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【6】step23 評価してソリューションを1つに決める

この話は、ささいなキッカケから、「新しいこと」をはじめることになった高校生の2人組が、経営者や起業家、ユーザーの声をききながら、サービスをつくりあげていく物語です。

■ 主な登場人物

爽太(SOUTA):物語の主人公。高校2年生。どこにでもいる普通の高校生(と本人は思っている)。社交的で素直。姉が1人いる。

健人(KENTO):爽太の友人。まわりから物知りだと知られている、穏やかな青年。経営者の父と大学院に行きながら起業した兄を持つビジネス一家で育つ。


■ 前回までの配信

第6章  「みえる形」にする
「かけがえのない」をつくってみよう

step23 評価してソリューションを1つに決める


蓮人「おぉ〜どのソリューションもいい感じだね。」

別の打ち合わせがあってしばらく場を離れていた蓮人が戻ってきた。会社の代表らしくやっぱり忙しそうだ。ボードを見ながら手を叩いて言った。

爽太「本当に!どれもすごくいいソリューションです。でも僕たちが試してみれるのは1つかなと思うと・・。せっかく3つ作ったソリューションだけどいいところどり?するのかなぁと」

蓮人「あー、混ぜるってこと?そうだね。せっかく3つの良さを際立たせたアイデアだから混ぜない方がいいね。ここからは、最終的に2人がどんなソリューションを試してみるのかを、評価するという段階に入っていくよ。『クライテリア』というのを設けて考えるんだ。」

健人「クライテリア?またカタカナだ!」

蓮人「そう、クライテリア。判断軸ということだよ。庄平、麻貴ちゃん、ありがとう。仕事もあるだろうし、ここからは僕が進めるよ。」

麻貴「ごめん!そうだねそろそろ仕事に戻らないとお客さんに怒られちゃうわ(笑)」

庄平「僕はちょうど大きな報告をあるお客さんに終えたところなんだ。せっかくここまできたら面白そうだから一緒にやるよ。」

麻貴はぺろっと舌をだしながらごめん!と手を合わせた。
そうして、麻貴が部屋を出ようとすると、ジョンがもどってきた。

ジョン「Hey guys! 戻ってきたよ。こんなにエキサイティングなミーティングには参加しないとね。」

蓮人「ジョン!庄平!嬉しいね。じゃ、ここも庄平に任せるよ。ジョン、一緒にクライテリアを考えよう。」

庄平「了解。」

ジョン「Oh~。Criteria Matrix ね。Sounds nice(いいね〜)!」

ジョンが張り切ってミーティングに参加しようとしたあと、突然、会議室のドアがもう一度空いた。そして、また別の人が入ってきた。

臼田「ここで面白いことをやってるって麻貴さんに聞きましてね。」

庄平「臼田くん!いいところに来たね。ちょうど今、製品のための検討をしている段階にきているところだよ。」

臼田「面白そうなんで、私もぜひ参加させてください。」

庄平は新しいホワイトボードになにやら枠を書いて表を作っていった。

庄平「ここからは、さっき蓮人が言ってたけど どんな基準でソリューションを決定するか?という決め方について考えていくよ。」

健人「面白いですね。決めるための決め方を考えていくんだ!」

庄平「そうそう。健人くん、なかなかいい勘しているね。君が言う通り、たとえば、今回のテーマだと”廃棄ロスが沢山出ない形にできるか?”なんていうのも、大切な判断軸になりそうだよね。」

爽太「あ〜なるほど。確実に売れるのか?みたいなところも入りますか?」

蓮人「お!爽太くん、そうだね。それもいい判断軸だね。

ジョン「Impact! インパクトはあるか?も気にしたいね。」

臼田「ビジネスで儲かるかどうかも大事な観点です。」

アイディエーションが始まってから、かれこれもう2時間も経っていたが、いつのまにかみんなとの距離が近づいていて、話し合いも気になるところを躊躇なく指摘したり、議論したりできる関係になっていて、爽太は小さく感動していた。これがチームで仕事をするってことなんだ!

・ロスが少ないかどうか
・作った数量を売り切れるか
・インパクトがあるか
・ちゃんとビジネスとして儲かるか

の他に

・作って売っていて楽しいか
・今までのミックスジュースとの違いが出せるか?

という、全部で5つのクライテリアができ、庄平が マス目の横軸にすべてのクライテリアを書いていった。
マスを書いていた表の縦軸には先ほどのアイデアをA・B・Cとして置いていった。

庄平「そしたらここから点数をつけていくよ。」

爽太「点数?あー、コンテストみたいにアイデアを評価するのか。」

健人「点数!なるほど、なんかすごく合理的ですね。この前のクラスの決め事は、逆にこういうのなかったからやりたいことの主張合戦みたいになって全然会話が進まなかったよね。学校でも決めかたを工夫して、こうした方がいいんじゃないかなー(笑)。」

ジョン「I see。 わかるよ。これらの判断軸が、全部同じ重要度かというと、そこに違いがあることもあるから、みんなで議論しながら重み付けをして傾斜をかけるのもありなんだよ。」

臼田「点数づけはある意味、直感ですからね。一つ一つ思った点数をつけましょう。」

庄平「その通り。今回はこんな感じでいいかな。よし、表はできたからみんなそれぞれで点数をつけてね。1・2・3・4の4段階。高ければ高いほど高評価、ということで考えていこう」

庄平とジョン、臼田、そして蓮人、健人と爽太がそれぞれ点数をつけていった。
全員の点数を場に出して合計した結果、合計点数が最も高かったのは、アイデアAだった。


ーこのステップのポイントー
・ソリューションを1つに絞るのにその基準(クライテリア)を作り、合理的に判断する方法はあります。
・声の大きなもの、議論の外にある政治的、人事的な力にて意思決定をするのは危なく、リスクがあります。そういうものに左右されずに意思決定をしていきます。
・何かを評価する際は、中点となる5点評価ではなく必ず意見が別れる4点評価がオススメです。


ー考えてみようー
・何かを決定する時に明確な基準がないために揉めたり、なかなか決まらなかった経験はありますか?その時はどうしましたか?
・点数で決める際に、5点満点中3点が横行し結局、点数では決まらなかった経験はあるでしょうか?

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