見出し画像

ボードウォーク・エンパイア 欲望の街:性格俳優祭りのドラマですね。

相変わらず1人でマイケル・シャノン祭りをしていて、彼の代表作と言われているHBOドラマのボードウォーク・エンパイア(2010~2015)を見始めた。禁酒法時代のアトランティック・シティ、町の実力者ナッキー・トンプソンのお話。マーティン・スコセッシ制作総指揮、禁酒法時代アメリカの大人の男性向けどろどろした裏家業ドラマである。脇役ウォッチャーでこの人を知らなかったら偽ウォッチャーとみなしていい、スティーブ・ブシュミがナッキー役。現在シーズン1の12話を見終わったが人生でこれほど毎日スティーブ・ブシュミを見ることになるとは思わなかった。日本ではWOWOWでシーズン3まで放映したという。シーズン5まであるのに。人気無かったのか?

マイケル・シャノンはナッキーを追う優秀で仕事熱心な連邦捜査官ヴァン・オルデン。この役についてインタビューで「撮影場所が家から近いから娘と過ごせるし」ってことで受けたそう。「でも正義感が強い捜査官役ってことで受けたのに。。」と言葉を濁していた。シーズン1見終わって分かった、これが彼の代表作と言われる訳が。この人はintensity(強烈)な演技で有名で、キレたり人を脅したりといった凄みのある演技が秀でているのだけど、ヴァン・オルデンは部下は殴っちゃうし、職務遂行のためには怪我人の傷口だって締め上げるキレキレ捜査官。聖書を諳んじ信心深く糞まじめな堅物でありながら、凄い形相でキレる。3話に一回の頻度でキレる。そのアンバランスな対比がユーモアを生み、彼の持つ「秘密」も含め、シリアスなドラマの中でも目立つ存在になっている。彼は回を追うごとに悪に染まり堕ちていくから、このドラマをオンタイムで見ていた視聴者はヴァン・オルデンが気になって仕方なかったのではないか。マイケル本人も「ヴァン・オルデンには幸せになってほしい、だって不幸でかわいそうすぎる」「ヴァン・オルデンが畑でも耕し幸せに余生を送るってストーリーはどうかってライターに話してみた」とインタビューで語っていた。が、彼の願いは聞き入れられなかったのである。まあそうだろう。

シェイプ・オブ・ウォーター関連のインタビューでギレルモが言っていた、サリー・ホーキンス、オクタビア・スペンサー、マイケル・シャノンなどメインキャストについて、最初から彼らをイメージして脚本を書いたのだと。だからあの映画ではすべてが適材適所なのだ。マイケル・シャノンの演じるストリックランドのキャラについては「かつての勧善懲悪ストーリーではヒーロータイプの、square-jawed(角ばったあごの)男っぽいキャラが必要だった」そうで、特に作品名は挙げなかったが、このヴァン・オルデン役がイメージにあったのは間違いないだろう。なぜなら2つのキャラに同一点が多く見られるからだ。隙のないスーツ姿で職務遂行のためにはなんでもする、下の者には強気だが上司に叱られてストレス受けるところもそっくりである。何よりも決定的なのはストリックランドがマイケル・スタールバーグ演じるのロシア人科学者(彼もボードウォーク・エンパイア出演者)の傷口に手を突っ込み尋問するシーン。全く同じ場面がボードウォーク・エンパイアにもある。ヴァン・オルデンが初めてキレる場面で、傷の場所もカメラアングルも一緒で明らかに意識的。が、彼らの決定的な違いは、とことん嫌なやつのストリックランドに対しヴァン・オルデンには良心が残っていることだ。

ボードウォーク・エンパイアの話に戻る。大人の男性向け、と書いたのは暴力&セックスシーンが多目だからなのと、スティーブ・ブシュミが主役でシリアスなマフィア物だからという私の勝手なレッテル貼りなのであしからず。しかし見始めてすぐスティーブ・ブシュミのセックスシーンに驚いた。イケメン担ビンセント・ピアッツァのフルチン姿にも驚く。間違いなくNSFW。ノースーツフォーワーク、仕事場では見ないほうがいいという略語。そして何よりも困惑したのはシーズン1中一番激しかったのがマイケル・シャノンのセックスシーンだったことだ。なんでだ。やめてさしあげて。。誰得なんだ。ファンの私でも恥ずかしくなるから、視聴者は皆困ったはずだ、そう思ってから気がついた、それが目的?「まさかこの人が?」の演出なんだな。あの糞まじめな男がこれですよ皆さん。。的な。ファンとして是非言っておきたいポイントは、頭がベッド柵につっかえてた事ですね。どうみてもマイケル・シャノンにあのベッドは小さすぎである。

さてこのドラマ、可愛いのが主人公ナッキーのドイツ人の執事。メガネのおじちゃまなのですが、憎めないキャラで出てくるとほっとする。あと殺し担当のハローさんね。よく見ると登場人物中で一番イケメンなんだけど戦争で顔半分失ってる想定で、不気味なマスクをつけててオペラ座の怪人みたい。知的で物静か、心の優しい人のようなのに戦争を体験したことで心に闇を抱え暗殺者になってしまうのだ。こういう人はシリーズ途中で絶対死ぬから、せめてシーズン2で死にませんようにと祈る。HBOのドラマですからね、いつ誰が死ぬか分からないから油断できませんね。

同じ時代の性格俳優男祭りドラマでも英国を舞台にしたピーキー・ブラインダース、こちらは前から見たかったんだけど見はじめたら絶対寝れない気がするのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?