詩の授業をどう実践するか?
けい先生です。2024年4月21日、長崎の国語教育実践家が集まるサークルにオンラインで参加しました。テーマも文学国語と論理国語、教科書問題などテーマが多岐にわたる中、ふと詩の授業が話題になりました。詩はどうやって授業で扱ったらいいのでしょうか。
1 多数の詩を提示する
話題の中で、非常に興味深かったのが、多くの詩を教材として生徒に示す方法です。これは1冊の教科書ではできません。教科書を軸に他の書籍やネットなどから30~40の詩を集めて補助教材を作る必要があります。この方法がユニークなのは、一つの詩の魅力を押し付けず、生徒が多くの詩の中から自分の好きな詩を選んでいる点です。
たしかに、教科書で出される詩がすべて生徒にとって面白いものとは限りません。生徒それぞれに、成長の度合いも感覚も異なっているからです。しかし、たくさんの詩があれば、その中に自分の好きなものが見つかるかもしれません。単純な方法ですが、これまで教科書の詩だけをテキストにしてきた私は「それ、いいかも」と、妙に納得したのです。ポイントは次の通りです。
古い詩、新しい詩、さまざまなジャンルの詩を集める。生徒の世代にも知られている歌の歌詞も含むとよい。
ジャンルはばらばらにする方法もあれば、「恋の詩」「ことば遊び」などカテゴリー別に分ける方法もある。
玉石混交でよいが、本当に「力のある」詩をできるだけ多く含めるように努める。
たくさんの詩の中から、生徒に「これ面白い!」という詩を選ばせる。
その選んだ詩がどうして面白いのかを説明させる。それが詩の授業になる。生徒が説明に困っているときは、教師が補足する。
2.「サラダ記念日」は定時制には向かない?
noteには、俵万智先生も書いておられるので、ドキドキしながら書きますが、あくまで一つの実例です。定時制高校の生徒には、意外と「サラダ記念日」はウケなかったようです。
念のため説明すると、「サラダ記念日」は私が3歳のころに大変話題になった歌集です。短歌の歴史に刻まれた作品です。さて、その実践家の先生は、40首ほどの詩を「サラダ記念日」から選んでプリントにしたのですが、どうも生徒が面白がらない。「何が面白いの?」と。
その先生は別の作品を読ませたそうです。授業中にゲームをやったり、隣の子としゃべったりするその子どもたちが、大阪釜ヶ崎の詩人、東淵修の詩を読ませると、ちゃんと聞いていたというのは興味深いエピソードです。不勉強で私も読んでいなかったので、探しました。次のような詩を書かれています。
兵庫の生徒たちだったので、この大阪弁や生活の感覚の方がなじみ深かったのかもしれません。
3 さいごに~力のある教材を読ませたい
勉強会で出てきた、「力のある教材」という表現が印象に残っています。私たち教師は、つい目新しい教育方法や教育理論に飛びつきたがります。それは好奇心旺盛の表れなので悪いことではありません。ただ、その教材を本当に自分がよい作品だと思っているか、それを自身に問いかける必要があります。子どもたちには、心を揺さぶられる作品に出会ってほしい。たくさんの教材があれば、きっとその中に彼らのお気に入りを見つけてくれるはずです。
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