[essay]じぶん

『他人と比べるな』
『自分は自分だから』

今まで生きてきて、何百回、何千回聞いてきた言葉だ。

自分もそう信じて生きてきた。
「他人と比べてはいけない、自分は自分だから」

でも、なんでこんなにも息苦しいんだろう。

他人と比べることを、なぜ否定するのだろう。
他人と比べて何が悪い。

他人と比べて、初めて自分には才能がないと気付いた。
他人と比べて、初めて自分にはそこまで努力ができないと気付いた。
他人と比べて、初めて自分はカッコよくないと気付いた。

でも。

他人と比べて、初めて自分の良いところに気付けた。
他人と比べて、初めて自分は才能がないから、がんばらなきゃと気付けた。

そして、
他人と比べて、初めて自分はそこまで頑張れないんだ、と気付けた。

それでいい。

頑張れないから、頑張る人を支えようと思えた。
才能がないと気づけたから、才能がある人を支えようと思えた。
カッコよくないと気づけたから、カッコいい人をカッコ良く紹介できるように頑張ってみた。

思えば、僕が尊敬する人はみんな、
他人と自分を比べて、
自分に足りないものに気付いて、
悔しがって、
努力して、
そして、輝いていた。

「じぶん」
他人と比べながら、少しずつ「じぶん」を象っていく。
他人と比べながら、少しずつ「じぶん」の立ち位置を見つけていく。
他人と比べながら、少しずつ「じぶん」を知っていく。


どうか、他人と比べることを否定するのではなくて、
他人と比べた後に、どう考えたらいいかを教えてください。
他人と比べながら、「じぶん」を探している子たちのその道を塞がないでください。
頑張れない子に、頑張れと声をかけないで下さい。

みんな他人と比べながら、
少しずつ「じぶん」を知ろうとしているだけだから。

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