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Ⅱ レストラン・ホッピングにおけるマジシャンのキャリア戦略 ~ 2、3年シフトモデル ~

マジックの見られるレストラン—

マジシャンの
テーブルホッピングは、

「2、3年程度で卒業すること」

を前提に、
キャリアを描くべきです。


… それは一体、なぜでしょうか?


Ⅰ. テーブルホッピングは、マジシャンのレパートリーを消耗させる


多くのレストランにおいて、
マジシャンは、
長年テーブルホッピングの
仕事をこなすほどに、
マジシャンとしての
価値を目減りさせてしまう
構造になっています。

これは、
テーブルホッピング
システムがそうさせています。

仮に、
「1テーブル15分程度」
ルーティン・ショーを届けるとします。

すると一晩に最低でも、
1組のお客様に対して
「3トリック」
を演じることになります。

お客様がリピート(再来店)した際には、
基本的に “同じトリック” を
お見せしないわけですから、
二度目には「新たな3つのトリック」を、
三度目には「新たな3つのトリック」を、
という具合に、
レパートリーの消耗が激しく進みます。

マジシャンが
複数名在籍するレストランなら、
なおのこと
トリックの重複感を避けるために
消耗が激しくなるかもしれません。

それに加え、
同じ素材(カードトリック)や
同じ現象(予言、瞬間移動、貫通現象など)が
連続しないよう
「3つのトリック」を構成します。

「最初(初来店時)はすごかったけど、
 だんだんと
 マジックのクオリティーは落ちるのね

お客様にそう思われないような、
リピートを見込んだルーティン設計
もしなければいけません。

これで10年間、
本当に優れたトリックを
演じ続けられるでしょうか?

そこまで考えられているレストランは、
少数派だと言えます。


Ⅱ. ブランドにならない「100円ショップ型マジシャン」


だから、
テーブルホッピングを
継続するためには、
「質」よりも
「量産型」にならざるを得ない。

ウケるネタを
マジックショップから
仕入れては次々と演じていく。

「おしゃれな雑貨屋さん」
というよりは、
「100円ショップ」のような
品揃え = レパートリー
のマジシャンになっていくわけです。

しかしマジシャンの価値とは、
部屋にある「道具の数」ではなく、
ルーティンとしての素晴らしさ」。

これではマジシャン個人に、
「本当のブランド」と言える
トリックは残りません。

それは将来の道を狭める、
チープにするということ。

誰でも演じられるトリック
消費しているだけです。

そこでキャラクターを奇抜にしたり、
容姿・服装を目立つようにしたりする。
SNSの写真・動画だけは
立派に撮ってみたりする。

しかしこれもまた、
マジシャンとしての
「本来の価値の場所」
ではありません。

それはたとえるなら、
お笑い芸人さんが、
「人を楽しませる・笑わせる」
という本質からずれて、
服を脱いだり、
気持ち悪いキャラを演じたり
下ネタを吐いたりするようなもの。

それは、
あなたが本当になりたかった
マジシャン像なのでしょうか?


真に素晴らしいマジシャンというのは、
一般の観客から親しまれるだけでなく、
同業者からの尊敬も集めています。


Ⅲ. マジシャンのキャリア戦略としての『2、3年シフトモデル』


そのようなわけで、
レストランでのテーブルホッピングは、

『2、3年程度をひと単位として、
  キャリアを構想するのが賢い』

という提案です。

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