<第三章 黄金時代(少年期総論)>
子供にとって、駄菓子屋は宝島だった。食料から武器から何でも手に入った。
僕が一番行っていた駄菓子屋は、家から歩いても五、六分もかからない、お三の宮商店街にあった「五厘(りん)屋」という店だ。五厘という貨幣価値は戦前のものなので、あるいは相当昔からやっていたのかもしれない。
店はおもちゃ屋ということになっていて、奥まったわずかなスペースで、駄菓子屋をやっていた。
店番はお婆さんだが、おもちゃを買いに来た大人には、愛想よくしていたが、我々子供に対しては、つっけんどんだった。
スペ