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駅のフードコートで後輩と。

駅のフードコートによく行く。
休みの日に友達と行ったり、土日にスタバで飲み物を買ったり。

でも一番よく行くのは仕事帰り。
先輩と、後輩と。みんなでいったり、それぞれと行ったりする。

フードコートは安心できる。
おいしい食べ物がたくさん並んでて選び放題だし、雑音に包まれて誰も自分たちを気にしない。

幸せと無関心がほどよく押し寄せて、波のように引いていく。
食べて話して、食べ終わっても話し続けて、時計をみて「そろそろ」なんて言って立ち上がる。

その余りにも日常じみた日常にほっとする。

あとから考えるとそんな良さがあるけれど、そんなことも考えずに、わたしはフードコートに行く。

あのひとが冷めてると愚痴を零しながら頬張ったたこ焼き屋さん。
ドーナツ、ワッフル。
後輩がいつもココアを頼むドトール。
もちもちのタピオカ。


今日はそのフードコートで、後輩に自分に好きな人がいることを打ち明けた。

可哀想なくらい噎せていた。

そりゃそうだ。後輩は相手のことも知っていた。

それでも真面目に話を聞いて、そのうえで聞かなかったふりを決め込むことにしてくれた後輩は本当にやさしい。

あーだこーだ言いたいことも、文句も、あいつは辞めといた方がいいとかいう言葉も、たぶん、ぜんぶ、飲み込んでくれた。

たぶんいまごろ唸りながら帰りの電車に乗ってるのだろう。

すこしかわいそうだと他人事のように思う私は、嫌なセンパイだ。

……。

みっつ買ったワッフルを、ふたりで分け合える後輩なのだ。


これからも、ドーナツでもワッフルでもたこ焼きでも、いっしょに食べられますように。


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