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手話CGは近未来の手話通訳?!

手話通訳は耳がきこえない私たちにとって、必要な合理的配慮として不可欠であろう。

そんな手話通訳の在り方もついに近未来化を実感させる時が。。。それはみなさん、ご存じでしょうか?東京パラリンピックにて、NHKが開発していた最新技術による手話CG解説というのが出てきました。

車椅子バスケットボールと車椅子ラグビーのみの2競技で一部の対戦カードで対応していましたが、この経験を活かして次のデフリンピック日本開催の時は全ての競技に拡大されることが出来ることを願いたいところですね。

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そんな手話CGについて、私が感じたことのは以下の3点である。

・まさにリアルな表情と滑らかな手の動作がまるで人間?!

 1点目にある「リアルな表情と滑らかな手の動作」というところは、技術が進化してきたと言っておくように人間に近い形でコンピュータ技術でも手話言語として伝えることが出来るようになっていることは驚きである。一方で私が気になるところは、人間には顔の表情で文脈が変わったり気持ちの意思疎通に違いがある。これを手話CGでは、本当にどこからどこまで出来るだろうか。という点である。以下、2016年と2019年を比較すると変わっているところがはっきり分かるので参考に見て頂ければと思う。

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「NHK/手話CG」2016年1月現在のページより引用)

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「NHK/手話CG」2019年12月現在のページより引用)

 今回、行われたパラリンピックの車椅子バスケットボールの手話CG解説を見ると、一つ安心できているところがある。勝ち負けも大事だか、バスケ初心者でも分かりやすいように難しい言葉を笑顔でゆっくり話してくれるような表現だったり、スポーツは動きの動作表現が細かいはず。この細かな動作表現もしっかり出来ているところにびっくりした。もし災害時に起きた時、すぐ手話通訳者を呼べない時に手話CGですぐに報道できる体制があればきっと被災者の気持ちに沿って言葉を伝えやすいような表現をしてくれるのではないかと感じている。

・高齢化する手話通訳者の代わりに活動できるのか?!

 2点目にある「高齢化する手話通訳者の代わりに活動できる」というのは、正直まだまだ課題はあるだろう。今はネットなので次はテレビの中で実際に起用されるまでには色々と改善しなければならない点は多いし、視聴者の理解を得ることが重要になってくると思う。また手話CGの開発にはかなり高額な費用がかかっていると考えると、そこまで回す予算があれば字幕だけでも良いじゃないかという考えもあるかもしれない。

でも字幕挿入の技術は進んでいても日本語が苦手な高齢者だったり、漢字の誤変換による認識に差が生まれると意味がない。ここはリアル同時に手話言語で情報を得ることが、正しく情報を把握するということが大きいメリットになる。やっぱり手話言語が必要だというニーズの視聴者がいることを忘れないで、高齢化で手話通訳者が減少すると情報保障を与えることができない事態になっては困る。最先端の技術を活かして、一日でも早く公共放送の中での導入をしてくれる日を待っている。特に災害において、手話通訳派遣が困難になった時に強い味方であるということが重要ではないだろうか。

・災害時などの緊急時において、専門用語など多様な情報が交わる場面に対応可能なのか?!

 3点目にある「専門用語など多様な情報が交わる場面に対応可能」と挙げているが、これは他の人も必ず同じように気になっているところだといえる。AI技術が進歩している中で、きっといつかは改善するかもしれない。ただ問題点は、新しい言葉が出てくるとすぐ伝えたくても手話表現はまだ作られていない。というところが難点である。これは手話通訳者でも同じく、手話通訳者は、新しい言葉が出た時に指文字という臨機応変だったり伝わりやすい表現を自分なりに編み出して表現するという人工的な手話表現という判断が出来る。

でも手話CG(コンピュータの技術)だとその判断は出来ない。新しい言葉が出れば、作っていくための時間が必要などすぐ対応出来るとは限らない点がある。このような課題を解決するためには、色々と考えることが難しい。また新しい言葉が出る度に手話通訳者またはろう者を呼んで、読み取っていくためのご協力も不可欠になるので予算もかかったりするかもしれない。

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 今回は、オリンピック・パラリンピックというスポーツ競技の解説というので、よく使われる身近な語句をしっかり準備していく上で試験的に実施された。でも本来は社会全般において役に立てるためには増大な情報量が必要であり、さまざまな組み合わせを要求されることは多い。これに対応出来るにはまだまだ研究の余地が必要であるという。是非とも継続的に取り組んで欲しいと願っている。

 まとめになるが、このように手話CGというのは一言でいうと近未来の手話通訳に役に立つのではないだろうか?!という期待感が見えてきた最先端の技術であることに魅力さを感じた。一方で、人間の温かみが伝わる手話通訳者の仕事を失ってしまうのではないかと考えると、手話言語の普及を止めてはならない。手話CGという技術の活用も大事だか、手話通訳者の活用も協働で聴覚障がい者の報道、公共放送に対する情報保障を充実してあげるように体制を構築することを願いたい。