地方に移住してみて子育てが本当に幸せになった話(子育てエンジニアAdvent Calendar 2022)
子育てエンジニア Advent Calendar 2022の9日目の記事です!
さる2020年にコロナ危機がやってきたことを契機に、「もう都市部では子育てやってらんない! もっとのびのびしたところで子育てしたい!」と、より良い子育て環境が欲しいという理由だけで2021年に都市部から地方(山梨県富士吉田市)へ移住したのもあって、子育て的な文脈で話せることもあるんじゃないかなーと思ってエントリーしたのでした。
というわけで、地方へ移住してみて子育て環境がどう変わったのかをシェアしてみたいなと思います。
◎そもそも地方移住と子育てエンジニアってどう関係があるの?
子育てエンジニアの話なので、テクノロジーの話で子育てハックするような話の方が適切かなーとも思ったのですが・・・
都市部に住んでいるときも人感センサーを利用してオモチャを片付けたくなるような装置を作ったりとハックっぽいことはしていたものの、個人的にコロナの話ってそのレベルのハックを全て帳消しにするようなインパクトのある話だったんですよね。
我が家には現在9歳双子男子と4歳男児の計3人の子どもがおりまして、上の子たちは当時小学校へ通っておりました。
校外活動(課外活動)が豊かで命の大切さを学ぶことを何よりも優先するステキな学校だったのですが、コロナが猛威を振るってから状況が一変。
校外活動は完全にストップし、コミュニケーションを必要とするような授業は一切できない、ただただ所定の科目を学習するだけの場所になってしまいました・・・。
となると、学校にまるっとお願いしていた校外活動は家庭で何とかやっていくかーという感じになるのですが、情勢的に移動そのものが難しい。一番下のちびっ子がマスクを嫌がって外すと、ご高齢の方にその場で叱責されることも度々で、都市部で暮らすことのストレスだけが積もり積もっていく。
そんな中で思ったのが「もう移住しちゃおうか」という話だったわけです。
私は当時からフルリモートワークのITエンジニアです。ぶっちゃけ働いている場所そのものはどこでも良く、なぜ都市部にいたのかと問われると、シンプルに都市部の方が暮らしやすかったからです。都市部が暮らしにくければ、暮らしやすいところへ行けば良い。
コロナ禍を経て、エンジニアの働き方がよりリモートにシフトしている(そういう求人がほとんどになっている)のもあって、エンジニアこそ子育てだけを理由に地方へ移住しやすい職業かもなーと思い、地方移住と子育てエンジニアはしっかり関係のあるテーマなのではないかと思ったわけでした。
◎移住場所はどんな風に決めたの?
長野県の小布施や群馬県の沼田などいろいろ夢は広がりましたが、議論の過程では以下のようにマストな条件を羅列していきまして、
小児の医療機関、教育機関が整備されていること(町レベルで子育てに安心感があること)
日用品の調達に困るほどの過疎ではないこと
自然がいっぱいであること(できたら森の中で暮らしたい)
東京からそこまで離れていないこと(都内の仕事も多少あるので)
その場所に知人がいること(ツテがあること)
最終的には最後の条件が決め手となって山梨県の富士吉田市に移住することに決めました。
最後の条件はちょっと反則な感じもしますが、いろいろ検討すればするほど単身で新しいコミュニティに入っていくことへの恐怖感が高まっていきまして・・・。
その点富士吉田市はそもそも妻の出身地だったので地元の友達もいたりしたのです。既に暮らしていた家は引き払っていたので、妻の実家があるとかそういう訳ではなかったのですが、懇意にして頂いている方経由で不動産屋さんを紹介してもらえたりと繋がりはしっかり生きていたので、「関係性のある人に対して悪いことはしないだろう」ということで富士吉田に根を下ろすことに決めたのでした。
思い出してみると、そもそも妻と出会ったのが山中湖(富士吉田から20分ぐらいの距離)だったり、富士吉田の富士山側(富士北麓)にあるパインズパークという芝生の広い公園で「子どもができたらこんな感じのところで育てたいねー」と言いながらフリスビーしていたりしたのでフラグは立っていたのかなと思います。ノロケです。
◎教育環境はどう変わった?
いろいろあって、現在は我が家から車で20分ほど行ったところにある、富士河口湖町の私立小学校に通っています。
4歳児はその小学校に併設されている幼稚園に通っております。一気に送り迎えができるので、一カ所にまとまっていると助かりますね。
両方ともかなりユニークな教育機関でして・・・
幼稚園と小学校の公用語が英語
インターナショナルスクールという訳ではないのですが、基本的に公用語が英語です。先生は生徒に英語で話しかけます。ネイティブの先生も多いので、親との会話も英語になりがちです。英語に強い危機感を持つエンジニア好みの教育機関かも知れません。
そもそも授業がない素和美小学校
素和美小学校は更にユニークで、そもそも授業がありません。ちゃんと一条校(学校教育法第1条に定められた学校)なので正規の小学校なのですが、毎朝のミーティングで子ども達が1日の過ごし方を決めるスタイルです。
四年生だから四年生の内容を勉強する、みたいなこともありません。見学したときは、六年生が人工光合成の研究をしていました・・・。生徒の興味があるところに対しては、どこまでもサポートするというのが教育方針のようです。
生徒の自主性を重んじるというのは非常にイマドキな感じであり、公教育もようやく探究学習重視に舵を切り始めているといった潮流からも先端を行っている感じですが、一方で六年生の時点で九九ができない子どもがいる、ということに愕然とされる親御さんもいらっしゃるようです。
公教育に慣れ親しんだ感覚ですと「〇年生は△△の内容を理解できていて然るべき」といった前提が無意識的にあったりして、そういうカリキュラムではないと言っているのにも関わらずそれを求めてしまうというギャップはあったりするようなので、興味を持たれた方は実際に通っている子どもの親御さんに直に話を聴くのがベストだと思います。
私も仕事仲間かつ友人である方が素和美に興味を持ってくれたので、学校ツアーのセッティングや実際の学校生活についてのシェアをさせて頂いたことがあります。ご興味のある方はDMなどでご連絡くださいませー。
◎英語のギャップをどのようにして埋めたか
さらっと「英語が公用語の学校に行っています!」というと、まるでうちの子が英語ペラペラのように見えますが、親同様に英語は全く話せない中で転校しました。
子ども的にはスリープオーバーという毎月ある定例のお泊まり会(学校周辺にテントを張って野宿します)がめちゃくちゃ楽しかったり、畑を作ったり鹿の角を拾ったり樹木の皮を剥いでカビの研究をしたりといったことが楽しそう!ということで転入を決めたわけなので、英語は「まぁ何とかなるでしょ」ぐらいの気持ちだったのです。
海外に引っ越したら何となく話せるようになった、みたいな話はよくありますからね!
が、入学して半年が経っても英語が上手くなる気配はなく、プレゼンでも英文にカタカナでルビを振る有様で、ネイティブの先生に「もうちょっと家で英語やってもらわないと困ります」と苦言を呈されるなど・・・。
そういうわけで英語に対する取り組みでやってみて効果のあったことをシェアしたいと思います。
QQ English(オンライン英会話)を毎日やる作戦
そもそも全くの無策で英語しか話さない学校に入った訳ではなく、最初の半年は毎日オンライン英会話に取り組んでいました。
個人的に利用していたのと、子ども向けのカリキュラムが充実しているという理由でQQ Englishのセッションを毎日受講。
そもそも英文が読めないと詰むし、発音ができなくても詰むことから、フォニックスを中心に取り組んでいました。
それなりにアルファベットが読めるようになったので効果はあったのですが・・・慣れ親しむ以上の効果はなかったかもなーというのが正直な感想でした。フォニックス以外の教材も取り組んでいたのですが、語彙は増えないし、発音も変化がないし、毎日予約取るのも先生争奪戦になってキツイし、なかなか上手くいかないもんだなぁ、と。
大人は目的があって英語を学ぶので効果が出るのだと思うのですが、子どもはその点漫然としがちなのと、学校で英語ができないと詰むという状況になってもそこまでモチベーションは湧かなかったようなので、戦略自体を変える必要に迫られたのでした。
子ども向け第二外国語習得理論を学ぶ
そんなわけで参考にしたのが世界標準の英語の学び方という本です。
結論から言うと世界標準の英語の学び方=質の良いインプットを大量に与えること(日本人は2,760時間が目安)で、子どもの言語能力はインプット時間に相関することが研究の結果として分かっているとのことでした。
そもそもインプットが足りていない中でアウトプットしようとしても上手くいかない。オンライン英会話での取り組みはアウトプット偏重になりすぎていたかもなーと反省しました。
じゃあどうやってインプットすると良いのかというと、書籍では
家の様々なものに付箋を貼っておく(自分の生活と絡めて意味付けする、身体で覚える)
読める実感を持てるレベルからリーディングを向上させる(サイトワーズなど)
質の良い動画を見る(Peppa Pigなど/断片的な情報で学習するのではなく文脈を通して理解する)
ということがポイントだと紹介されていました。
更に参考にしたのが子ども英語「超効率」勉強法。エンジニアは意思決定の際に書籍を読みがちですね。
こちらでも結論として大量のインプットがポイントだということが述べられているのですが、面白いのが年代別の対応方法。
小学生未満の幼少期は「音声のかけ流し」による大量インプットが有効だが、小学生以降は文字によるインプット、更に具体的には音読が有効とのこと。
過去に國弘先生の「只管朗読(ただただ英文を音読しまくる)」というトレーニング方法を頼りに勉強していて効果が出たことがあったので、音読が有効という言説には個人的なハラオチがありました。
PALKIDS(オンライン教材)を毎日やる作戦
そういうわけで良さげな音読教材はないかなといろいろ探していたのですが、子どもがセルフでできるような教材はなかなかなく、いろいろ探し回った末に子どもの英語「超効率」勉強法の著者が出しているPALKIDSという教材を使うことに決めました(あの本自体がPALKIDSを売るための本みたいなものでしたが・・・)。
パルキッズジュニアをはじめてかれこれ3ヶ月ほどが経ち、現在はYEAR1の会話文の音読を毎日続けています。
教材的にテキストの英文を音読させるという課題は設定されていないのですが、これまで学んだ理論を踏まえると、とにかく音読がポイントだよなーと考えて音読に取り組んでもらっているという感じです。
終わるとこんな感じで子どもがSlackで報告してくれます(6時ぐらいに起きて勉強しているので朝早い)。
取り組んでみた成果としては、何が書いてあるのか全くよく分からなかった英検5級と4級の内容が何となく分かるようになって、英検5級はつい最近無事合格できたというところです。
別に英検を受けなくても良いとは思うのですが、受かると何かめっちゃ嬉しいらしいのでペースメーカーとして受けてみることにしました。
学校以外の時間で自学自習しているのでなかなかハードではありますが、音読がどんどん上手くなってきているのが自身でも分かるようで、それがモチベーションになって続けられているようです。
次回のプレゼンが楽しみですねー(プレゼンも英語・・・)。
◎まとめ
後半はガッツリ勉強の話になってしまいましたが、前向きに教育の話に取り組めるようになったのも移住先の環境やコミュニティの豊かさゆえだと思っています。
勉強ばっかりしているわけではなく、休日は山中湖を自転車でグルグル回ったりしていますし、ちょっとしたスキマ時間を利用して庭で焚き火しながら深い話をすることができますし、近所で様々なアクティビティに取り組めることで時間対効果が向上したことで全体のQoLが向上したのかなーと思っております。
結論から言うと、子育て家庭にとって地方移住はめちゃくちゃ良いです。良すぎるので、みんなもっと前向きに検討するべきだと思っています。
現場からは以上です!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?