麻雀の「ランダム性」と「流れ」

今回は私の提案する新ルールとは関係ない話です。

天鳳や雀魂などのネット麻雀はよく「ちゃんと牌が混ざってない」「偏ってる」とか言われます。
運営側の不正があるなしは証明しようがないのでとりあえず置いておくとして。

では自動卓とネット麻雀の牌の混ざり方は同じなのか?
もっと言うと、自動卓が作り出すランダム性と、コンピュータプログラム的に作り出したランダム性は同じなのか?という話です。
Maru-Janではこの違いに着目して自動卓の再現を目指しているので例外になります)

プログラム的に作られるランダム性と、物体(牌)がぶつかり合ってできるランダム性は結構傾向が違います
例えばサイコロを振るとして、1~6をプログラムでランダムに出すのと、物理サイコロを振るのを想像してみましょう。物理サイコロは六面全てが均一な重さになりませんし、転がすテーブルの表面も均一でなく、サイコロの振り方の強弱も均一にはできず、サイコロが舞う空気の温度も湿度も影響してしまいます。必ず何らかのクセが出ますし、私たち人間はその現実世界のランダム性に慣れきっています

プログラム的に作るランダム性はこの「経験豊富なランダム性=人間の日常感覚」とは違う論理で作られていますから、「なんかおかしいな?」と感じてしまうのは無理もないことです。

自動卓は機種によって混ぜ方に違いがあり、積まれる牌山のクセが少しずつ異なります。
麻雀を打ち慣れている人は、知らず知らずよく使っている自動卓のクセに基づいた経験則を作り上げているものであり、同じ気分のままネット麻雀をやったり異なる機種の卓を使うと、いつもと違う牌の来かたに驚くことになります。
これが「ちゃんと牌が混ざってない」「偏ってる」と言いたくなる原因の一つでしょう。

なお手積みには手積みのクセがあり、昔の(次に来る牌が読めてしまうような)強い打ち手は、無意識にでしょうがそういうクセをよく見抜いていたんだと思います。いわゆる「流れ」の一つの側面です

2024年5月現在、Mリーグで採用されている最新自動卓のアモスレックス3は、上下そろって自動配牌される仕組みになっています。上下をそろえた配牌を作る過程で、上下反対の牌が来たら配牌プロセスから一旦はじく機構になっており、結果的に従来機より撹拌率が上がっています。

私もこの機種を使ってみましたが、確かに従来機と牌の来かたが違うなと感じました。ネット麻雀の「奇妙さ」とちょっと似てるなあ、と感じる局も時々ありました。
撹拌率向上により、「物体が作るランダム性」と「プログラムが作るランダム性」が似てきたのかもしれません。

アモスレックス3がネット麻雀に似てるとはいえ少し違う感じもするのは、やはり物体だからでしょう。
自動卓は(前々局の)捨て牌と残り山、手牌を撹拌して牌山を作ります。物体ですから、捨て牌と山と手牌の中で近くにあった牌はそのまま近くに留まろうとします。端的に言えばダマ(牌溜まり)ができるのです。
撹拌率向上とはいっても物体である以上ダマはある程度できてしまうので、それがネット麻雀との違いを生んでいるんだと思います。プログラムはダマなんて関係ありませんから。

また、自動卓は2組の牌を交互に使うので、ダマの傾向は今の局と次局では別物になります。そこもネット麻雀と違うところでしょうね。
手積みでは今の局の牌のダマが次局に引き継がれますから、「流れ」が読み取りやすくなることでしょう。

偶然ダマがいつもより多く解除されるなど、ダマ傾向が撹拌の具合でたまにがらっと変わるときがあります。これがいわゆる「流れが変わる」現象です。
アモスレックス3はこの現象を従来機より少し多めに発生させていると言えるでしょう。
そしてネット麻雀は輪をかけて高頻度に発生させているようなものです。いわば頻繁に流れが変わっている。現実世界では頻繁に何かの傾向が変わることはまずありませんから、人間の日常感覚からして奇妙に感じられるのは当然のことと言えます。

なのでネット麻雀では日常感覚をわざとオフにしてやるといいわけですが、完全オフというのも難しいですね、人間ですから。あまりにオフ感覚に適応すると、今度は自動卓での麻雀でちぐはぐな打ち筋になったりもします。
本気でやるならどちらか一方に注力したほうがいいんでしょうね。



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