日記:20231010〜京極夏彦「狂骨の夢」〜

【ネタバレを含む感想です】

 「鵼の碑」を読んだ勢いで「狂骨の夢」を3度めの読了。
 これが自分にとって最初の京極夏彦だった。当時はシリーズものを順を追って読むことに無頓着だったもので。
 当時ってもう何年前だ。まだ実家で暮らしていた頃だろ。恐ろしい。

 恥ずかしながら、過去2回読んだ時は、それこそ夢の中のように錯綜とした展開に全くついていけず、ぜんぜん内容が理解できていなかった。
 3回めの再読にしてようやくストーリー全体を、今まで何が理解でていなかったのかを把握できた。
 海岸における伊佐間と朱美の印象的なラストシーンさえ、誤解したままでいた。投げ捨てた髑髏が宇多川だと思っていたのだから、過去の自分は何を読んでいたんだろうか。

 でも「ドグラ・マグラ」を原作読んでさっぱり理解できず、松本俊夫監督の映画版を見て、ああこういうお話だったのかと納得しつつ、ほんのり寂しさも覚えたように、枝葉末節を捨てて筋書きだけを理解してしまうのは良い読み方ではないのだろうな。
 内容を把握できるかどうかよりも、読んでいる間中、心地よく幻惑されたかどうかが大事な気もする。まあ、以前に読んだときは幻惑以前のレベルで理解できなかったのだけど。
 やっとある程度、ストーリーが掴めて今回は視界が不鮮明なまま揺さぶられるような酩酊を味わうことはできた。精神分析や、悪夢・幻覚としか思えない体験が……という筋立てはかなり好み。ちゃんと理解できれば初期作品の中でもかなり好きなほう。
 西遊記とか、後催眠とか、以降の作品に繋がるような記述が散見したのが発見だった。

 
 今なら何でも読めるような気がするので、小栗虫太郎を数十年ぶりに再読してみよう。

 

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