『THE GUILTY/ギルティ』|毎日映画 Day3

また洋画。こういう時じゃないと洋画観ないから…

昨日とは打って変わってサスペンス(スリラー)もの。


『THE GUILTY/ギルティ』(Den skyldige)

監督・脚本:グスタフ・モーラー。デンマーク映画。2018年公開。

緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、些細な事件に応対する日々が続いていた。そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。彼に与えられた事件解決の手段は”電話”だけ。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い・・・。微かに聞こえる音だけを手がかりに、“見えない”事件を解決することはできるのか―。

公式ウェブサイトより引用)


観たきっかけは、『アナイアレイション』と同じく、感想コラムを読んだこと。好きなものを作る人がおすすめしているものはつい観たくなる。

しかもこの作品自体が非常にキャッチーで、数行の解説だけですぐに観たい気持ちにさせられた。「事件解決のカギは電話の声だけ」「犯人は、音の中に、潜んでいる」「誰も体験したことがない、新感覚サスペンス」と公式サイトのコピーも光りまくってる。こんなん観る一択でしょ。


●会話のみで進む推理小説

基本的に、オペレーターである主人公(警察官)と、電話の相手との会話のみでストーリーが進んでいく。恩田陸『Q&A』なんかを彷彿とさせる構造。会話だけの推理ものって、ミステリのジャンルでありそう。

ASMR並みに音の質が高いから、抑えた音でも臨場感たっぷり。ガンガン盛り上げたり脅かしたりみたいな演出がない分、主人公に近い目線で事件に当たっている気分になれた。イヤホン必須。映画館もドキドキするだろうけど、イヤホンしながら自室で観る閉鎖感、良かった。

そして若干耳慣れない、デンマーク語?の台詞。ドイツ語のような響きがありつつ、英語っぽい単語も聞こえる印象。字幕で見たから耳からの情報は少ないけど、ネイティブだと感じ方が全然違うんだろうな。。
吹き替え版もあるらしい。気になる。タイミングがあれば観たい。


●あとから迫ってくるタイトルの意味

ラストのやりきれなさ、重苦しさの中に見える一抹の清々しさ。。
観終わった後、つい色々考えてしまうような作品だった。

辻褄が少しずつ合ってきて、事実が明らかになるにつれて驚きと苦しさが凄い。が、そこを会話とアスガーの表情のみで描いているところが新鮮だった。映画だけど小説を読んでいるような感覚。(字幕読んでるからかな…)
字幕なしで音だけだとどう感じるんだろう。やっぱり吹き替え観るべきかな。


●周囲の視線

主人公は、電話の相手以外とは作中であまり関わらない。同僚や上司(?)と少し話すくらい。

ただ、じっと主人公を見つめてくる周囲の視線はめちゃめちゃに印象強かった。以前の上司と軽口を叩いていたり、通話中に思い詰めた表情になる主人公を、同僚たちがちらりと見る視線。フォーカスが合ってなくてもじわじわ感じる。主人公の孤立具合が際立っている。

本筋には全く関係ないけど、アスガー(主人公)が壊した備品のことがどうしても気になってしまう…警察署にも総務課みたいなものがあるんだろうか、とか考えてしまう。誰が後処理をするんだろう。わからんが気の毒だ。


現地の人間として観たかった度 ★★★★★


これをネイティブとして観られるデンマークの人、羨ましい。

結構期待高まってたのに、完全に期待通りのものが観られて満足。面白かった。これは人におすすめしたいやつ。

敏腕刑事のお手柄サスペンス、じゃないところが味わい深い。

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