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社会人のスタート

将来のプランはまだない。やりたいことも特にない。ただ働いてお給料をもらうことができればいい。

…ただ、地元に戻りたくなかった。

地元に戻らないことを決めた理由はそれだけ。今改めて思い返すと、家族との関係があまり良くなかったこと、地元に友人がほとんどいないことが原因にあるのかな?とも思ったりする。

私が選んだ企業

あまり名前は知られていないけれど、とある業界ではトップシェアを誇る老舗の企業。私も利用していた人材会社からの紹介がなければ知ることはなかったし、説明会を受けるまでは企業の詳細を調べることもしなかった。なぜ、私はこの企業に惹かれたのか。なぜ、営業になることを決めたのか。それは当時の社長の言葉にあった。

「”喜び”を提供していきたい。提供し続けていきたい。」

自社が提供している製品に絶対の自信があるのはもちろんのこと、目先の利益のために動くわけではなくお客様のその先にいる利用者のために動くことができる企業だった。利益は大きければ大きいほどいいことは言葉にせずとも当たり前にわかることだが、たとえ利益が小さくとも利用者が満足し、充実した生活を送ることが一番だと考えられるところに私は強く惹かれていた。

私が選んだ仕事

募集は総合職だったが、基本的には入社後すぐに営業として働くことは決まっていた。営業と聞いて最初は怖気づいていたが、入社前に企業に通うことでだんだんと不安を解消していった。入社後は営業として働かなければならないためがむしゃらに頑張った。お客様と話すことでプランを作り上げて契約をもらう。そして契約して初めてお客様の抱える問題を解決に導くチャンスをもらうことができる。契約=スタートだった。

私自身、初対面の人と話すことがとても苦手。何を話したらいいかわからないし、いくつものことを並行して行うことができない。(考えながら話す、聞きながら資料を探すなどなど…)どんくさくて、理解が遅くて、人より多くの時間を使う。少しでも早く業務内容を理解したくて時間が空くのはいつか聞いて上司を捕まえた。今振り替えってみるとすごくめんどくさい部下だったように思う。空き時間を見つけては捕まえられて営業についての話をさせられたり、プレゼンを見させられたりするから。でも、その時間があったからこそ同期の中で1番に契約をとることができた上に、2年目には部内で1番の成績を収めることができたのだと思っている。

入社後に受けた洗礼

入社後は学歴差別にあった。今はあまり聞かなくなった学歴差別。同期はみんな誰もが知っている高学歴と言われる学校を卒業していた。私は世間にあまり知られていないFラン大学の出身。学歴差別はしないと謳いながらもこれまでは高学歴な学生のみを新卒入社社員として採用してきた実績がある。私の年はチャレンジイヤーだったそう。私たちの出身大学を知らない社員から「今年はチャレンジイヤーだったけど失敗したんだって。学歴ってやっぱり大事だよね~」と言われてショックだった。思わず、「あ、それ私ですかね?Fラン大学出身なんですよ。何か悪いことしちゃったかな?直すので教えてください!」というとヤバ!という顔をしながら華麗にスルーされてしまった。この日はショックで午後の仕事も仕事にならなかったが、絶対この人を見返す。ぎゃふんと言わせる。と心に決めて翌日からまた頑張ることを決意した。

頑張りを認めてもらえたのかは正直わからないが、年数を重ねる度に距離を詰めることができたため、まぁ良かったかな、と思うことにしている。

入社後に起きた変化

コミュニケーションが苦手な私が営業を始めるとどうなるのか。まず、睡眠欲が何よりも強く出るようになった。なれないこと、苦手なことをしているのだからしょうがない。入社するまでは日付が変わるまで自分の好きなことをして日付が変わったことに気が付いて焦って寝る準備を始める生活をしていた。しかし入社後は8時には睡魔がやってきて寝る準備を始めて10時には意識を失うように寝る生活になった。起床は昔から6時前後。学生のころに比べると圧倒的に長く寝ているが全く疲れが取れず土日に外出することもしばらくはできなかった。

能力面では初対面の人と臆せずに話すことができるようになった。これは私の中で一番の財産になったように思う。これまで関わってこなかった人や環境と関わることができるようになり、自分の世界がどんどん広がっていくのを感じている。内向型の私が外に出ることはとても苦痛だが、しっかり休む時間を作りながら新しいものや人と出会い、それらを知ることができた。

これまでを振り返って…

営業という仕事はもちろん簡単なものではない。新規開拓の営業をメインで行っており、飛び込み営業もしていたため冷たい言葉を浴びせられることも珍しくない。そんな中で、普通に生活していたら出会えなかったような人々や考え方に触れ、自分の中に取り込んでいくことで身になることがたくさんあったように思う。

・上司と外に飲みに行かなければ美味しいお酒の飲み方やご飯の食べ方を知ることはなかった
・地方のお客様と仲良くならなければその土地の魅力を知ることはできなかった
・同期と仲良くならなければ困ったときに助けてと言える環境が付くれなかった
・入社しなければ自分の世界を広げることはできなかった

などなど、やってみてよかったなと思うことはたくさんある。
前述の企業に入社して社会人としてのスタートを切ったからこそ見えてくる世界。確かにつらいこともあったけれどそこを乗り越えたからこそとても充実した日々を過ごせたし、今もこれからももっと頑張っていこうと思うことができている。就職活動は誰もがとおる辛く過酷な道かもしれないけれど、妥協することなく納得がいくまで続けてほしいと思う。納得がいく就職活動ができればどんな困難にも立ち向かうだけでなく乗り越えていく力をつけることができるはずだから。


***sue***

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