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なぜ進学校で組合の組織率が高いのか?

けい先生です。
進学校(公立)では、教職員組合の組織率が高い傾向にあります。3月18日、本県でも人事異動の労使交渉が行われますが、こうした異動やパワハラなどの個人のトラブルの相談、学校の教育条件改善のためなど通常の理由は当然あります。しかし、もう一つ、進学校ならではの事情があります。それは、

県庁に出向したり、管理職になったりしたときにその経験が役立つからです。

現に、県庁関係で言えば歴代の教育長を始め、課長、主幹クラスに至るまで、組合の経験がある方はたくさんいます。また、校長や教頭も同様です。そして、そのような方々は、組合活動を通して得た経験を生かし、現場の教職員の立場に立って、教育行政や学校現場で尽力しています。

他の都道府県の事情はよく分かりませんが、進学校に赴任する教諭は、出向人事や将来の管理職につながる方が多い傾向にあります。学校の予算がどう決められるか、異動人事はどういう仕組みなのか、子どもたちの教育条件整備をどう整えるかなど様々なことを知る必要を、この方々はそれなりに意識しています。そして、教職員組合が、それらのすべてに関わっているため、自分の将来のキャリア形成のために加入するケースがあるのです。

学校現場の立場から行政にものを言う

教育委員会は、予算を財政当局から獲得しなければなりません。ボロボロの学校、子どもたちのタブレットの更新、給食費の無償化など、財政当局と厳しいやりとりをして予算を獲得しています。組合に所属していると、組合の役員でなくても労使交渉の情報が詳細に得られるので、出向したときにも大きなアドバンテージになります。多忙解消のための自動採点システムを組合が交渉で要求しましたが、ご担当のみなさん本年度、本当にがんばって獲得してくださいました。

組合出身の管理職はパワハラをしない傾向にあるが・・・

組合出身の管理職の方々(校長、教頭)はパワハラをしない傾向にある、これは本当にそうです。しかし、例外もあります。それは、県庁に出向し、行政のタテ割り組織の中で傷つけられ、同じことを管理職になったときに繰り返すパターンです。

管理職からのパワハラ相談も組合では受けることがあります。複数のパワハラ相談窓口があるので、基本的にはそれらにつなげることが多いです。同時に、「こうした事案が発生している」ということを、人事を担当する教職員課に連絡して県教委側からも確認を取ってもらうこともしています。

公立学校の教員は教育公務員です。自分のためだけに仕事をするのではなく、公教育を守るために、わたしたちは様々なことを知っておく必要があります。


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