞれを見ていきます。

機能的ジョブ:物事を実際に行うために製品やサービスを使うこと。たとえば、スマホの地図アプリは「単に場所を示す」という機能の提供だけでなく、「迷わず目的地に到達する」という「機能的ジョブ」を果たします。これが機能と機能的ジョブの違いです。このように、機能的ジョブは私たちが日々の活動で直面する具体的な問題を解決するために製品を使うことを指します。

 ■ 感情的ジョブ:私たちの気持ちや感情に関係する理由で物を選ぶこと。例えば、高級チョコレートは、「ただ甘い味の食べ物」を提供するのではなく、「特別な気分になりたい」という感情的ジョブを満たします。食べる人がチョコレートに求める「感情的な満足や経験」を理解することができます。このように感情的ジョブは私たちの感情的な願いを満たす可能性を探ります。
 ■ 社会的ジョブ:周りの人との関係や社会的な立場に影響するために製品やサービスを使うこと。例えば、環境に優しい製品を選ぶことは、「環境意識が高い」という社会的イメージを持ちたいという社会的ジョブを反映しています。社会的ジョブは、私たちが自分の属するグループや社会での役割や立場を考えて物を選ぶ時に重要です。
ジョブ理論は単に製品の機能を超えて、消費者が製品やサービスを利用する深層の動機を理解するための強力なツールです。ジョブ理論を使うと、私たちがなぜある製品を選んだのか、その深い理由を理解することができます。これは、ただ物を買うこと以上の意味を持ち、私たちの日常生活や心理に大きく関わっています。皆さんも、この理論を通じて、自分たちの周りにある物の本当の価値を見つけるきっかけにしてみてください。


ーこのステップのポイントー
・ジョブとは、「特定の製品やサービスを選ぶ」理由を理解するための考え方です。私たちの生活の中で、提供されている製品やサービスはどんな役割を果たしているかを見るための方法とも言えます。機能、感情、社会の3つの側面で検討します。
・ジョブはインサイト同様、ユーザーにとっての「かけがえのなさ」を生みます。このかけがえのない価値を作れると相手が「それでなければならない」と感じる要素が強くなるため新しいことをはじめる意味が生まれます。
・ジョブを見つけることが出来ると、どうやってそれを提供するのか?を考えるべきだと思えます。ですので、まずはユーザーのジョブは何なのかを早期に検証することをしましょう。
・サービスを検討する際、とかく「自分たちはどうしたいか」から考えたくなりますが、ユーザーがどうして、何を欲しているのかに集中しましょう。

ー考えてみようー
・自分の人生上、何かを進めようと思うがそれを解決する方法がなかった経験はありますか?それはどんな時だったでしょうか?考えてみましょう。
・誰かが提案している解決策を聞いた際にもっと違う方法があるかもしれないと思ったことがありますか?それはどんな解決方法だったでしょうか?
・機能的な快適さだけではなく、感情的にすごく共感したり、第三者や社会的に見られたいものに惹かれて商品を選んだことはありますか?それは何だったでしょうか?
・世の中で売れている製品やサービスが売れている理由を分析したことはありますか?それは一体、どんなものだったのでしょうか?


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■ リリース・インタビュー

・マホラ・クリエイティブ社、創業機運醸成のための「創業支援コミュニティ活性のための成熟度チャート」、全国地域行脚を元に発表。

・浜松市で開催されているアクセラレーションプログラム

・日本が世界でもう一度輝くためにデザイン型人材を


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