『アナイアレイション ー全滅領域ー』|毎日映画 Day1

一週間、一日一本映画を観てみようという試み。

感想を書くのが面倒になると続かないので、
「観たきっかけ、印象に残ったこと三つ、個人的評価」
に絞って記録していきます。


『アナイアレイション -全滅領域-』(Annihilation)

監督・脚本:アレックス・ガーランド。アメリカ映画。2018年公開。

秘密任務から生還した夫が危篤状態に。最愛の人を救うべく、
生物学者のレナは政府が封鎖した地域へと足を踏み入れる。
その異様な世界で、彼女は一体何を見たのか。

DVD・Blu-ray商品ページより引用)


観ようと思ったきっかけは、「よかった」とおすすめされているコラムを読んだから。美しい恐怖、みたいな紹介ワードに惹かれて、怖いんなら明るいうちに観ちゃおうと八つ時に鑑賞。


●「美しい恐怖」

「異世界」感!
小説だと長々描写しなければいけない異様な光景が、映像だと一瞬で目に飛び込んでくる心地良さ。プリズムのような虹色の光、不思議な生き物、植物、BGMも神経に触るじゃないけど、なんとも嫌~な感じで世界観を作ってくる。
実際に目の前にあったらかなり嫌だけど、映像だと「怖いもの見たさ」をめちゃくちゃ煽られる。めちゃくちゃカラフルな黴みたいなのとか、クローンみたいな鹿(?)とか。観るきっかけになった興味は十分満たされた。満足。

●全員女性の調査団

“エリアX”の調査に赴くのが全員女性、というのが設定としては珍しい気がする。女性しかいない調査団だからこその、繊細な恐怖とか不安定な感情が見えたように感じた。男性だと味わいが全然違う。

とはいえ、ストーリー上では「女性ならではの描写」はほぼ無く、かなりジェンダーレスに描かれている。あえて女性のみで描く、というのが映画全体の「味」に影響しているんじゃないか。関係ないですが女性が全員それぞれに恰好いい。台詞がずっと女性の声だけで進むのも独特で心地よかった。

●自分が自分じゃなくなっていく

後半、どんどん嫌な展開になってくる部分があったけど(一人で観ている特権としてずっと「最悪ーーーーー」と声に出しながら薄眼で見た)、一番共感(?)したのは「自分が自分じゃなくなる」恐怖。

よく『千と千尋の神隠し』で「両親が豚になっている場面が一番怖かった」という話を聞くけど、映画館で観た当時(小学生だった)自分が違う場面で目を覆っちゃうぐらい怖かったところを覚えていて、それが「自分の手のひらが透けていっていることに千尋が気付く場面」だった。その時から、自分の身に何かが起こるのが一番怖いと思ってるのかもしれない。

『アナイアレイション』は完全にそういう作品なので、映画館で観たら結構無理だったかもしれない。。ちょっと引いた気持ちで家のPCで観るのが自分的にはちょうど良かった。


映像の「怖美(こわうつく)しさ」 ★★★★☆


怖かったけど面白かった。誰かに観たことを教えたくなる作品。

原作も面白そうだけど、読むと本格的に現実に戻ってこられなくなりそう…
SFにあまり造詣が深くないので、ずっと「萩尾望都の漫画にありそう…」「萩尾望都というか、ブラッドベリ…」とかずっと考えてた。

原作物で破滅的なタイトルのSF洋画、という意味で『ブラインドネス』(Blindness)を連想した。



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