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笑顔がいっぱい

「大変ご無沙汰してます。」わざわざ岩手県からご相談の電話を頂いたのは約25年前にご縁を頂いたお客様でした。「以前に購入した椅子の張替は出来ますか?」「はい、もちろん大丈夫です。」幸いにして過去のご購入データも残っていましたので当時のことが鮮明に思い出してきました。「実はお買い上げ頂いた椅子は今も現役で生産されておりますよ。」という私の返事にお客様は驚かれていました。

このお客様とのご縁はご結婚の時、新生活でお使いなる為というのがその始まりでした。座姿勢のレクチャーからはじまり、もちろん見た目の好みもありますが、使用目的を考えながら椅子のモデルを絞り込みました。そしてお二人の体格に合わせ椅子をフィッティング、その後、現在の居住空間や予想されるライフスタイルの変化を読みながらテーブルを選定しました。椅子は当時発表されたばかりの重さわずか3,5㎏という超軽量スタイリッシュな椅子で、見た目とは相反しこの椅子の持つ類まれな高い強度にも共感して頂きました。

最初は新生活の為に椅子は2脚でのご購入でしたが、数年後お子様が生まれ2脚買い足し、お引越しを機にさらに2脚、最終的に計6脚をお買い求め頂きました。まさに時系列の中で計画された賢い消費行動です。

今回の張替えの動機はあの時赤ちゃんだったお嬢さんが独り立ちされるということで、慣れ親しんだ2脚を本人が気に入る生地で張替えたうえで持たせてやりたいというものでした。どうせなので残り4脚もこのタイミングで張り替えようとお電話を頂いたわけです。数日後、皆様岩手からご来店頂き、張地サンプルと椅子を囲んで家族会議。真面目でそれでいて楽しそうに張地を検討するご家族の様子がとても素敵に見えました。

モノをデザインする人、それを形にする人、それを解説販売する人、それを価値評価し実際に使う人まで、其々の立場の人が製品に向き合う真面目な姿勢と優れた知恵や技術とが重なり、それらが一本の線で繋がった時、この様な20年後、30年後の素敵な再会が可能になるんだなぁと今回も実感しました。

この様な価値の共有から生まれる笑顔はとても素敵です。そしてこのタイミングに関わらせて頂ける自分がとても幸せに思います。生活デザインを通してこれかも皆様のお役に立てればと願っております。

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