「あのマンガ、もう一回だけ読ましてくれ…」6〈アングラやふしぎマンガ編③ ~「ユズキカズさんはどこで知ったの?」「それが大学の図書館なんだよ。けっこうすけべな話とかあったとおもうけどね」「文学性が高かったのかもね」「ユズキカズさんや滝田ゆうさんやつげ義春さんは文学的で図書館はOKの基準はなんかわりにくいよね」~ほか〉
模話1「前回言い忘れてたマンガ家さんの話ね」
模話2「とつぜん思い出した作家さんとかだね」
模話1「うん。やっぱりしばらくマンガから離れてるしね、忘れてることおおし」
模話2「思い出したマンガ家さんは誰?」
模話1「前回名前が出てこないのは山野さんね。で、一時期はまってたのが花輪和一さん、ユズキカズさんとか滝田ゆうさんとかね」
模話2「花輪さんは刑務所の中でまた違ったヒットを生んだよね」
模話1「名作だし、かなり影響あったと思うよ」
模話2「献立の記録をとってあったりとか、花輪さんならではの視点だったね」
模話1「吾妻ひでおの失踪日記同様に、本人の作品を知らない人たちも読んだんだろうね」
模話2「吾妻ひでおさんのは、賞をとったよね?」
模話1「再評価につながったらよかったんだろうけど、どうだったんだろ?」
模話2「ユズキカズさんはどこで知ったの?」
模話1「それが大学の図書館なんだよ。けっこうすけべな話とかあったとおもうけどね」
模話2「文学性が高かったのかもね」
模話1「ユズキカズさんや滝田ゆうさんやつげ義春さんは文学的で図書館はOKの基準はなんかわりにくいよね」
模話2「以前、あるおかあさんが投書で蛭子さんはよくて平口さんはだめってあったよね」
模話1「蛭子さんの初期作品のほうが子どもにはよりよくない感じあるけどね(笑)」
模話2「豚男ジャパニーズとか、昔の出雲大社みたいな高いうちに住んでる家族の話とかね(笑)」
模話1「シュールな世界だったんだよね」
模話2「あっという間につまんなくなっちゃったけどね」
模話1「初期は強烈だったから、全部そろえてたけど。作家のピークって、音楽でもマンガでも文学でもあるから、仕方ないよね」
模話2「息のながい人はほんとにすごいよね」
模話1「どんな人間でも、表現でも、やはり肉体や精神の衰えはくるんだよね。だから、体力ってのは重要で、ある程度肉体的に充実しているときに訓練はしたほうがいいと思うよ」
模話2「もわくんも、素人としての表現活動は長いでしょ?やはり、体力は影響したってこと?」
模話1「何を言いたいかというとさ…例えば最近書いたものと、10年前、20年前、その前を比べてみると…体の動きや心の反射神経みたいなものの衰えを感じるわけね」
模話2「鈍感力とかとは違うの?」
模話1「確かにどうでもよくなったり、安定したことも多いし、生きやすくなったことで書きやすいこともたくさん出てきたよ。でもね、やはり10年以上前に書いたりしたものは、やはり反射神経が早くて動きが速い文なわけ(笑)」
模話2「文も年齢的な衰えの影響を免れないってことだね?」
模話1「来日する外国人アーティストでギタリストがものすごく衰えてたりするじゃん?」
模話2「うん。ブルース見に行くと、ああ、あんまり衰えてない!すごいみたいな見方は、ある意味年をとれば衰えるって思ってるってことだね(笑)」
模話1「蓄積ってものがよい方向に豊饒なものに向かう人ばかりじゃないからさ(笑)」
模話2「もわくんも衰えを感じるわけね?」
模話1「まず、ギターはもう指に出るから、タイム感がよくなるとか、味があるとかの方向にいく以外は昔より速く弾けることはまずない(笑)。俳句も川柳も10年前より詠める本数もスピードも落ちた。アイデアも反射神経とともに鈍くなったよ。訓練すれば、ピーク近くまでは戻るけど、最高点を更新するのは難しいよね。だから、文学でも音楽でも俳句も川柳も、やりたいと思う方はできるだけはやく自分の容量いっぱい、到達点の最高まで体力精神力が衰える前にやったほうがいいですよと伝えておきたいのでございます(笑)」
模話2「もわくんはいいとしして、こんな20代に書いとくような文を書き続けてるのはなんで?」
模話1「衰えてるけど、まだできるから…この一連の作品で伝えてるように、生きてるうちに書いとこうってことです(笑)」
模話2「愛は生きているうちに(笑)」
模話1「ジャニスでいちばん好きな歌だね。そうそう。生きているうちにってことだよ」
模話2「じゃあ吐き出し終わるまで書けよ(笑)」
模話1「そのつもりだよ」
模話2「続けなさい(笑)」