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旅で磨こう「文化力」

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「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の旅を通じ伝えたい。
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#戦争

旅で磨こう「文化力」 始めます

#旅行 #紀行 #文化力 #エッセイ  世界を席巻した新型コロナ禍で、増え続けていた海外への旅は、すっかり冷え込んでしまった。されど旅の魅力は色褪せることはない。旅は発見と感動を与え、好奇心を満たしてくれる。さらに旅によって、「文化力」を磨くことが出来る。私にとって、旅は生きていることの確認の場であった。智が満ち、歓びの原動力となる、そんな旅を、生ある限りこれからも続けたい。気障に言えば、「大人の心は、いつも発見の旅を待っている」。そんな旅のヒントを、これまで体験した内外の

長い戦禍を乗り越え近代化―ベトナム 多くの流された血の犠牲の上に築かれた平和

 ウクライナ戦争は1年が過ぎ、長期化の様相だ。戦争といえば安保世代の筆者にとって、半世紀前のベトナム戦争が頭をかすめる。ベトナムの地が南北に分断されて、東西陣営の軍事衝突が1960年代初頭から1975年まで約15年間も続いたのだ。日米安全保障の下、米軍基地から爆撃機が飛び立ち、ベ平連(ベトナムに平和を市民連合)の「安保ハンタイ」のデモが鮮烈に思い出される。結局、近代兵器を駆使するアメリカが、ベトナム民衆のゲリラ戦で敗れたのだから驚くとともに皮肉な史実だ。ベトナム同様、ウクライ

ヒロシマとナガサキ、そしてカンチャナブリーの旅 戦争は日常のテーマ、悲劇を風化させてはならない

 今年もヒロシマとナガサキでの原爆祈念の日、そして終戦記念日がめぐってきた。「平和ニッポン」では8月に限って、戦争のことを問い直す年中行事になってしまった感すらする。しかし21世紀に入ってもアフガニスタンやシリアで内戦が続き、ロシアのウクライナ侵攻は現在も進行中だ。その上、長期戦となり、ロシアの核使用が取りざたされる事態だ。戦争は日常のテーマである。今回の旅は、世界で初めて原爆が投下され、一瞬にして20万人もの人命が失われたヒロシマ、その3日後に再び原爆が投下され7万人以上が

アウシュヴィッツの悲劇を伝えたい 〜「戦争の狂気」を語り継ぐ大切さ 〜

今夏もヒロシマとナガサキでの原爆祈念の日、そして終戦記念日の8月が巡ってきた。満州やマニラ戦線に出兵したことのある亡父から死を待つ床で、「戦争は絶対あかん。お前を新聞社にやれて、ほんとに良かった」とつぶやいた。筆者は、戦争をテーマにいくつかの記事を書き、出版、展覧会にも関わってきたが、どれほど戦争の愚かさを伝えられてきたのか、悔いが残る。  定年後、映画『戦場にかける橋』の舞台であるタイのカンチャナブリーをはじめ、ベトナムのハノイ、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボなど世界