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老年期少年小説 「誰もいなくなったのはなんで?〈4〉」【向き合うことができない①】

自分と向き合うことは…とても恐ろしいことだ。

私は60を過ぎた身だが、いまだに自分と向き合うことに苦難の日々を送っている。


私という人間は他人を誤解して責め、そのことで自分を責め、人間関係が壊れるという悪癖を持っていた。

簡単に言うと…たいてい、9割は自分の考えは勘違いだったり、おかしな考えだったりする。

そうすると、他人と付き合うことが怖くなる。
優しい人、大切な人、尊敬できる人との関係を壊すことを恐れるあまり、
私はそういった人たちとの関係を避けるようになった。

他人を傷つけることで自分も傷つける…それがいやだった。
そういうとき…私は自分に絶望し、自分を激しく嫌悪した。

そういう本当の自分を見たくないから…人付き合いを避けるようになり、
当たり障りのない関係だけ、仕事上の関係だけを最低限するようになっていた。


トラブルがあれば逃げた。
人との関係は続かない。
そんな人生を送ってきた。

【続く】