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特別支援教育の始まりと私

 タイトルの通り、私が特別支援教育に触れるというのは大学3年になる。それ以前は、「特殊教育」でありろう学校という名称が一般的であった。しかし、「特別支援教育」という制度に改革するという文科省の動きによって障害別だった免許状の専門性も一つの大きなまとまりになってしまったのである。これに従い、私の目標も学びも多様に変化してしまったことは「まずはじめに自己紹介③」で短く触れているので読んで頂ければ幸いですね。

 ここでは、もう少し掘り下げて伝えたいことは何か。特別支援教育と聞いて、一般の方々はどんなイメージだろうか。一言でいえば「障害者の多様化を受け入れる環境の教育的課題」といった捉え方でないでしょうか。でもその捉えは表面的であって、実に裏を見ていくと現場には色々な課題が山積みであり、現場の教職員にと求められる専門性はとても大変であると一言言いたい。実に正直言って、迷惑な制度である。以前のような制度の方がはっきりとした分かりやすい専門性であって、この制度を見直すべきだっただけに一つにまとめようとするという無理矢理な方法だったと指摘する。といったところだか、大学3年の講義にて受けたときに感じた第一印象は違う視点であった。第一印象をもって取り組んでいたレポートを引用しておく。

「特別支援教育と聴覚障害教育を私からの視点で考える」        はじめに                              特別支援教育の以前は、””特殊教育“といって盲・聾・養護学校と別々に教育が行われていた。また他の障害(知的、発達ADHDなど)は就学対象の条件が厳しいといわれていた。ところが障害を持つ子どもに限らず、個別指導を必要とする考え方が増え始め、特別に配慮しなければならないこと理解して次のように認められるようになった。これが特別支援教育の変換である。”特別支援教育”とは、従来の特殊教育の対象の障害だけでなくLD、AHD、高機能自閉症を含めて傷害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、その一人ひとりの教育的ニーズを把握して、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するために、適切な教育や指導を通して必要な支援を行うものである。
   そのために次のようなことが必要になってきた。まずは、個別の教育支援計画を立てること、コーディネーターの設置により、福祉・医療などの関係機関との連携協力が重要になってくる。教員を目指している者も養護学校の免許状の習得だけではなく、特別支援教育教諭免許を習得する必要が出てきた。私もその一人であり、今回は聴覚障害教育ついて考えて述べた。
聴覚障害の私がみた                         私は、聴覚障害を持っており小さい時からずっと聾学校で教育を受けていた。当時は、手話が認められていなく厳しい口話法で教育を受けてきた。そのために学力も健常者に比べてかなり遅れている・・・。特別支援教育の変化はおおむね賛成するが、聴覚障害と他の障害者とは捉え方が違う。またどのような連携をしていくのだろうかと不安になってきた・・・。一人ひとりのニーズに合わせて教育を行うと明記されているが、聾学校は別に特別支援教育だからではなく、もう少し前から真摯に対応して欲しかったと思う。社会生活上のコミュニケーションが著しいために手話を教えていくことからことばの習得など健聴者に比べてかなりの指導力が求められるほか、医療的には、補聴器の装着で検査をしてもらうなどの連携なども欠かせないものだ。
 教員には、普通学校の教員免許を持つ者が多いが、出来れば特別支援教育の知識を蓄えたり、専門の知識を身につけてしっかりとした教員像を作って配置するべきだ。私は、障害の知識を十分に理解し、その上でしっかりとした個別の指導計画を立てたり、コーディネーターの役割を十分に発揮できるセンター機能があれば、良い方向になると思っている。保護者への信頼が大事である。


最近の教育的環境
 最近、特別支援教育の変換で聴覚障害教育を見直す動きが高まっている。知的障害を受け入れる聾学校が出て問題視になったこともある。障害の枠にとらわれずに教育的支援の必要性の大きい児童生徒を対象にする決まりからそういった体制を築く考え方も出ている。でも私は、知的障害と他の障害だけは一緒にしても構わないが、聴覚障害だけは別々にしておくべきじゃないか。学校運営が厳しいのは分かるが、聴覚障害者として他の障害者と一緒に受けることはきついじゃないか。受け入れをしても環境的に別々の教室で指導を行うならまだ大丈夫だか一緒に受けていくのはどうかと疑問に感じる。ますます遅れが出て教員側の負担が重くなっていくのではないかと感じる。
特別支援教育について私は、講義を通して考える機会が増えてきた。もう少し勉強して政府が目指している教育の在り方(=特別支援教育)に何かの影響を与えたいなあと強く考えさせられた。
※追記1:大学3年の講義レポート提出の内容を引用したものであり、当時の状況なのであれから10年以上経過している。『障害』と表記しているが、これについては大学の授業で使われているため、個人の受け捉えは全く異なることに留意する。)                     (※追記2:免許状の取り扱いについては、後日に述べるが特別支援学校という明記のある免許状を所有している教職員を増やそうとしている施策が進められており、始まったばかりは少なったが現在はほぼ90%ぐらいが所有しているというように浸透している。しかし聴覚障がいに関しては、まだ2種に位置付けており学ぶ機会が北海道では少ないため、しっかりもてていないということを加えておく。)

 そして今の若い教職員には知らない方が多いだろう。特別支援教育制度の変化の一方で、学校名の改称の動きがあったということが社会問題になっていた。ろう学校もその一つである。北海道でも反対運動が展開していた。その結果、北海道は改称することはなかったが本州では改称されることが多く聴覚障がいの分野だけでも非常に学校名で分析すると複雑なまとまりがある。

日本で改正学校教育法が施行された2007年4月に「特別支援学校」と校名を変更した盲学校・聾学校・養護学校は、既存の学校で916校中182校、2007年度に新設された学校で11校中3校にとどまっている。聴覚障害者のみを対象としている特別支援学校の中には、特別支援学校の制度が発足した後も、校名を「ろう学校」および「聾学校」の名称を変えずに維持する学校も存在する。それ以外の名称は以下のとおり。
「聴覚特別支援学校」
「聴覚支援学校」
「聴覚障害特別支援学校」                     
(※1「害」の表記について現在は「がい」を用いることになっているがこれについては、別途詳しく述べる。 ※2Wikipediaより引用)

 なお例を一つ挙げるなら、大阪府では、単に「支援学校」と、名称に「特別」を含めない。といったケースがある。北海道では、釧路聾学校の廃校に伴って「釧路鶴野支援学校」(2014年4月開校)に聴覚障がい部門を置くという形で大阪の考え方を踏襲しており、聴覚障害の部門としては残されている。このような考えが北海道では人数が減少していく将来において、このような考えで改称する動きが出るのではないかと思う。

“校名変更反対”の意見が、聴覚障害者のみを対象としている特別支援学校に見られる。旧・聾学校は、デフコミュニティの一つでもあり、卒業生は通常、母校に強い愛着を持っている。一方、近年、日本の聾学校の中には校名を「聾学校」「ろう学校」から「聴覚障害特別支援学校」などに変更する事例もあり、全日本聾唖連盟などこれに反対するろう者たちとの間で議論に発展している。
 改名に反対する人々の心情として、「聾」あるいは「ろう」という語に自らのアイデンティティの一部と捉え、ろう者であることに誇りを持っており、かつ“特別支援”という言葉が健常者の支援を受けるネガティブな語として捉えていることがあり、こうしたろう者たちの心情を理解しないまま改名が実行されたケースもある。(※Wikipediaより引用)

 4月からまた新しい1年が始まるわけだか、実にいうと私が見る北海道の聾学校は残念ながら、児童生徒の視線でみる魅力がなくなっていると危機感を強く感じるという一言だ。そうはっきり主張できるのは、青年部活動やろうコミュニティーの中で、卒業した教え子たちや先輩方からの交流で必ず、聞かれる課題が共通していることである。その課題は、色々な捉えもあるので割愛しておくが、実にどうにもならない深刻な不安を感じる。    

 きこえる教職員の多数派によって気付かされないといい、また指導・管理などを背負う教育委員会も、まだ専門性としての理解が充分に正しいとは言えないとはっきり申し上げる。勘違いしているということを改めて認識した上で、当事者団体の声をきちんと汲み取り、その上でしっかり現場に反映していくような環境整備を図っておかないと「ろう学校」というのは、もはや必要ない。普通学校に進学する児童生徒の増加を後押ししてもいいと考える。 

 文科省や教育委員会の挙げる「専門性の向上」は、当事者の声をきちんと反映されていないことを痛感する。全日本ろうあ連盟をはじめとする当事者団体の動きは、そのように意識した上で国に対して要望を出し続けている。以下、最新の要望である。長文になるためここでは、教職員の在り方について、私の苦しかった現状を踏まえて述べておく。

3.きこえない子どもたちが求めるあらゆる教育ニーズに対応できるよう、きこえない子どもたちが在籍する学校に「専門性の高い教職員(きこえない教職員を含む)」を配置してください。
<説明>
①きこえない子どもたちの成長には、ロールモデルの役割を担うきこえない教職員の存在が大切です。都道府県教育委員会と連動しながら、全国のろう学校において、きこえない教職員の採用を推進できるよう、具体的な取り組みを行ってください。
②きこえない子どもたちの最も自然な言語である「手話言語」で教科を教えることができる専門性の高い教職員の配置を促進するなど、ろう教育の専門性を高めるための施策を積極的に行ってください。
 また、補聴器や人工内耳を装用し、難聴学級に通級するきこえない子どもを担当する教員の専門性担保について、具体的な取り組みをご検討ください。 (※全日本ろうあ連盟HP「文科省へろう教育等に関する要望について」を一部引用。他の要望内容についてもぜひご覧ください。)

 さいごに卒業生であり、聴覚障がい者としての立場で考えるとそうはいかないという愛着な気持ちもあるので、このような現状をみなさんにもしっかり意識してもらいたい。YouTubeでも近々、配信する予定である。