Obey Me!の面白いところ

Obey Me!というのはスマホ用のアプリゲームです。
公式によると「イケメン悪魔調教ゲーム」らしいです。
実はこのゲームをDLするのは2回目なのですが(通知が喋るのにびっくりしてアンインストールしてしまったため)、前回気づかなかったこの作品独自の面白いポイントについて、忘れないうちに書いてみようと思います。

1.英語圏先行

Obey Me!(おべいみー)は、NTTソルマーレという関西の企業が作っている日本発のいわゆる乙女ゲームですが、このゲームは…というかこのレーベルは海外をメインターゲットにしているそうです。この作品も北米を中心とした英語圏でまずリリースされ、その約1年後に日本語版が出ています。
そして英語版は結構人気があり、変な言い方ですがちゃんと“当たって“いるようです。ファンの人数も英語圏が圧倒的に多い印象です。
非常に個人的に、せっかくのコンテンツ財産を国内だけで消費するのはもったいないんじゃないかなあ…と考えている方だったので、このちゃんと受けているというのは自分にとって明るい話題に感じました。
そしてこのゲーム、少し触れるとわかるのですが、キャラクターの立ち絵はかなりシンプルです。これはおそらくターゲットに向けた最適化で、色々考えてこうなったのではないかと思われます。しかしゲーム自体もちょっとローディングが遅かったり、完全な形でパッケージされたものに慣れているユーザーにとっては、日本だけでのリリースなら、もしかしたらそこで門前払いされてしまっていたかもしれないのですが。
しかし、それで避けるにはもったいない魅力がこのゲームには色々とあるのです。

2.メインストーリーが意外としっかりしている

このゲームを始めると冒頭から人間である主人公が魔界に放り出され、学校のような所に通い、悪魔の7兄弟と一緒に住むらしい事がわかります。そして兄弟たちがわちゃわちゃと掛け合いを始めるので、「ああ、そういう感じなんだなー」と思います。乙女ゲームとしてはここまでの設定があれば後はなんとなく日常生活をして、仲良くなっていけば成立しそうなので、そうなるのかな…と思っていたのですが、この予想は良い意味で裏切られました。
序盤のうちに主人公はある人物と出会い、物語上の謎と、悪魔兄弟を使役する契約を結ばなければならない動機を得ます。悪魔達に振り回されるだけでなくて、主人公自身が対決し、出し抜かなければならない状況になるのが面白いなと思いました。またそこまでの話のテンポが良いのです。
おべいみーはYoutube公式チャンネルのコンテンツが豊富でスタッフの方による設定を語る動画もあるのですが、それを見るとかなり色々と考えて背景を作られているのがわかります。

3.会話のテンポの良さがすごい

この作品の他にない魅力を一つだけに絞るなら、会話の軽妙さではないかと思います。ゲーム内にLINEを模した会話コーナーがある…のは今や珍しくないですが、このUIの出来(既読がリアルタイムに増えていく演出)、スタンプの絶妙な実際に使える感、短文での会話のリアルさがすごい。量もすごい(2〜3日放置すると20件くらい貯まる)何人かのキャラ毎にやたらとグループを作り散らかしてごちゃごちゃしてる感も妙にリアルです。主人公側からのレスポンスも毎回選択肢があり、スタンプを選べる事もあります。そして選んだ内容に対してちゃんと分岐が用意されており、適切な(自然な)答えを返してくれます。この細かさからは単にキャラとの親密さを感じてほしいという発想だけではない、情熱とこだわりを感じます。通常のストーリーでもボケとツッコミの応酬が多く、読んでいて単純に面白いです。

4.ゲーム外コンテンツが面白い

おべいみーは演者さんも少し変わっていて、普段は俳優さんだったり歌手の方だったり、声優としての作品は初めてという方も多いです。そしてその方々がゲームの宣伝のためにYoutubeでラジオ番組をしたり、コラボイベントでミニゲームをやったり、色々してくれているのですが…これがなんだか、会話にわざとらしさがなく、元々同じ事務所だったり長年の仕事仲間だったりと繋がりの深い方もいるためか空気が和んでいて、見たり聞いたりしていてストレスがなく楽しいのです。あと関西出身の方が優勢なせいか、笑わせようとする意欲がすごい。割と中の人のコンテンツは頑張って追わない事の方が多いのに、この楽しめ方は珍しいです。
そして演者さんから出る言葉の端々から運営さんが「上から許可が出たら活動が続くように演者さん達の名前だけ先につけた」とか「評判が良かったら商品化できるかもしれないからコメントください」とか、なんとかこのコンテンツを広げようとしている努力が伝わってくるのです。こういうのに…弱いんですよ…!(そしてつけた名前のObey Me! Boys に対して「ボーイっていう年齢じゃない」と冷静に微妙な空気になっているのも新鮮な反応で面白い)
こうしたコンテンツは基本的に日本語で行われますが、発表されたものには全て英語字幕がついています。自動翻訳のような適当なものではなく、かなりニュアンスまで伝えようとしている、ちゃんとした人の手による公式翻訳です。自分は最近海外の実在アイドルのファンをやっているので、これが海外ファンにとってどれだけありがたいか…が身に沁みてよくわかるのです。SNSでも英語のリプライが多いので、演者さんが英語で発信してくれていることもあり、その様子を見るとなんとなく嬉しくなります。
後これは完全に的外れかもしれませんが、演者さん達が実際に集まって何かをする動画でなあなあにフリートークを任せずスタッフがしっかりルールを決めたゲームを設定しているのは、もしかしたら英語圏にもファンの多いK-POPアイドルのコンテンツ作りを参考にしているのかな、という雰囲気を勝手に感じていました。その辺も自分が受け入れやすかった理由なのかなと思っています。
全然関係ないですが、アニメ化にあたって全員で歌を歌うことが決まった時「踊るの?」と無邪気に尋ねた方に対して、司会をすることが多いレヴィアタン役の加田さんが「いや俺らが踊っても仕方ないやろ」と瞬殺されていましたが、彼らは多分近いうちにニューヨークとかで踊らされるのではないでしょうか。

5.楽曲が良い

おべいみーには乙女ゲームらしくキャラソンというものが存在します。
このゲームは本編を読んでいると(進度的に今のところ)全員からめちゃくちゃ恋愛感情を向けられている感じはしないのですが、キャラソンの中ではものすごい愛情がしたためられています。この歌詞もそれぞれらしく、可愛くて、こういう所があるキャラなのかーと新しい発見があっていいですし、歌声もキャラクターらしくていいのですが、何より曲自体がとても凝っていて良いのです。
1曲1曲キャラクターに合わせて曲自体のジャンルを変えて世界観を表現しているのが面白いし、音作りや曲の展開が何やら単純ではない感じがします。音楽について専門的な知識がないのでどこがどういいと説明する事が難しいのですが、好き嫌いが激しいので、贔屓目はあるにしてもこういう「文脈で聞く」曲を曲として好きでずっと聴いていられるのは、これも珍しいことです。
作曲者の方々を公式で紹介してくれていたので普段作られている曲も聞いてみたりしたのですが、それを聴くとこの感想を持ったのも納得で、それぞれとても素敵な曲を作られています。
ソロシリーズは全部良いですが、アニメのEDとして全員で歌っている「It’s My Party」もとてもおべいみーらしく、格好良くて大好きです。

CDには楽曲と一緒にラジオドラマも収録されているのですが、これがまた面白かったです。楽曲の方に甘さを任せたせいなのか完全に笑いに全振りしている所が潔い。悪魔という設定なので荒唐無稽な展開のギャグが出来るのも強みかもしれません。ちょっとノスタルジーさえ感じるような、この肩の力の抜けた笑いの方向性は現在配信中のアニメでも同様です。台詞と言い方がおかしくて、展開が分かっていても何度も笑ってしまいます。


文章を書く練習も兼ねて、頑張って好きになった作品をプレゼンしてみましたがいかがでしょうか。どこ視点なんだというおすすめポイントが多いですが、自分はどうもそういう理由で惹かれがちなので、その辺だったんだなという備忘録でもあります。気になった方は是非ゲームをDLしたりアニメを見てみたりコミカライズを読んでみたりレヴィアタン先生のOtaku FMを聴いてみたりしてみてくださいね。

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