【ネタバレ有】名探偵コナン 100万ドルの五稜星 感想:需要と要求をこれでもかと詰め込んだ

2ヶ月以上前に書いた記事。6月がめちゃめちゃ忙しかったので6月用にストックしていました。


バカリズム案を見た日に、話題のコナン映画も見てきました。去年と同じ1日です。去年の「黒鉄の魚影」の感想は以下の通りです。

「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」というタイトル。函館を舞台に、怪盗キッドや服部平次が登場し、謎の日本刀を取り合うお宝争奪アクションミステリー。100万ドルの夜景と呼ばれる函館山からの景色を前に何が起きるかも注目ポイントでした。

以下、ネタバレも込みで感想を書いていきます。僕は原作やアニメは追いかけておらず、映画のみで、その映画も全て見ている訳ではない、非常にライトな視聴者です。一応登場キャラクターの関係性はある程度は把握していますが、見当違いのことを言っていたら、申し訳ありません。


率直な感想としては、「詰め込んだなあ〜」です。コナンの映画を占める3大要素として、「ミステリー」「アクション」「ラブコメ」があると思っていて、大体どれかの要素が強いと、どれかが弱い(例えば、「紺青の拳」ではアクションの比重が大きい分、ミステリーは抑えめ)のですが、今作はどれも手を抜いていないなと思いました。これは良い面も悪い面もあって、良い面としてはそれぞれの要素を欲しているどの人もそこそこ満足できる程度の高いクオリティであること(大満足ではない)、悪い面としては、全てを追いかけて理解しようと思うと非常に大変であること、詰めすぎて若干窮屈なことです。正直子どもが理解できるお話ではなかったと思う。それだけ複雑な話。

今作は「紺青の拳」と同じ監督とのことで、バトルアクションが中心になっていると推測されたため、ミステリー要素は控えめなのかなと思っていましたが、けっこうミステリーがしっかりしていたのが意外でした。正直、一度では追いきれず、他の人の解説を見て納得する箇所もありました。特にコナンが、少年探偵団が持っていた駅の電車のスタンプから何か閃いたシーン。コナンは一体何を閃いたのか、特に解説もないまま話が進んでいったのでモヤモヤしていました。この説が正しいかは全く定かではないのですが、「枠にピッタリとスタンプを押す要領で、気球上で剣の枠を五稜郭に合わせる」ことを閃いたという話を聞いて、まあまあしっくり来ました。犯人が即バレするほどではないくらいの分かりやすさで、ここは期待より良かったところ。

アクションの無茶苦茶さに関してはコナン映画には諦めているというか、むしろもっとやってくれという感じなので、自動運転する小型飛行機の上で剣道するのはまた凄いこと思いつくなあという感想です。ただ爆破が全然なくて寂しかったですね。市街地や函館山を爆破できなかったのは函館市の許可を取れなかったのか、100万ドルの夜景を焼け野原にしたくなかったのか。後者かな。流石に。

ラブ要素としては平次ですよね。剣道大会すっぽかして一人最高の絶景告白スポットを夜通し探してるの、マジで和葉のことしか考えてない野郎です。蘭のアシストもあって函館山の絶景を前にお見事すぎるスピーチ。そして最高の場面で流れるaiko(最高)。アツすぎる。完全に炸裂した。はずだったが、紅葉のグレネードで和葉の耳が逝って阻止。結局進展せず、落とし所として若干ガッカリはしましたが、本編を読んでいるファン的には本編で告白してほしいみたい。なるほど。笑える箇所も例年より多かった気がする。


今作の衝撃ポイントは「コナンとキッドが従兄弟だった」こと。ただ、これはフリすぎていて、正直何も驚きがなかったです。「新一と快斗の顔が似ている」を丁寧に書いたのは何故なんでしょうかね。「キッドの真実」なんて言って宣伝するのもねえ、何かしらビックリすることが明かされる!何だろう!と考えたら何個目かには出てくる説ですよね。何も言わずに出して欲しかったなあ。その方が良い体験だったと思う。

ファンにとっては「黒羽盗一が生存していることが確定した」ことがビッグサプライズなんですかね。まじっく快斗にて、盗一は殺害されたとされていたけど、実は生きていたということが確定したので、他の原作の見方も変わりそうです(僕は読んでないし知らない)。盗一と工藤優作が兄弟だったこともそうですが、けっこう仲が良さそうなのが驚きでしたね。

そしてその盗一が川添善久刑事に扮していたことが個人的には一番の驚きでした。そう考えると確かに、良い感じに大事な写真を見せていたり、巫女さんをコナン達に紹介したり、ちょくちょく暗躍している。このことがあるから、もう一回見ると、全然違った見え方なんだろうなと思います。複数回映画を楽しめる仕掛けは興行収入に響いてくるんだろうなあ。ズルい。


バカリズム案に行ったついでなので、東京の映画館で見ました。いつもは安く見られることくらいしか考えずに映画を見るのですが、今回はちゃんとシアター、スクリーンも選ぶべきかなと思って、色々調べて、TOHOシネマズ日比谷のスクリーン1で見ました。PREMIUM THEATERという大きなスクリーンと劇場のような音響で、料金は通常と変わらずですが、迫力のある映像とズンと響く低音が素晴らしく、想像以上の映像体験でした。中高生が少ないであろう夜の時間帯に行ったのも、うるさくなくて良かった。今まであまりスクリーンのことを考えていなかったのを軽く後悔しました。ちなみに日曜日はスポンサーのJERAとコラボしていて、なぜかTOHOシネマズでは大学生1200円で見られる不思議。

日比谷の映画館、良かったです!


総評としては、詰め込みすぎて話の理解が難しいものの、普通に面白いという認識です。星で言ったら3.5くらい。ハロウィンや黒鉄と比べるとちょっと劣る感じ。前提となる知識が多いです。まじっく快斗でのキッド誕生までや、平次がキッドに因縁を持っていること、紅葉と平次の関係など、ただでさえ映画内で提示されている情報が多い上に関係性を知っていないと理解できないこともあって、大衆向けの映画ではない気がする(まあみんなそれなりに予習はしているだろうけども)。登場人物も多いので大変。ただここを乗り越えて、無茶苦茶なアクションも許容できるなら十分楽しめるかと思います。

冒頭でも申した通り、ファンの需要に応えるために「ミステリー」「アクション」「ラブコメ」の3要素をどれも充実させつつ、紅葉に色々名所を案内させたり、キッドとコナンの関係性や盗一のネタバラシをしたり、でも函館の市内は100万ドルの夜景のために傷つけられないとか、あれこれ要求されたんだろうなと推測できることも多くて、110分にまとめるのが本当に大変だっただろうなと思います。監督さんには同情です。複雑でギュウギュウでも、しっかりまとめ切ったからこそ、そこそこちゃんと評価されています。ここ数年のコナン映画の完成度、凄いですね。来年も見に行こう。



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