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「難民のこと、何も知らない」

あと数時間で2023年が終わろうとしている。

私にとっての2023年は、けっこう辛い一年だった。

ヨルダンでの生活も2年目を迎えて、生活にも活動にもすっかり慣れた中、常にどこか焦りのようなものを感じていたし、どこかで妥協している感じもしたし、周りと比べて落ち込んでばかりいたし、本当に自分が目指している方向性が分からなくなっていた。

楽しいことはたくさんあった一年やったんやけどね。


今年一年を振り返って、一番印象に残っていることを一つ挙げるとすれば、ヨルダンのパレスチナ難民キャンプで活動していた時に、言われた一言。

その日は、活動先のセンターで、センターのスタッフと雑談をしていた。

2年の任期のうち、この時点ですでに1年半以上が過ぎていて、パレスチナ難民キャンプでの暮らしがどのようなものなのか、ある程度分かったつもりでいた。

自身もパレスチナ難民であるセンターのスタッフに、私がパレスチナ難民のことをどのように感じているのかを問われた。

「ここに住むパレスチナ難民の人に「パレスチナに戻りたい?」と聞くと、「ドイツに移住したい」「カナダに移住したい」「このままヨルダンに住むので良い」と言う人もいて、パレスチナに戻りたいと思っている人は、思っていたよりも少ないのかなと感じた。」

と答えた私。

すると、彼女は大きくため息を吐き、
「あなた、こんなに長くここで活動しているのに、難民のこと何も分かってないのね。」
と厳しい一言を言われてしまった。

「私たち難民は、パレスチナに戻りたいと思っているのよ。ちゃんと親から教育を受けた人なら、パレスチナに戻りたいと思っているはずだわ。」

彼女は、訴えるように私に伝えてくれた。


私としては、本当にただ純粋に、感想を述べただけだった。その、つもりだった。

彼女から言われた「あなた、難民のこと何も分かってないのね」という言葉を何度も頭の中で反芻し、感想であろうが、失礼なことを言ってしまったと深く後悔した。

私がいくら長期間難民キャンプで活動しようが、私はどうしたって難民ではなく、難民として生きる辛さを図り知ることはできない。

そんな私のような第三者の立場の人間が、「パレスチナに戻りたいと思っている人は案外少ないのかも」なんて言うのは、彼女を失望させる言葉だったかもしれない。

もし、私のような考え方を持つ人間ばかりになってしまったら、彼女たち難民は誰も助からない。救われない。

人の痛みに寄り添うことがいかに難しいことを痛感した出来事であった。



ある意味、消化不良だったんだと思う。

だから、協力隊としての2年間の任期を終えて、2023年10月末に帰国したあとに選択した道が、「パレスチナ難民を支援する」ことができる所への就職。

そしてほぼ同時期にハマスとイスラエルの衝突が起こり、以降ガザでは多くの人が亡くなり、飢餓や感染症に苦しみ続けている。

一刻も早く停戦をしてほしい。

2024年は、1人でも多くの子どもたちが苦しまずに笑って過ごせるような世界になれるように、自分にできることをしていきたいと思う。

ちなみに、ヨルダンで撮った写真はまだ見返せないでいる。


こうやって日々生きられることに感謝しながら、新年を迎えたいと思います。

今年も私のnoteの記事を読んでくださり、ありがとうございました。

来年もどうぞよろしくお願いいたします。


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