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あの日偶然助手席に乗った

aikoの「横顔」をずっと聴いてしまう毎日。もとから好きだった曲だけど、聴こえ方が変わってしまった。

前に書いた記事の続き。
しつこく同じ内容の記事で申し訳ない。

異動最終日。Aさんと一緒に帰ることになった。他部署だけど、上がる時間がいつも近くて、この日もそうなることを期待していたら、「じんすけくん最終日だし」と言って、いろんなもの奢ってくれた。いつも奢ってもらってばかりですみません。僕もお返ししたかったけど、たぶん後輩からそういうの嫌がるから。

一緒に上がった日は、駐車場でAさんの車の助手席に乗って、小一時間おしゃべりすることが時々あった。思えば、初めて「ちょっと喋らない?」って誘われた日、少し好きになってたのかもしれない。いつもぽわんとしてて、ヘラヘラ笑っているAさんがどことなく疲れてみえて、珍しく部下やパートさんの愚痴を話してくれた日、嬉しかった。

最後の日も、「いや〜じんすけくん今日で最後か〜寂しいな〜」とずっと言ってくれたAさん。「辞令はちょっと前から出てたじゃないですか。分かりきったこと何回言うんですか」と憎まれ口を叩く僕。「でも、ぼくもAさんとこうやってなかなか喋れなくなるの寂しいな〜」とおどけて本心を言ってみる。出会ってまだ半年とかだけど、実は初めて会ったときこんな印象でした、みたいな思い出話にはじまり、キャリアや仕事の真面目な話もした。

「実は昨日今日と感極まって2回泣いちゃったんです」と話すと、「頼むから今ここで泣き出さないでよ笑」と返すAさん。本当に湿っぽいのぁ好きじゃないんだろうなぁってのは思ったから、「泣きませんよ笑」って笑って返したけど、本当はちょっと泣きたかった。

この気持ちは言ったところでどうにもならない。もちろん言うべきではない。無駄に想いを募らせるくらいなら、離れることは幸運だったのかもしれない。でも、たぶんしばらくはAさんのことを思い出してしまうと思う。連絡先も知ってるし、「またご飯行こう」って言ってくれたから誘えば会えるんだけど、変な意地と強情で、きっと新しい環境にすっかり慣れるまでは僕は誘わない。

Aさんの助手席で1時間喋って、「明日も早いし帰ります」と言い出したのは僕だったけど、本当は帰りたくなかった。でも、行動を相手に委ねるともたれかかってしまう僕は、自分で先に動かないとダメだなぁと思って、いつも少し意地を張ってしまう。実際そろそろ帰る頃合いではあったのだけど。

文章として、想いが先行しすぎて全然まとまってないけど、久しぶりに人を好きになれた感覚を僕はちゃんと覚えていたい。でもできれば、今度はちゃんと好きになる資格がある人を好きになりたい。

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