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イカット クジラと塩の織りなす布の物語


たばこと塩の博物館 江上幹幸コレクション インドネシアの絣 2023年1月21日~4月9日

着物を身にまとうようになってから布にくるまれる喜びを感じるようになった。
衣食住というくらい、人類が衣を得たことはその発展の大事な要素のひとつだった。ファストファッションという言葉が生まれてすでに久しいけれど、元来衣を得るまでは、自然の力と人の手を沢山に経る必要があるスローな、スローなもので、それは一生の財産として大切に使い、使いまわしするものであった。

布に施す絣模様は世界中にあって、インドネシアのイカットもそのひとつ。
たばこと塩博物館で、江上幹幸さんがインドネシア レンバタ島ラマレラ村に通い収集した1960年頃~1990年頃制作のイカットと人々の生活にまつわる展示がされていた。

2023年現在の生活はどうなんだろうと思いながらも、つい最近の布とそのとりまく生活があまりにも素朴なものであることに驚きつつも、展示された布たちがあまりに温かな風だったのにあぁそうなのか、と改めて布とはどんな存在だったのかを思った。温かな、というのは暖を取るという意味ではなくて、それは大切なものを愛おしみ守るようにくるむ存在としての布。展示されているイカットの多くは婚礼時の晴着や婚資として時間をかけ、技巧を凝らし織られたものなのでより一層その傾向が見て取れる。一方、日常使いの布はというと、展示された漁や市場のスナップ写真では縞や格子模様の木綿の布を腰に巻いている。そもそも、これらの布でどのような衣服なのかな?と思っていたら腰布でした。温かな地域では身体を守るものは腰布なのですねぇ。今は上体はシャツなどを来ていますが、昔はトップレスだったのかな。腰は大切なんだなぁ。

どれほど大切なものだったかというと、イカットを作る工程のごく一部、藍染にかかる時間はというと、赤で3~4年。赤茶で5~6年とのこと。せいぜい数日かと思っていたので、時間軸が違うんですね。そりゃあ、大切な布。その布はくるんだものを守ってくれるものでしょう。

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