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高校の教科書は変わる!

新聞やテレビ報道などで大きく取り扱われていた「新学習指導要領に伴う高校教科書検定」が発表された。2022年度から学ぶ高校生にとっては、新しい学びの始まりである。同時に教員もこれまでの教材研究の在り方や指導法についても見直す大きな時期になるのである。(以下、北海道新聞記事3月31日付より引用)

例年通りの教科書検定の話で、教職員にとってはどういう内容を指導するべきかどうかという計画を立てる上での重要な情報になるわけである。しかし、今回の教科書検定では2022年度から始まる新学習指導要領に従い、高等学校の授業は大きく変わるのである。教育課程も再編されることが大きな変更点として社会科の在り方は、特に一番目立つのである。

日本史、世界史→「歴史総合」へ1つの教科としてまとめられ、必修する。

 ろう学校の場合、「世界史」は選択科目として普通科で希望ある生徒しか履修しておらず、履修した卒業生はごく少ない。私は当時、社会科が好きであり得意科目であった。また大学進学に有利な歴史検定を受けることもあって、「世界史」を履修選択することはしなかったが、選択科目の中で学習した経緯はある。というように各地の高校では、「日本史」の履修が多く「世界史」を履修することは少ないということが指摘されたため新しく一つの世界観を見ていくことで広く視野を広げて社会的な関心を持たせるという狙いから、「歴史総合」として一つのまとめになりそこで世界史と合わせて勉強するということになるのだ。

 なお、内容は基礎基本的な内容であり、もっと詳しく掘り下げる勉強をしたい場合は、「日本史探究」「世界史探究」という選択科目が用意されている。これは希望する生徒の実態に応じるため多分、ろう学校の場合はそれに対応することは少ないだろう。私は、ある大学の履修を通して再学習しながら新科目の在り方に教材研究を続けているところである。(先日の投稿「古代で関心あること」「中世で関心あること」を読んで頂ければと思う。)

地理A、地理B→「地理総合」選択から必修として変更される。

 実は、この「地理A」というのは当時、履修していないということが社会問題になっていた経緯がある。ろう学校でも履修していない時期もあった。「地理」を扱うということは、あまり少ないことが学問的に問題視と大きくされているポイントである。最近、災害が大きく防災意識を高める必要もある、国際化が進みまた少子高齢化が進む地域づくりにおいて何か必要か。というところも考える必要が出ていることが「地理」を学習する上でとても大事なんだということで、改めて再編された。

 なお、私は現在大学の履修を通して再度学習し始めたところである。「地理総合」の学習の一つとして扱っていることを後日(「地震の備えは学びから知る」)で述べていく。このように教材研究を時間のある限り、追求している姿勢である。またGISシステムを利用した学習の必要もあると示しているようだか、実は大学の履修を受けているところで、昨年10月に初めて利用して学習してレポートをまとめた経験をした。このような経験を今後は、生徒にも取り組んでもらうことになるだろうと確認したのである。

現代社会→「公共」として主体性ある学びの内容を身に付けるためにページが増えていく内容となる。

 この新科目「公共」は非常に大変奥深い興味ある内容である。視点を分かりやすく置き換えるとすれば、聴覚障がい者であれば、ろう者の歴史を学ぶ、言語、コミュニティー(デフフッドとして)を学ぶと同じようなことだという。これを人間として一般的な内容といえば、このような内容がある。

・「新型コロナウイルス」、「ジェンダー」や「LGBT」など最近話題になったニュースを取り扱い、主体性で【話す、調べる、考える】という学習活動がしやすいテーマを多く扱っている。

・選挙に参加する若者を増やすために「主権者教育」を取り入れ、政治参加することの人間性を育てる内容を扱っている。【歴史→政治→国際】という流れで学ぶことが、【政治→歴史→国際】というように順番が変わり学習するようになるという。これは小中学校の学習指導要領改訂に合わせた継続、系統性のある流れを踏襲している。

 このように今後、入ってくる高校生たちには新しい学びのある教科書を履修する上で、2025年度から始まる共通テストで新しく再編される内容に備えていくという文部科学省の新しい令和型教育の始まりである。

 ろう学校において見ると、この新しい学びの中で主体性のある学びが活かされるためにはまず手話言語の重要性を高めることも一つの課題。そして視聴覚教材においては、手話言語による教材を工夫することも忘れないで欲しいと願っている。特に教職員がしっかり言葉(日本語)を手話で教えること出来ないなら、手話言語より見てわかる教材というのもしっかり準備する必要があるので、教材研究にかける時間は増えていくという負担が大きくなる。業務量が増大している現状の中で新しい負担は大変ということを知って欲しい。

 と今回は社会科に絞って記述したが、他に「情報」「国語」も変わる。これらについては時間のある時に執筆できたらと思う。私のもう一つの学び(経験)からいうと「情報」という科目内容は、きこえない人にとってはとても大事な学びになってくるのではないだろうか。と痛感し、しっかり職場復帰した際は持っている力を発揮して指導していきたいという夢を抱えている。