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介護DXが進まない理由は「学ばない人」にある


以前「介護事業DX 業界標準の指南書」という本を読みました。


DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、

「AIやIoTなどの先端的なデジタル技術の活用を通じて、デジタル化が進む高度な将来市場においても新たな付加価値を生み出せるよう従来のビジネスや組織を変革すること」

を言います。


簡単にいうと

デジタル技術を使って今までのやり方を良い形に変えていこう

というもので、介護福祉業界にもこの波がやってきている、という話です。


ところが介護福祉業界では他業界に比べてこのDXが遅れているのが現状です😳

今回はこの話を深掘りします。

【介護福祉職には勉強する動機がない】



介護・福祉業界は国の税金によって報酬が定められる『制度ビジネス』です。

最初から「割り当てられるお金」が決められている訳ですから、そのお金が割り当てられる仕事さえしていれば良い、とも言えます。


「最小労力で最低限の成果を」が報酬をもらう上での最適解なのですから、個人で特別な理由を持たない限り介護福祉職の成長は見込めない環境なのです😮



実際介護・福祉職は

介護福祉士
ケアマネジャー(相談支援専門員)

までしか「勉強の報酬(資格手当)」が得られない所が大半です。


ですから、時代がデジタル化に進んでいても介護職が意欲的に介護DX(あるいはIT)について学ぶ動機を見出すのは厳しいと言えます。

【介護DXはブルーオーシャン】



見方を変えれば『今』が介護福祉職にとって「ブルーオーシャン」を狙いやすい状況でもあります。


ブルーオーシャンとは『競争相手のいない未開拓の市場』ということで、介護DX、またその根幹となるITを押さえることは


「誰も狙わないポジション」×「来ることが確定している潮流」


を取るということを意味します。


「そんなポジション取りしなくても介護人材は慢性的に不足しているから意味ないよ😁」

という介護・福祉職が大勢いるのも理解した上で、やはり介護・福祉業界での「ITポジション」は早めに押さえた方が良いと考えます。


なぜなら。


介護・福祉職が望む、望まないに関係なく介護のIT化は進んでいきますし、その波に乗れる人材から「良いポジション」が与えられます。

そして同時にその波に乗り損ねた人材から「介護ロボット」等のテクノロジーに代替可能な人材となり、徐々に(介護ロボットが導入できないような)過酷な現場へと追いやられていきます。


このことを、つまり「社会」のことを学んでいるなら、介護・福祉職は「今報酬が出ないから」といった理由で介護DXの波を避けるべきではないことがわかりますね😳

【業務の効率化は待ったなし】



皆さんだけではなく、どの職場も「人がいない」問題に頭を悩ませているのが介護・福祉業界の課題です。

どれくらいの足りないかというと、

2025年で約30万人
2040年で約69万人

の介護人材が不足するとの予測が立てられています😨

(「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について(令和3年7月9日)」別紙1より)


ちなみにIT業界も人手不足ですし、他の業界にしても人手は足りていません。日本国内全体で『人』の奪い合いが始まっている訳ですね😳


であれば当然「給料」「待遇」「交通の便」などの『快適さ』によって仕事が選ばれていくことになります。

こうなると俗に4K(きつい、汚い、危険、給料が低い)と呼ばれる介護・福祉業界に人手が回るのが「だいぶ後」になるのは予想がつきやすいかと思います😔


こうした背景を踏まえると、現場の『不便』はかなり危険な要素と言えます。

「他の施設はどんなやり方をしているか」がインターネットで筒抜けになっている現代では、不便を不便なまま残しておくだけで「ここは辞めておこう」と人が近寄らなくなるのです😱


業務の効率化を図り、現場の『不便』を無くすことは急務なのです。

【もちろん現場も忙しいのはイヤ】



そして当然現場も忙しいのはイヤで、どうにか楽にできないかと考える訳です。

ところが、ここで「介護・福祉職には勉強する動機がない」話がつながってきます。


現場の業務改善を考えるにあたっての基礎知識を学ぶ『動機』がないのですから、目の前の問題を「自分の経験」から考えるしかなくなります

そして「改善されたかどうか」の評価も過去の経験から行われるため、実際にその問題が解決されたかどうかがその場ではわからないのです。

結果、根本にアプローチできておらず問題が再発。また考えて…を繰り返すこととなるのです😢


実用書やビジネス書などから業務改善の仕組みを学ぶと、そうした混乱から抜け出すことができる場合があります。


業務改善には、例えば

①問題発生までの出来事を時系列に並べる(情報収集
②問題発生の原因を突き止める(原因究明
③原因解決のための解決策を見つける(計画
④解決策を実践する(実践
⑤解決策の効果を測定し、評価する(評価
⑥問題が解決すれば終了。解決しない場合は②との差を比べて更なる解決策を見つけ、④へ。(改善)

という形を取り、③〜⑥がいわゆる『PDCAサイクル』と言われるものです。


と、ここまでは今まででもやってこれた内容で、介護DXはこの全てに関わってきます。

【定量化データから傾向を読み取る】



介護DXで用いられる介護ICT(介護ソフト、デバイス端末など)によって、利用者のの生体データ(体温、脈拍、血圧など)や行動様式(モチベーション)の数値化などを記録することで『定量化データ』を集めることができます。

すると「この行動をとる時は血圧が低い」「血糖値が低い時にはこうした行動が見られる」といった傾向をデータから読み取ることができるようになります。


今までは『職員の勘』(主観)によって行われていたものが『数値化されたデータ』(客観)で行われることで、より論理的に、根拠をもって再現度の高い(誰にでもできるような)対応が提供されるようになる訳ですね。

おそらく介護・福祉職の皆さんも『職員の勘』によって事態が悪化するケースを目にしたことがあるでしょう😅


介護ICTをはじめとしてテクノロジーを用いることで、今後はそうした危険を回避できるようになるのです。

【でも、介護DXは進まない】



これまでの話を聞くと

😤「だったら早く現場に介護DXとか言うのを入れたら良いじゃないか」

と思われたことでしょう。

しかし現実に介護DXはなかなか現場で利用されていないのです。


その理由として


意思決定者(トップ層)の理解が追いついていない

現場が介護DXで何が改善できるかを知らない

・操作方法を職員全員が覚えるのに時間がかかり、それまでに現場が利用を諦めてしまう

使う前と使った後を評価せず、介護DXの効果がわからないまま(お金の問題もあって)使わない方を選んでしまう


などが挙げられます。

機械に馴染みがないし、馴染む前に面倒になって使わなくなってしまう」という話ですね😔

【介護DXのない現場は選ばれない】



どれだけ便利なものであっても、その「便利さ」が伝わらなかったら誰も使いません。

そして介護・福祉施設には「介護DXを理解している人」がまだまだ少ないため、そうした人材を目指す職員に今後重要なポジションが与えられることになるでしょう😊


ただ、介護・福祉施設では研修や月一の勉強会がせいぜいで、自主的に学ぼうとする職員は稀です。

まして介護DXに時間や労力を割いた所で手当がもらえるわけでもなければ、業務改善に乗り気でない施設では評価もされません😢


社会には既に介護現場の悩みを解決する介護ロボットやテクノロジーが数多く存在します。

その存在を知り、使えるようにし、伝えられるようになること。

これができる施設、職員がいる場所から『介護人材』は集まっていきます。


何故なら

社会全体がとっくの昔に「快・不快」によって物事を判断する『デジタル』社会であり、ほんの小さな「不快」に耐えられる人がどんどん少なくなっているから

です😦

【快楽の溢れる社会で「不便・不快」を選ぶには】



例えば信号が赤に変わって数分待たされるのにも耐えられず、無理やりスピードを出して渡ろうとするドライバーが増えたり。

コンビニのレジで20歳以上の確認ボタンを押すことに「見ればわかるのに何でボタンを押させるんだ」とイライラしたり。


こうした「ちょっとしたこと」ができないだけで『不快』に思い、それを避けようとするか、避けられないことに必要以上に苛立ってしまうのがイマドキです😨

そしてわざわざ「不便・不快」を受け入れられるだけの『理由』が現代人には必要であり、だからこそ『お金』を欲しがる訳ですね💴


ただ、そうして『お金』によって「不便・不快」を「便利・快適」だと言い聞かせたとしても根本的には何も解決していませんから、ただの持久戦にしかなりません。

そして持久戦に持ち込んだ時点で「不便・不快」が無限に増え続ける訳ですから、やる前から勝ち目のない戦いです😓


ですので、現場の「不便・不快」を残している限り、その場に人は集まりません。


ここを根本的に解決していきたいのであれば、きちんと「便利・快適」へと変えていく介護DXを受け入れることが欠かせないのです。

【まとめ】



今回は介護DXとそれが現場に普及しない理由についてお話ししてきました。


「耐える」ためには耐えるだけの理由と期限が必要で、そこをおろそかにしてしまう組織から人がどんどん離れていきます。

持久戦に持ち込むなら、先に「明るい未来」を示すのがトップ層の役割だということですね。


そして介護・福祉分野では出せない「明るい未来」への道筋も、社会全体を見渡せば案外あるものです。

その一つがテクノロジーを用いた介護DXであり、現場レベルで理解し投入していくことが急務です。


何故なら動き出したところ、改善したところから「うちはこうして現場の問題を解決しました」とSNSやメディアを通じて発信します。

その情報は瞬く間に広がり、「そういう所でなら働きたい」と人が集まっていくからです。


なので「できる・できない」と言っている場合ではなく「やるしかない」のが現状で。

とうの昔に「待ったなし」になっていることに気づいたところから介護DXの受け入れが始まっていくのでしょう。


今回もここまで読んでもらい、ありがとうございます☺️


また、介護ロボット等テクノロジーについて詳しく知りたい、という方は「スマート介護士」の資格を取るのがオススメです😊



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