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日記:20230810〜「忌み地・屍」〜

 福澤徹三・糸柳寿昭「忌み地 屍」読了。


 福澤徹三さんと怪談社による共作シリーズ第4弾。現場の写真が挟まれたり、実際にその場を訪れて直接人から聞いた話であることが生々しく伝わってくるのが特色。
 中では「生首」が出色。直接的な怪異現象もなかなかぶっ飛んでいるのだけど、タクシー運転手の憶測通りだったとすれば、客の意図がそれ以上に不気味で怖い。短い話の中に、複数の要素が詰まっていて面白い。
 「東十条の乗客」も薄気味が悪くていいのだけど、空気階段のコントを思い出してしまった。
 「きれいな部屋」は作中でも「これホラー映画?」という台詞が出てくる通り、ちょっとモキュメンタリー系のホラー映画っぽすぎて、リアリティに欠けるところはあるけど、描かれている内容はとても魅力的で怖い。
 逆に「湖面に浮かぶもの」は怪談としてはかなり地味ではあるものの、登場人物のとる行動にもリアリティがあり、実体験なのだろうなと思わされる。じっとりした厭さがある話。

 

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