『北田卓史 原画の部屋』 あめふり
みなさんこんにちわ。児童画家北田卓史の描いた原画を管理しているTaxi Pro.です。
今年も雨の季節がやってきました。
今回は、雨にちなんだ原画を紹介します。
タイトル画像の絵では、幼稚園に通う女の子が雨の中を元気に歩いています。買ってもらったばかりの赤い長靴を履けるのがうれしいのか、黄色い傘をさして大きな歩幅で楽しそうに歩いています。後からついてくるグレーの犬も嬉しそうです。
それにひきかえ、背後の3人の大人は、長雨の季節にちょっとうんざりしている様子です。
黒い傘を差したおばあちゃん、着物用のレインコートを着て雨用のカバーの付いた下駄を履いています。今ではこんな姿はなかなかみられませんね。
1969年(昭和44)の作品です。雨の中を歩く子どもたち。クマ、犬、ネズミが一緒です。
みんな楽しそうです。
大人にとって憂鬱な雨の日でも、子どもはなにか楽しみを見つけるようです。
傘の模様にも幾何学模様が使われています。
1966年(昭和41)の作品です。
土砂降りの雨の中、ようやくバスがやってきました。
この絵の右下にもタイトル画像の絵に出てきた犬とよく似たグレーの犬がいます。
こちらは、1968年(昭和43)の作品。車の運転席からの視点で描かれた雨の街の様子です。
ちょっと見にくいのですが、バックミラーに映っているのはタクシーの運転手さんのようです。
子どもたちが黄色い旗を掲げながら横断歩道を渡っていきます。
この絵が描かれた昭和40年代には、信号機のない横断歩道には、よく黄色い旗が備えてありました。園児や児童はドライバーに目立つように黄色い旗を掲げて渡ります。渡り終わったら旗は反対側の旗入れに戻しておきます。
交通事故の多発が社会問題となっていた時代によく見られた光景です。
この絵でも、横断歩道を渡る子どもたちの前をグレーの犬が歩いている様子が描かれています。
3つの絵は、描かれた時期も違うし、それぞれ関係ないようなのですが、何故だか雨の絵にはこのグレーの犬がよく登場します。
窓の外に赤い長靴が置かれています。
部屋の中にはリュックサックが見えます。楽しみにしていた遠足の日は雨になってしまったようです。
軒先にぶら下げられたテルテル坊主は、残念ながら願いを叶えることができなかったようです。
幾何学模様の服を着たカエルが、困った顔をしたテルテル坊主に抗議するかのようにとびかかっています。
絵の上の余白に「こどもとしぜん 6月号 原稿」とスタンプが押されてあり、ひかりのくに社から発行されている月刊絵本の「こどもとしぜん」の原稿であることが分かります。
黄色い傘に赤い長靴の女の子が少し暗い顔で歩いています。
やはり遠足は中止になってしまったようです。
画面左上には田植えの様子、左下にはザリガニと亀が描かれています。
田植えの人たちが被っている笠が時代を感じさせます。
最後はこちら。1980年(昭和55)の作品です。
出典は分からないのですが、お気づきの方も多いと思いますが、この絵が童謡「あめふりくまのこ」の挿絵であることはまちがいないと思います。
それでは、今回は、この辺で終わりにします。