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winter song

コートの襟を合わせる仕草が好きで
風が冷たくなって
冬が近づくのが楽しみ
あなたと過ごす
何度目かの冬

左腕に寄り添って
カシミアの柔らかさと
貴方のぬくもりを感じてる
ただそれだけで
こんな喜びは他にないと
泣けてきてしまう

わたしを笑わせようと
おどけた表情をしてみせたり
瞳の色が好きだと
不意に顔を寄せてきたり
ふたりして風邪をひいて
旅行に行けないねと
しょんぼりしたり

どの瞬間の貴方でも
愛おしくてたまらない

辛い恋の記憶にとらわれて
出会いの縁を遠ざけていた
そんなわたしの視界に飛び込んできて
「大丈夫?」と見つめてくれた人

大きな手に包まれた私の手は
貴方を温められていますか?
赤くなったわたしの鼻や頬は
見苦しくないですか?
貴方にふさわしくなりたいと
切ないくらいに想うのに
街を闊歩する女性たちが綺麗に見えて
不安で心が波立ってしまう

そのままでいて
きみはきみらしくいて

そう言ってわたしを励ましてくれる
貴方の優しさは奇跡のよう
誰にでも優しいけれど
何かあると
きみは僕の特別だからと
大切にしてくれる
貴方が大好きで

ふたりの生まれた冬が去り
あたたかな季節に変わっても
隣にいてもいいですか?
小さなつぼみを育てて
それが花開く日を
一緒に待ってもいいですか?
愛されれば愛されるほど
寂しがりで欲張りになってしまう
こんなに余裕がないわたしに
自分でも呆れてしまう ごめんね

背の高いあなたが
歩幅を合わせてくれている
そんな優しさに出会うたび
生まれきた喜びに震える

昨日より少し 暖かい風が
貴方の髪を乱した
ちょっと微笑んだ横顔を盗み見て
ひどく ときめいてしまう

育っていくこの愛は
どんな花を咲かせるだろう
やってくる春が楽しみだから
貴方と過ごす冬が愛しい


ERICA

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