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【司法試験/予備試験】独学攻略法⑤~会社法を乗り越える

「学ぶって、楽しすぎる。」-弁護士の岩瀬雄飛です。

本noteでは学ぶことの面白さや学習のノウハウ等を発信するとともに、自分が学んだことの記録を発信しています。

今日のテーマは「会社法の勉強法(初学者)」。

前回までのnoteでは、刑法、刑事訴訟法、民法、憲法の順に独学での勉強法を紹介した(前回憲法のnoteは以下参照。その他の科目についても憲法からアクセス可能)。会社法については、前回noteの最後に記載したとおり、憲法と並行して学習することもお勧めする。


(1)会社法の勉強法

会社法についても①基本書を章ごとに読む→②短答の問題を解く→③基本書を読み直す、のプロセスが基本的な学習になることは変わらない。

基本書については『LEGAL QUEST』(有斐閣)一択になる。『会社法』(江頭憲治郎)が有名であるが、「芦部憲法」同様、司法試験・予備試験用とはいえない(また、「芦部憲法」同様、縦書きなのがネックである)。短答(肢別)はどの予備校・出版社のものでもよいが、私は全科目Wセミナーのものを使用していた。

(2)会社法は短答試験の学習が大切

ロースクール経由で司法試験を目指す人がわざわざ会社法の短答試験に取り組む必要はない(これはtoo muchになる)が、予備試験経由で司法試験を目指す人は、会社法については短答試験の学習に他の科目に比べて時間を割いてもよいと考えている。会社法の短答の勉強は論文の勉強にも通ずるからである。以下、詳述する。

会社法で論点となるのは、「会社法のルールに反した手続き」が行われたときである。例えば、「株主総会を開催したが、招集通知の発送が開催の3日前だった。しかし、総会当日、株主は全員出席した。株主総会の効力はどうなるか。」という問題が論文で聞かれたとする。

この問題を解くためには、前提として、(a)招集通知の発送期限はいつまでなのかを知っている必要がある。また、(b)期限に遅れたことが手続的瑕疵にあたり、会社法831条1項1号に基づき取消事由に該当することを知っている必要がある(当然に無効になるわけではなく、また、3か月以内に取消訴訟が提起されなければ瑕疵があっても確定する)。さらに、(c)全員出席したことで、招集通知発送の遅延が治癒されないかという点についても論点になり得る。これらはいずれも短答の知識である。

すなわち、会社法においては、①会社法のルール(これは条文に定められている。上の例でいえば(a)と(b))と、②会社法のルールに逸脱した場合の処理(これは判例で提示される。上の例でいえば(c))を学習することが必要となり、その多くは短答試験の学習で身に着けることが可能といえる。

(3)章ごとの学習順序

『LEGAL QUEST』でいえば、まずは第4章の「機関」を学習し、その後の第3章の「株式」を学習することをお勧めする。会社法ではこの「機関」が一番分かりやすい上、一番重要な章となる。「機関」では株主総会や取締役会について学習する。「株式」は株式譲渡の手続きや効力について学ぶことになる。

その他重要なのは第2章の「設立」、第6章の「資金調達」、第9章の「企業の買収・結合・再編」である。これらは「機関」「株式」と比較するとそれぞれ特有の難しさがあるため知識の定着や理解には時間がかかるが、正しく理解していないと思われる受験者も少なくないため、塞ぎこむことなく根気強く学習を続けたい。

終わりに
今回の会社法で5科目を終えたことになる。選択科目を除けば、残りは鬼門の民事訴訟法と行政法である。しかし、民事訴訟法は多くの受験生が苦手であるため得意にすれば大きく差をつけることができる。また、行政法は多くの受験生が手が回らないため、ふつうレベルの答案で少なくとも合格答案にはなり、上位答案ともなり得る。合格を勝ち取るためにも、残りの科目の学習も引き続き意欲的に取り組まれることを期待している。

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