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ナイジェリア国鉄旅 3

第2章 ラゴス〜イバダン

ちなみに私は、特に鉄ちゃんというわけではない。日本の鉄道などにはさして興味はなく基本的に移動の手段である。ナイジェリアの列車に乗りたい理由は以下に集約される。


① 会社のナイジェリア人にも乗った人はおらず、英文ニュースサイトにも全く情報がないので、本当はどうなっているのかという好奇心
② 列車に乗る客層の生活や習慣の一部を垣間見たい
③ 沿線の景色でナイジェリア人のリアルな生活を感じたい

②③は一言で言えば、仕事の発想のヒントに大いに影響をするいわゆる「風俗」に興味があるわけなのだが、(本来の意味の風俗 : 衣・食・住や行事など、その社会集団の生活の上のさまざまな仕方やしきたり。その有様。)どういうわけか、最近は風俗というと性風俗を指すようになってしまい、適当な単語が見つからない。

それはさておきカノに向けて出発した列車、しばらくは車窓には廃墟マニアが喜びそうな?スクラップの車両が続く。

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アプリMapsMeでスピードを測定すると時速22km/hと人間の全速力くらいの速さで、1226÷22=57時間!!と恐怖がよぎったが、

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私の会社の本社最寄駅のYABA駅を通過した頃からスピードは40-45km/hに上がり、このスピードが今後の標準であることがわかった。そうはいってもやっぱ遅い。笑。

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通常の近郊列車の駅は通過していき16:53に最初の停車駅AGEGEに到着。結構乗客は多く、ファーストクラスの空席は無くなった。停車時間はほぼ10分、先頭気動車がホーンを鳴らし、直ちに発車するスタイルだ。その後中国によって建設中の現行線の複線化工事現場やIbadan–Lagosの193kmを1時間で結ぶ夢の高速鉄道の建設現場を見ながら北上、Ijoko、Itoriを過ぎた頃に検札がやってきた。

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昔の日本同様切符にパンチを開けていく。乗客は座り続けるのも疲れて、立ち歩いたり他の乗客と世間話を始めたり、なんかすでに一体感が生まれている。私なんか唯一の白人(黒人でない人 オイボと呼ばわる)で、思いっきり目立っている。

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そしてラゴスから97km離れたヨルバ族の聖地アベオクタに着いたのは出発から3時間半後の19:40だった。この頃にはすでに真っ暗だったが、ファーストクラスではない一般車両に多くの人が大量の荷物とともに乗り込んでいる様子だった。35分ほど停車して出発、20:30になったので、食堂車に向かった。食堂車はD号車、つまり私の車両の後の寝台車の後なのだ。

車両を渡るときは車両間に幌がなく飛び移るので、落ちたら直ちに死亡というちょっとしたスリルが味わえる。

さて1970年代製造の旧型車両の食堂車に着くと、なんと全く電気が来ておらず、完全なる闇鍋状態だ。

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さらにレストランの奥に裸電球の灯った調理室があり、業務用のガスコンロがそのまま入っている。

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レストランが暗いというと、「じゃあこの調理室で食べていっていいわよ❤️」というので、典型的なベジタブルスープ&エバ(キャッサバ餅)を頂いた。

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美味しくいただいたあと、「ごちそうさま」とプラスチック食器を返すと、お姉さんはそのまま窓の外に投げ捨てた。お姉さんは、食堂車を一人で切り盛りしている。金曜日にラゴスを出て日曜日にカノにつき、月曜にカノを出て水曜にラゴスに戻る。木曜日を一日休み、金曜からまたカノに向かう。そんな生活をもう5年以上やっているとのこと。寝る場所はこのキッチンの床だそうだ。相当なハードワークだ。

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食堂車の半分はバーになっており、ここで食後の炭酸水を飲み、他の酔っ払いおっさんと談笑して自分の座席に戻った。

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さてシートを思いっきりリクライニングして寝る体勢に入った頃、強烈な異臭で目を覚ました。なんなんだ?私の顔の横に後の客の足!ここからの時間が地獄であった。

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22:57、ナイジェリアで3番目に人口の多い大都市、ボビーオロゴンさんの出身地であるイバダンに到着、そこで衝撃の光景を見ることになった。
ここまで主に進行方向左側にホームがあったのだが、イバダンのホームは進行方向右側だった。特に一般車両のお客さんは荷物が多い。30kgとか50kgとか穀物の入った麻袋を何袋も持ち込む人が結構いるのだ。これが何を意味するかというと、イバダンより前の駅で乗り込んだお客さんが、そういう巨大な荷物を反対側の乗降口にびっしり置いてしまったので、ドアが開かなくなってしまい、窓からの乗り降りしかできないわけだ。

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そうするとそこは、降りるも乗るも戦争状態、太っちょのおばちゃんも必死に窓から荷物を押し込んだ後、皆に抱えられながら窓から乗り込むというカオスな光景が広がるのだ。我慢できない客は屋根の上によじ登るし。

停車時間は50分にも及び、23:46ようやくイバダンを出発したのだった。今度は後の客が、そこに足を置けないように、先に自分の頭を押し込み眠りについたのだった。

第3章 イバダン〜イロリン

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