『おともだち』ジャンル:ホラー

大学時代の知り合い(以降、Sくん)から聞いた話。

Sくんが高校生の頃、家に変な電話がかかってくる時期があった。
「わたしよ、しょうこよ」
開口一番、電話の相手はしょうこと名乗った。すごく上品そうな声色で、ゆっくり1文字1文字読むような感じで話すらしい。
相手が誰かもわからないし、間違いじゃないのか?と思ったSくんは、相手にそう伝えて電話を切った。
これが複数回あったが、そんなに高頻度ではなく忘れた頃にくるもんだから着信拒否とかは特にしていなかった。
ある時、家にお母さんがいるときに電話がかかってきた。もちろんお母さんも心当たりがなかったため、Sくんと同じ対応をした。
それでも何度もかかってくるため、「お母さんの昔の知り合いじゃないの?」などとふざけてたら、お母さんが「もしかしたらあの子かも・・・」と言う。
しょうこはお母さんが小学生の時に途中で転校した子で、クラスではいじめられていたそうだ。
だが30年近くも前の話で、お母さんは名字が変わっているし特に最近クラス会があったとかでもない。何より今住んでいる街は、小学生の時に住んでいた街とは数百キロ離れている。転校したしょうことは別人でたまたま同じ名前の人の間違い電話だろう、という話に。

忘れた頃にしょうこから電話が来た。お母さんが出て、若干怒気を含みつつ「いい加減にして。あなたのことなんて知らないし、何度も電話かけてくるなんて非常識。金輪際電話してこないで」と伝えた。そしたらあいてはクスクス笑い出し、「小学校で途中まで一緒だったじゃない。私たち、おともだちだったでしょ?◯○さん」と、お母さんの本名をフルネームで言う。びっくりしたお母さんは電話をすぐに切った。
間違いなくあの「しょうこ」本人。怖くなった二人はお父さんにもこの事を話して警察に相談しにいこうとなり、お父さんが帰ってくるのを待った。しかしお父さんは夜勤だから帰ってくるのは次の日。流石に同じ布団では寝なかったがSくんはお母さんと同じ部屋で寝た。

翌日、お父さんが帰ってくるまでに二人でどうしようか。って話をして買い物に出掛けた。Sくんは自分もビビってたくせに、「お母さん、しょうこ今もう近くにいてお母さんを見てるかもよ」と言ったらお母さんは結構マジで怯えてたらしく、すぐに家に帰った。
家に帰り、窓の方に目をやると、歯茎をむき出しにするぐらい笑ってる全身真っ赤な服を着た女が窓にべったりはりついていた。
びっくりして二人とも腰抜かしてたら、ちょうどお父さんが帰ってきて、女の方はお父さんに気付いたのか、窓を開けようとするのをやめて逃げた。
すぐ警察に連絡して、その女もすぐ逮捕されたらしいんだけどその女があわてて逃げた時に落とした肩掛けの鞄があって、大量の包丁が入っていたそうだ。

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