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読書感想『掟上今日子の挑戦状』※ネタバレ注意

今週読み終わった本は著作西尾維新の忘却探偵シリーズ第三巻『掟上今日子の挑戦状』でした!
やっぱり単純な面白さが前面に出ている本当に面白い作品でした。ちゃっかり遺言書と退職願と婚姻届も買っています!

表紙画像でも言った通り、今回はメフィストに掲載された短編三作のまとめという事で、今回の感想は各作品ごとに書いていきたいと思います。

掟上今日子のアリバイ証言

犯罪をする側として(今回はぎりぎりしてないのですが)、名探偵を相手にするというのはなかなか恐ろしい体験なんだと読んでいて思いました(笑)。西尾維新の一人称の上手さがこういう時本当に良い。
トリックはクビシメロマンチストと同じですね。主人公の時間が飛んでいることを読んでいる側は認識できない一種の叙述トリックみたいなものでしたね。

本を読み慣れている人でも、同じような迷い道に入ることはありますよ。
私だって例外ではありません―――でもね、鯨井さん。本を読んで、教訓を得ようとか、学ぼうとか、この先に生かそうとか、そんなふうに構えることはないんですよ。国語の授業じゃないんですから。
面白い人がいるなーって、ただそう思って本を閉じればいいんですよ。

p92

作中にちらっとはさまったこの話、意外とこの精神を忘れて教訓を得るために、なにかを得るために本を読んでしまっている人って自分も含めて多い気がします。

この事件は結局自殺だったわけですが、今日子さんは自殺する人を心の弱さと言い切っています。
やっぱり西尾維新は自殺というものにどこか思うところがあるような気がしますね~
にしても最後の今日子さんのセリフいいですね。

「駄目ですよ。現実ですから」ずっと、悩んでいてください。

p108


掟上今日子の密室講義

人間の視覚と死角、人間の認識の死角、そして監視カメラの仕組みと死角を上手く組み込んだ面白い回でした。
人間って全然他人を見ていないってことは意外と意識しないと忘れがちで、自分の事として思い返してみても、出先で見た人なんて全然覚えてないんですよね。
ただその割に自分は誰かに見られているような感覚というか、誰かに服装や髪形をチェックされている感覚もあったりと難しいもんです。

奇抜な服の人ってわりかし街で見ますけど、じゃあどういう服だったかと言われるとあいまいに答えるしかなくて、それにプラスで6個ある試着室のどこに入ったかなんて覚えているわけもないですよね。
それにプラスで監視カメラの位置を覚えれば軽い完全犯罪ってわけですか。
そういえば自分もバイト先のコンビニの監視カメラの死角を知っていたりと意外とその辺は覚えてしまうものですかね。

自分は殺人事件の醍醐味をトリックより動機だと思っている派なので今回省略されてしまい悲しいですが、それでも単純に面白い回でした。


掟上今日子の暗号表

犯罪をする側として(今回はしっかり人を殺しました)、名探偵を相手にするというのはなかなか恐ろしい体験なんだと読んでいて思いました(二回目)(本当にやっていると怖さの比が違う)。

人を殺す正当な理由を探している描写がすでに最悪で、心の中のいーちゃんが起こっていました。どんな理由とか関係なく殺人を許すわけがない。

西尾維新は暗号好きですよね。「暗号学園のいろは」なんかもはや西尾維新の暗号やりたい欲を満たすためだけにある作品だったような気がしますし、だからこそ今回の事件は暗号というものが存在する意味を逆手に取った面白い回だったと思います。

暗号ってのはやっぱり誰かに解いてもらうためにあるもので、じゃあその暗号の答えを欲しがる人が一人だったという事は、それが動機となるわけです。
暗号の存在する意味を逆手に取るとおのずとそれを欲しがった人があぶりだされるという暗号好きだからこそ分かる、面白い作品でした。



まとめ

短編集とはいえかなり満足感の高い作品でした。この三つの中だと一番好きだったのは掟上今日子の暗号表でした。なんのために暗号があるのか、なんのために暗号にするのか、そしてなんのために暗号を解かせるのか、改めてそういうところから考えてみるのもありだなと思いました。


次の感想は掟上今日子の遺言書になると思います。それが読み終わったら改めて「愚物語」「撫物語」を読みたいと思っています。
話は変わりますが、EUROも楽しみですね!今大会も改めてオランダの優勝を期待してみたいと思います。


それでは最後まで読んでくださった方いらっしゃればありがとうございました。
著者Twitter:まがしき @esportsmagasiki

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