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『シャーリイ』

7月23日
『シャーリイ』@新宿シネマカリテ
 

 誕生日でした。この年齢になると、もう誕生日だからって特別なことするのもダサいよね、とか思うのもわずらわしく、あと何回誕生日を迎えられるかわかんないのだから誕生日くらい特別なことをしよう、と普段めったに行かない映画館へ行くことにした。なにか口実を作らないと特別なことをしないまま一生が終わってしまう。

 大好きな小説家シャーリイ・ジャクスンの伝記をベースに、虚実を入り交えたサスペンス映画。
 始まってすぐ、これ苦手なタイプの映画かなと心配したけど、トータルで見たらなかなか。たぶん見る人を選ぶタイプの映画だと思うし、シャーリイ・ジャクスンをよく知らない人にとっては難解に感じたのではないか。

 でも個人的には小説作品を元にした小ネタも随所に見受けられ、ニヤリとさせられる場面もありなかなか楽しめた。
 何よりローズとシャーリイの間に徐々に生まれていくシスターフッドとも淫靡とも言える関係性が魅惑的だし、抑圧的で利己的な男性の描き方の巧さに舌を巻いた。
 スタンリーから家に住み込んでほしいと依頼され、近くの人に挨拶するふりしてローズに押し付ける場面で、開始早々ろくな夫じゃないことがさりげなく示される。
 シャーリイも男性中心主義的な社会や夫の支配に反発しつつも、ラストシーンでは夫から小説を褒められて泣き出すところに、依存的な関係から逃げ出せない彼女の弱さが表れていて、胸が締め付けられる。

 ストーリー的には『処刑人(絞首人)』のモチーフになった女学生失踪事件が深く関わっていて、シャーリイ、ローズ、ポーラ・ジーン・ウェルデンが溶け合うように重なっていく。
 ただ、実在する人物をモデルにしながら、実際に起きた失踪事件にシャーリイの夫が関与していたような描き方をしているのは道義的に問題ないのだろうか。


 映画自体はわりと楽しめたのだけど、館内の空調がだいぶ寒かったこともあって、後半はずーっとトイレを我慢していて、映画見にきたのか尿意をこらえにきたのか分からなくなってしまった。ギリギリで我慢できた。よく耐えたよ膀胱。えらい。
 こういうことがあるから映画とかの座席に長時間拘束されるイベントに行くのを避けてしまっていたのだけど、今後もますます心理的ハードルが高くなってしまった。


 軽く落ち込みながら、新宿タワレコに二丁魁のブースを見にいき、ついでに『VDC Magazine』を購入。VDCがなかなか見当たらなくて、店内を彷徨い歩いてしまった。
 二丁魁が起用されたタワレコの『NO MUSIC , NO IDOL』のポスターも見られた。『たった一つのCDを 100万「枚」ではなく 100万「人」へ届けたい』という、二丁ハロの頃から二丁魁が言い続けている大切なポリシーが、CDショップのポスターに書かれたこと、ものすごく特別で歴史的なできごとだ。


 それから、タワレコの入っているフラッグスのビジョンで、今日まで二丁魁の映像が流れるらしいので、東南口の路上で待つ。ひたすら待つ。いつまで待てばいいのか不安になりかけた頃、タワレコのレコメンドとして『キラキライクストーリー』のMVが流れた。
 時間としては一瞬だったけど、世界に向けて二丁魁の曲が放たれていることが嬉しく、誇らしかった。かわいいものはどんどん発信していこう。


 かわいいものを吸収する仕上げとして、ラケルにオムライスを食べに行った。セットメニューでラケルパンもつけたら、それなりのお値段になってしまったけど、まあ誕生日だからな!かわいいをケチるな!とおかしなテンションで完食。


 歳は重ねていくものだけど命をすり減らさないよう、健康第一でぼちぼちやってきます。


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