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政治家に庶民感覚なんて要らない 庶民に政治家感覚こそ必要だ

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 去年の10月に個人ブログへ書いた記事です。選挙や庶民感覚の欠如の話題は、時節を外してしまっていますが、ご容赦ください。

2021年10月29日
 もうすぐ選挙です。近くの街頭演説がうるさくて気が散ります。演説で「料亭政治」だとか「庶民感覚」だとか言ってます。よし、このへんの話にしよう。

 選挙といえば、ボクは今まで約35年間のあらゆる選挙で棄権してこなかったはずです。たぶん自慢できることなのでしょう。しかし客観的に証明することができません。投票後に投票証なるものが貰えますが(最近は貰ってないかも)、いつも捨ててしまうし、集めたところで完璧な証明とは言えません。データは残してくれているのかな? 連続10回無棄権とか通算30回無棄権とかで表彰してくれないかな。できれば賞品をくれい。牛肉をくれい。

 さて「庶民感覚」です。この言葉が嫌いです。以前「国民感情」「血税」という言葉が嫌いって書きました(バイバイありがとう、さようなら ズルい言葉たちよ)。似たような言葉です。便利で反論しにくい意味ありげな言葉を持ってきて、印象を操作するのは卑怯だと思います。一種のレッテル貼りですね。

 10年くらい前の自民党総裁選の時、高級ホテルで行われた安倍元首相の決起集会で、3500円のカツカレーが出されたことがありました。総裁選に「勝つ」というゲンを担いでのことでした。
 3500円もするカレーなんて「庶民感覚の欠如」だとネットで話題になり、テレビワイドショーで喧々轟々でした。わざわざそのカツカレーを食べに行ったりしていました。
 あー何という想像力の欠如でしょう。ボクはゲンナリしてしまいました。

 決起集会とのこと、国会議員が大挙して集まります。国の中枢を担う人たちです。自民党本部は総裁選の建前上使えないでしょうから、集まるのは警備がしっかりしている高級ホテルしかないはずです。
 その高級ホテルの食事が高いのは当たり前です。まず常に新鮮な食材を多めに準備して、切らさないようにしています。メニューに載っているものは必ず出すのが高級ホテルなのです。お金持ちの急なワガママに対応することにコストをかけているのです。お金持ちに逃げられない戦略を第一優先にしていて、庶民を相手にしていない世界なのです。
 スタッフにもそのための教育をしています。ワガママなお金持ちの気分を損ねてはいけません。その辺はマスカレードホテルの長澤まさみさんがお詳しいです。バイトのような時給1000円台なんてありえません。英語も堪能でプロのサービスの訓練を受けています。警備にもコストをかけています。
 カツカレーが3500円になっているのは、そういうコストです。決して高級食材を使って、一流シェフが作っているからだけじゃない。

 庶民感覚を発動して、安い貸会議室を借り、800円くらいのデリバリーを頼んでいたりするほうが問題です。毒を盛るのは造作ないでしょうし、集団食中毒の危険性は高級ホテルより高いでしょう。そんなことで事故があれば、政治が止まるだけでなく、国際的に恥を晒して信用を落とすなどの国益に関わります。そういう論説って聞きませんでした。

 よく政治家が料亭に行っていることも揶揄されていますが、老舗の高級料亭は「口が固い」から政治家が通うのです。誰と誰が会った、財界のあの人も来た、ということは今後はどうなるのか、そういう情報に対する統制が取れているのが高級料亭なのです。
 高級ホテルも昔は口が固かったそうで、よく芸能人の密会にも使われていたのだとか。今はそうでもないらしいですが。

 警備や食品管理、スタッフのスマートさ、情報統制等々にコストがかかると、料理も高級になっていくのが必然です。そこだけ庶民的だと営業的に無理があるからです。つまり政治中枢にいると高級料理は避けて通れなくなるのです。庶民であってもそれくらいの想像力は働くでしょう。

 政治なんてそもそも卑しい人間のすることです。選挙民に低頭しつつ、多くの人がすり寄ってきてセンセイセンセイと呼ばれ、多くの役得に恵まれます。高潔になんてなれるわけない。それでいて庶民感覚を振りかざしたら、それこそフィクションです。
 政治家が庶民感覚を持つより、庶民が政治家感覚を持った方が国は良くなるでしょう。つまらないことに怒ってワーワー言うエネルギーが、もっとマシなことに使われるはずですから。

 うるさいなー。街頭演説はいつまで続くのだ。気が散って、ありきたりでつまらない結論にしかならなかったじゃないか。自分の記事のつまらなさを政治のせいにしておこう。何でもかんでも政治のせいにするのが正しい庶民感覚だ。それではまた。

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