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乗り越えられない夜に何度も聴いたバンプのアルバム「COSMONAUT」

昔は、音楽は絶対CD派だった。そんな僕も、サブスクで好きな曲だけのプレイリストを作り、シャッフル再生というイマドキな聴き方をすることが増えてしまったが、1曲目から通して聴くことに意味があるアルバムの考えられた曲順を、僕は結構大事にしている。

BUMP OF CHICKENの「COSMONAUT」は、僕にとってかなり大事なアルバムだ。(といいつつ、TSUTAYAでレンタルしてウォークマンで聴いてたのだけれど)リリースされた当時、僕は中学生。バンドの曲を聴いている=カッコいいという風潮にまんまと乗った僕は、片っ端から今まで開拓してこなかったバンドのアルバムたちをTSUTAYAで借りては、ウォークマンに取り込んでいた。正直、最初はそのたくさんの中の1枚だった。

このアルバム、1曲1曲が流れるように進む。最初は似たような曲ばっかだななんて思った。バンプの曲がみんなこんなテイストなのかと思ったら、他のアルバムを聴いたら全然違った。あえて、プレイリストのように作られたアルバムだと、僕は思っている。

イメージとしては、1曲目の「三ッ星カルテット」が日の入りで、「66号線」あたりで真夜中を迎え、「beautiful glider」は歌詞の通り夜明け前って感じ。明らかに、夜の始まりから終わりまでを意識した曲順だ。

高校生になると、中学の頃の無邪気な夜更かしとは違う、何かに飲み込まれそうな夜が増えた。親元を離れ、一人暮らしをし、お酒を飲めるようになったら、もっとそんな夜が増えた。

心は強くならないまま 耐えきれない夜が多くなった
BUMP OF CHICKEN「HAPPY」

そんな夜に、何度このアルバムの曲たちに救われたか。

自分より優秀な誰かを褒めて、自虐で笑いにするのになれてしまったあの頃、帰り道で聴いた「66号線」。

こいつにはなんにも敵わないなって 笑いながらさ 実は結構傷つくんだぜ

慰めが欲しくて聴いたけど、「イノセント」に自分の尊大さやダサさ、イタさを見抜かれて、貫かれた日もあった。

子供じみていて恥ずかしいよと馬鹿にしたけど
おそらく自分より素直で勇敢なだけ
努力はおろか行動さえ起こせないのに
まわりの奴等は狡いと決めて

社会人になって、仕事を辞めたとき。自分の決意は固まってたのに、誰かにいちいち引き留められるのが辛かったとき、「beautiful glider」が背中を押してくれた。

もう答え出てるんでしょう どんな異論もあなたには届かない
もう誰の言うことも 予想つくくらい長い間悩んだんだもんね

その時々によって、特に刺さる曲は違うが、これからも乗り越えられそうにない夜に、僕は「COSMONAUT」を繰り返し聴くと思う。どんな夜に聴いても、「三ッ星カルテット」を聴けばワクワクする夜が始まるし、「透明飛行船」や「魔法の料理」、「宇宙飛行士からの手紙」を聴けば、子供時代にタイムスリップできる。そして、必ず「beautiful glider」を聴けば、夜が明けるのだ。いつだって、共に夜を乗り越えてくれるこのアルバムが、僕にとっての大事な一枚だ。

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