見出し画像

道東旅〜蚊に刺されても、刺されても。また行きたいひがし北海道〜

道東。北海道の、東。

10年間ずーっと、行きたかった場所。

忙しいとか、お金がないとか言い訳を並べて行かなかった場所。

札幌在住の私は、同じ道内だし、いざとなったらいつでも行けるだろう。そう考えていた。

そこから、はや10年。
あれ?そういえば、ずーっと行きたいと思ってた道東に、まだ行ってなくない?

そんな自分の有言不実行具合に絶望したので、2019年9月。道東に行ってきました。

相棒は幼なじみのえっちゃん。
私の行きたいコールに心よく答えてくれた、優しい相棒です。


1日目

札幌丘珠空港(10:40)→釧路空港(11:25)

飛行機でびゅーんと45分。早いね。

札幌在住の私たちはJRで行くという手もあったけど、同じ道内とはいえ4時間かかるので、
迷わず飛行機を選びました。体力ないし。


第一、北海道は広い。


札幌〜根室間と東京〜京都間がだいたい同じくらいだし、新幹線が通るのは10年後。それも札幌まで。

とにかくでっかいどうなので、移動にお金をかけよう、と決めていました。

数千円で片道4時間が45分になるのは、すごくいい選択だったと思うし、計画段階の自分ありがとう。

そういえば、飛行機の時間短いとドリンクサービスってないんですね。代わりに黒砂糖のキャンディをもらいました。旨。

釧路空港にいたエゾシカの剥製。こわい。


12:00 レンタカーを借りる

道東旅の必須アイテム、それはレンタカー
なにしろ道東は広い。

「最寄りイオンまで100km」
という看板がまかり通る世界だ。

迷わずレンタカーを借りよう。

ちなみに、今回は釧路→川湯温泉→知床と
3泊で北上する計画なので、釧路空港で借りて女満別空港で返す、乗り捨てプランです。

ぐるっと回ってまた釧路に返しにくるのはめんどくさくて白目むいちゃうけど、乗り捨てなら最後の空港で返せばいいから楽ちん。

5000円くらいで乗り捨てが選べます。
移動にお金をかける。これ道東旅の鉄則です。


13:00 釧路ラーメンを食べる

北海道のラーメンっていったら、函館塩・札幌味噌・旭川醤油でしょ?

その通り。でも、釧路には北海道4つ目のラーメン、「釧路ラーメン」があります。

カツオ出汁に極細縮れ麺。割とあっさりしてるんだけど、魚醤が入ってるからなのか、風味が正面から向き合ってくる。

まるで、反抗期の息子に対する、模範的な親像である。普段は距離感を持って接してくれるけど、大事な時はじっくり話を聞いてくれるみたいな。大変ありがたい存在だ。

何が言いたいのかというと、
毎日このスープ飲みたい。


14:20 釧路湿原カヌーに出かける

今回楽しみにしてたことっていーっぱいあるんですけど、1位が釧路湿原でのカヌーなんです。

日々のストレスは川上に置いて、ただゆっくりオールを漕いでいく。
そんな体験をしたくて、道東旅行を決めました。

ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ、進んでいく。
右を漕いで、疲れたら左を漕いで。

ちょっと雨が当たるけど、とにかく前に進んでいく。

腕が疲れてきたけど、心地よい疲れだ。

あれ、毎日何してたんだっけ。
何に腹立ってたんだっけ。

自然に接すると、そんなのはどうでも良くなってくる。生きる意味とか人類の歴史とか、おおごとなことについて、脳内で議論していく。

私が生まれてきた意味はなんなんだろう…

脳内で中島みゆき「糸」が流れていた、その時。

あれ?



もしや?


エゾシカだ!!!!!!!!!!!


しかもいっぱいいる!!!!!!


シカだけにな!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!


(この後釧路川に蹴落とされました)


いやあ、生のシカ興奮します。
さっき空港で見たのは剥製だったしね。

カヌーガイドさんによると、エゾシカとの遭遇率は高いとのこと。でも、ツノの生えてるオスジカに会えるのは結構レアなんだとか。ツノジカに会いたい。

シカの他にも、オジロワシ、キタキツネ、タンチョウなんかに会えるかもしれないらしい。

中でもタンチョウはめったに会えないから、
会えたら自慢していいレベルらしい。
なにそれ自慢したい。

でも、めったに会えないんでしょ?
じゃあ、難しいかもなあ。

いた!!!!!!!!


タンチョウだ!!!!!!!!!!

!!!!!!!!!!!!!!!!


え?こんなにすぐ会えるもの?
もしや一生分の運使い切った??????

ガイドさんによると、1羽でも珍しいけど、つがい(男女ペア)でいるのはかなりレア度高いらしい。

いきなり運使い切っちゃって大丈夫かなあ。

ちなみにこのあと、別のつがいのタンチョウペアが求愛ダンスしてました。ファサーって我々の頭上を越えていきました。

うん、これは運使い切ったな。

(一瞬のことで写真は撮れませんでした)

最後に記念写真。
ポーズがぎこちない。


17:00 細岡展望台に行く

カヌーで釧路湿原の中を楽しんだけど、
全体像も見ておきたい。

そう思う方、カヌーの帰りに展望台にも行くことをお勧めします。

私たちは、カヌー降り場からほど近い「細岡展望台」に行きました。

わあ。

ここはアメリカ?それともアフリカ?
(知識がなさすぎる)

デカすぎるスケールにただただ圧倒されます。
ほんと日本じゃないみたい。

さっきタンチョウペアがファサーって飛んで行ったのはあっちかなあ。何時間でもいれそう。

でも、我々は5分で帰りました。
なぜなら…


蚊がすごい!!!!!!!!!!


なぜかこの日は蚊が大量発生していて、写真撮る以外は常にピョンピョン飛び跳ねてました。

素肌出してないのに30箇所以上刺されたし、
「こんなに蚊出ることはないんですけどねえ」ってガイドさんもビックリするレベル。

別ボートに乗ってた東京から来た女の子は、
生足スカートで100箇所は刺されてたかなあ。

とにかく虫除け対策は万全にすることをお勧めします

このあと速攻でムヒ買いに行きました。



19:00 炉端焼きで地場産魚介を焼き食べる

あたりは真っ暗。
そろそろお腹が空いてきたなあ。

ホテルに荷物を置いたら、夜ごはんを求めて釧路駅に向かいます。

駅周辺にはお店がいっぱい。何かしらでお腹を満たせます。

私たちは、釧路川付近の炉端焼きのお店に入りました。

食券を買って、夕焼けハイボールとクーニャンで乾杯。好きなものを焼いていきます。

定員さんおすすめのサーモンに、大きなえび。

ひとめぼれの牡蠣。

貝殻つきの帆立や、カニグラタンもあるよ。

酒が、酒が染み渡る…全部うまい。

炉端焼きは、釧路で発展したんだそうな。
諸説あるけれども。

こうやって、おいしい魚介を炭火で焼いて食べたらそりゃあ広めたくなるわなあ。
これ書いてる今も既に食べたいですし。

コロナが落ち着いたら、私は真っ先に炉端焼きが食べたい。


お腹がいっぱいになったら、釧路川のほとりに出掛けます。 霧がかってるので、なんか幻想的。

綺麗な夜景を見たり…

こんなところで…

めいっぱい遊びます。

カラオケの背景動画ごっこしたり、
像と同じポーズとってみたり、
魔王になりきってみたり。

精神年齢が一定以下なら、小一時間遊べます。

遊び疲れたので、行きはホテルから15分歩いてきましたが、帰りはタクシーです。

移動にお金をかける。
これ、道東旅の鉄則です。


2日目 9:00 川湯温泉に向かってドライブ

チェックアウトしたら、レンタカーに乗って北上します。

今日の目的地は川湯温泉。
北へ北へと向かいます。

それにしても、外がのどか。

道東は道に終わりがないのかな?

アクセル踏んでるだけ。信号もないし人もいないので、気づくと結構スピードが出ちゃいます。

それでも、時速120kmくらいのトラックにビュンビュン抜かれていくので、ここ高速?って思うけど一般道です。

あと、片側1車線なので対向車線に出て抜いていく訳だけど、120kmと120kmがゴンとぶつかったらひとたまりもないよなあと思います。

ついついスピード出ちゃうけど、ここは安全運転で。

ちょくちょく休憩しながら北を目指します。
ドライブの合間に、ちょっとずつお腹を満たしていきます。

蚊にさされたとこがかゆい。
特に足首。


13:00 屈斜路湖の絶景に心が洗われる

北上すること数時間。どんどん標高が高くなってきました。こんなに山登って大丈夫かな。

あれ…?

もしや…?

屈斜路湖(くっしゃろこ)だ!!!!!


RPGみたい(語彙力)

ずいぶん高くまで来たもんだ。

反対側はこんな感じ。

RPGみたい(語彙力)


屈斜路は美幌峠(びほろとうげ)から見下ろすことができます。ただ…

風がつよい。


どさんこワイドの星澤先生みたいになってる。
わかんない方は、北海道に来て5chをチェック。奥様ここでもう一品。

ずっとここにいたいけど、他にも行きたいところがあるので泣く泣く離れます。
もっといたいよう。


15:00 摩周湖で婚期の運試し

再び車を走らせます。知らない道だらけなので、カーナビだけが頼りです。
助手席のえっちゃんには、道案内ではなく車内カラオケ大会を頼んでるので、カーナビだけが頼りです。

車内ではポルノグラフィティとback numberがかわりばんこにながれてます。
女々しい曲さいこう。

霧がかってきたなあ。

対向車が見えないので、ライトをつけながら慎重に走ります。

あ、ついた。
続いての目的地、摩周湖(ましゅうこ)です。

ん?他の車がない。
とりあえず展望台行ってみよう。

摩周湖…

摩周湖…

摩周湖…

何も見えん…

え、ほんとにそこに摩周湖ある?
ここまで見えないもの?
マジで何もないんだけど?

駐車料金500円払って、白いモヤモヤを見に来たのか。えっちゃんと2人で悔しがってると。

シマリスが現れました。なにこれ。きゃわ。

「そんなに落ち込むんじゃねえよ」
シマリスがなぐさめてくれてる。

そういえば、晴れた摩周湖を見ると婚期が遅れる、という話を聞いたことがある。
ということは、霧の摩周湖を見ると婚期が早まるんじゃないか?

今日は霧でなーんにも見えなかったから、
婚期めちゃくちゃ早まってる。
私、コロナが落ち着いたら結婚するんだ…
(なお相手は募集中の模様)

本当は阿寒湖も行きたかったし砂湯もしたかったけど、時間がなく、泣く泣くパス。
北海道ほんとにでっかいどう。


18:00 本日の宿 川湯温泉へ

あたりも暗くなってきた。
ずーっと続く道をずーっとアクセルを踏んで、
ようやく川湯温泉についた。
もうクタクタだ。宿でごはんを食べよう。

なんでもうまい。

摩周ポークだって。摩周湖見たかったな…


21:00 屈斜路で天然のプラネタリウム探索

お腹が満たされたら、お部屋でいっぷく。
といきたいところですが、ボーッともしてられません。マイクロバスに乗り込みます。どこに行くかって?

屈斜路湖です。

え?昼間行ったじゃん?
もう一回行く意味なくない?

何を言ってるんだ君たちは。
昼間とは、目的が違うのだよ。

目的?目的ってなに?

目的はね…星を見ることだ。

星?星を見に行くの?

そうだよ。彼女たちは、星を見るために、温泉街についたのに温泉にも入らずバスに乗り込んだんだ。

え、温泉にも入らずに?そんなことってある?

脳内で少年と博士が問答していると、点呼が始まりました。

川湯温泉がある弟子屈町。ここには、星を見る人が日本中から集まります。車内の方々は、静岡、鳥取、福岡、大分だって。我々札幌が一番近い勢。

タイムマシーン3号の関さんみたいな喋り方のお兄さんがトークを回しながら、屈斜路湖へ向かいます。

ここで、悲しいお知らせです。

星の写真が1枚もありません。そのため、拙い文のみでお送りします。

もちろん撮ろうとはしたんですけど、私のiPhone7の限界なのか、私の技術の限界なのか。多分どっちもです。いいカメラほしい。

マイクロバスがどんどん山を登っていきます。
昼間怖々登った道を、お兄さんがビュンビュン飛ばしていきます。
街灯も何もない道を、カーブでぐるんぐるんハンドルを回しながら、登っていきます。

ここも普通免許で運転できるのかよ…
そう思っていると、

お兄さん「あ!エゾシカ!」


エゾシカ!!!!

レアタイプのオスジカならぬツノジカが、
がっつりこっちを見ておりました。
多分急にエゾシカ出てくるってのは本当だったんだな。

夜に見るエゾシカは昼間よりも迫力がある。
ほんとにここ、普通免許で運転していいのだろうか。サファリパークじゃん。

ちなみに、帰るまで6回エゾシカに遭遇しました。サファリパークじゃん。


そうこうしてるうちに、屈斜路湖につきました。写真ないけど。

遮るものが何もない。明かりもない。
湖と、星しかみえない。
さっき見た屈斜路湖と違って、一段とロマンチックに見える。

お兄さん「あれがデネブと言いましてね、お姫様がデネブを突き刺しちゃったんですー」
ここらへんのトークはうろ覚えだ。

タイムマシーン3号の関さんのような話し方のお兄さんが、何かが何かを突き刺した、と言ってたことだけは覚えてる。突き刺した、だって。何を突き刺したんだよ。

「僕、ロマンチックな喋りできないんですよ」
お兄さんはそう言っていた。

でもさ、何かが何かを突き刺したんでしょ?
それロマンチックに喋れる人いなくない?
もしいるとすれば、あまり近寄りたくない存在だ。

お兄さんが関さん似の喋り方でよかった。
ロマンチックに突き刺したことを話すお兄さんだったら、一緒に帰るのが怖い。

関さん似のお兄さんは、観測用ライトが外国製であることを終始自慢していた。関さん似でよかった。

帰りのバスもめちゃくちゃ飛ばしていた。
ここ、普通免許でいいのか。


宿に着いた。ザブンと温泉に入ってすぐ寝た。
布団がサワサワしてて蚊に刺された足首がかゆかったけど、爆睡した。明日も早い。


3日目 8:00 硫黄山 一体ここはどこなんだ

川湯温泉をチェックアウトし、まっすぐ知床に向かう。そんな予定だったのだけれど、急遽予定を変更した。

川湯温泉の近くで、すこし寄り道をすることにした。5分ほど車を走らせた。すると。

え?

ここ道東?

地球の裏側じゃなく?

すごい!!!!!!

(手取れたみたいになった)

ここは硫黄山。
その名の通り、硫黄の匂いがぷんぷんします。
川湯温泉の源となっているらしく、煙が噴出しています。かなり暑い。

そういえば川湯温泉からの道のりも亜熱帯って感じの植物がわんさか生えていたし、ここだけ気候が違う模様。

本当にここは道東?サバンナじゃないの?って思ってグーグルマップ何回も開いたけど、がっつり川湯温泉を指してました。道東すごい

で、なんで硫黄山に来たかというと。
昨日霧でなーんにも見えなかった摩周湖で駐車場代500円取られたんですけど。その半券に、硫黄山の駐車場無料クーポンがついてたんです。

えっちゃんと「タダだし見に行っかー」って軽い気持ちで来たら、急に亜熱帯連れてかれてびっくりですよ。
すごい。摩周湖行ってよかった。


9:00 知床に向かってロングドライブ

再び北上。
今日は4日間で一番移動距離が長い。
でも、安全運転で行こう。

初日からずっとアクセルを踏んできたけど、
道東ってひとくくりにできないな、と思った。

釧路は漁港と湿原で水辺のまち、って感じだったし、屈斜路湖はRPGだったし、硫黄山マジサバンナだし。

我々の常識を軽く超えてくる、それが道東なのかもしれない。

途中、国道にジャガイモ落ちてたし。
国道にジャガイモは落ちていない、という我々の常識を軽く超えてくる。

硫黄山出てから2時間。ようやく見つけたドラッグストアで、アンパンマンパッチを買う。
やっと出会えたね。足首のかゆみが限界だ。

今度道東に行くときは、アンパンマンパッチを持って行こう。


12:00 道の駅「うとろ・シリエトク」でお腹を満たす

今旅一のロングドライブお疲れ様、自分。
知床についたぞ。

疲れすぎて半目。
なんちゅう顔しとるんじゃ。

知床には大きく2つの地区がある。ウトロと、羅臼(らうす)。知床五湖があるのがウトロ、シャチやマッコウクジラに会えるのが羅臼。

シャチにも会いたかったけど、会えるのは6月だそう。9月だと全く会えそうにないので、今回はウトロに来ました。

お腹が空いたので、ここでお昼ごはんにします。

えっちゃんは海鮮丼。

私は煮魚定食。

語彙力がなさすぎるんですが、この魚マジで美味しかったです。
なんの魚か全く覚えてないんですけど、めっちゃ美味かったです。なんの魚なんだろ。

お腹が満たされたら遊ぶ。
これ、旅の鉄則。

顔出しパネル感あるけど、かぶりものしてるだけです。私服がマジでクマ。


13:00 知床五湖で異世界タイムトリップ

存分に遊んだら、次は本格的な遊びです。
知床五湖ツアー。これが目的で道東に来た。

釧路のときも楽しみにしてた1位って言ったけど、知床五湖も1位。同率1位です。

今回、知床五湖を存分に楽しみたくて、ガイドツアーに申し込みました。
時期によっては個人で入ることもできるんだけど、せっかくなので、プロの方をお願いしました。クマ出たらこわいし。

その道ウン十年のおじいちゃんが来ると思ったら、かわいらしーい女の子が来ました。
あ、受付スタッフの子か。

女の子「ガイドの○○です!よろしくお願いしまーす」


え???!?!??!?!?!

あなたがガイドさん?!??!??!


マジで?!??!?!!?!?!!?


まさかの女の子がガイドさんでした。
風貌はアラレちゃんで、
こりん星時代のゆうこりんの喋り方。

ザ・ベテランおじいちゃんじゃないのか。
でっかいクマが出てきたら、りんごももか姫がなんとかしてくれる…の…かな…

正直不安を覚えながら、出発した。

こんな道を進んでいく。周りには緑しかない。
すっと伸びる白樺の木。自然に倒れた木。
倒木を覆い尽くす苔。
終わりを迎えた命に、新しい命が宿る。
人間の手が加えられてない。
私たちは、地球に立っている。
そして、地球を歩いている。

パソコンとにらめっこしていた日々は、もう記憶から飛んでいた。

「あっ!タマゴタケ!」

ガイドさんの声がした。
タマゴタケ?なにそれ??

タマゴタケ。なにこれ、きゃわ。

オレンジを覆ってる白い包みまで含めて、タマゴタケらしい。たまごから生まれたような見た目から、その名がついたそうだ。

「あっ!こっちにもタマゴタケ!」

またきゃわなタマゴタケがあったのか。
そう思ってガイドさんの指差す方を見ると。

思てたんと…違う…

なかなかグロテスクなタマゴタケだった。
タマゴタケはこんな見た目だけれども、食用できるそう。ただ、崩れやすいためあまり流通しないらしい。

まるっこいかわいいタマゴタケ買って、台所で出したらグロテスク。とんだサプライズだ。


足元を見渡すと、そういえばきのこがわんさかある。


誰?きのこの山落としたの?
食べ物持ち込み禁止じゃん。

え?これもきのこ??
うっそう、どうみてもチョコじゃん

きのこ探しに夢中になっていた。
ガイドさんは、きのこの名前から、名付けの由来、食用かそうでないかなど知識が深い。

ガイドさんをお願いしてよかった。
勝手に不安になってごめんなさい。

きのこだけではない。

大きな倒木。
厨二病っぽい写真が撮れそう。


「左の木をご覧ください。」

ガイドさんが指差す方を見ると、一本の木があった。この木がなんなんだろうか?

「3つ、等間隔についてる傷がありますよね?これ、木にのぼったヒグマがおりてきた跡です。」

ほんとだ。ななめについた傷がある。

のぼるときはザクザク爪を立ててのぼって(右下の3つの点)、おりるときはザザーッとすべりながらおりるんだそうだ。

木についた傷なんて気づかず、
そのまま通りすぎるところだった。
ガイドさんがいてよかった。

「そろそろヒグマに会いたくなってきましたねー?」

何を言っているんだ。
ある日、森の中、クマさんに、出会った。
それが現実としてあり得る。
クマさんにはちょっと遠慮してほしい。


そうこうしているうちに、道が開けた。

ここは五湖。
知床五湖には、その名の通り5つの湖がある。

ルートは2つ。高架木道と、地上遊歩道。

高架木道は道が整備されていてベビーカーでも通れるほど歩きやすいけど、一湖しか行けない。

地上遊歩道は歩きにくくて3kmもあるけど、五湖ぜんぶまわれる。
私たちは迷わず地上遊歩道を選んだ。

最初に会えたのが、この五湖だ。

こんなふうに、指で何湖なのか表しながら写真を撮るといい感じらしい。

日の当たらない森の中から急に開けたので、
開放感がある。清々しい気分だ。

とは言っても、実はこの日、34度もあった。
9月の知床なのに、だ。

34度???

平均気温17度くらいじゃなかったっけ?
下旬には紅葉はじまるのに??

清々しい気分とは裏腹に、汗はダラダラだった。

まあいい。進もう。


おそらく四湖。

四湖を出た後に、下がごっそりとくり抜かれている木があった。

下から見るとこんな感じ。
実は、くり抜かれてるのは下だけでなく、
中もぜーんぶくり抜かれている。
空洞、とはこのことだ。


覗き込みながらインカメで撮った図。
「お?目覚めたかね?」みたいなホラーな写真が撮れます。

三湖。
この頃には、10歩に1回水飲んでました。
ガイドさんはまったく飲んでなかった。

羊の横顔。
自然にこういうのが生まれることに驚き。

一句詠めそう。

二湖。

一湖。これで五湖制覇だ。
達成感がすごい。

階段を登って高架木道に合流し、記念撮影。

ガイド感。

あっちに見えるのは海かなあ。

ヒグマがひょっこり出てきて、エサくれエサくれ、って手を叩くこともあるそうだ。

高架木道には電気柵が張られている。
襲われる心配はないけど、やっぱりヒグマに会ったらビクッとしてしまいそうだ。

高架木道を歩きながら、ガイドさんと話した。
ガイドさんは新卒なんだそう。そして本州の出身だ。あんなすごい知識なのに?

見逃しそうなものにも目を向け話題を広げ、
「この木なんの木?」「このきのこ食べれます?」といった私たちの質問にも全部答えてくれた。すごいなあ。

最初、あまりにも若い女の子が来たもんだから、正直心配してました。ごめんなさい。
また知床にきたらガイドしてください。


17:00 夕陽にたそがれる

知床五湖を出ると、日が沈みかけていた。

知床は夕陽の名所だ。
大きなオホーツク海に沈んでいくオレンジを見ると、帰りたくなくなる。

宿から見たウトロ港。
はたらく港と、陽が調和している。

ああ、いいなあ。とてもいい一日だった。
足もだるいし、今日は早めに寝よう。

そう思ったけど、道東最後の晩。
酒をゆっくり飲むのも悪くない。
しっぽりしてたら、えっちゃんが言った。

「布団ちっちゃくするゲームしよ!」


なにそのゲーム。さいこうかよ。
ゲラゲラ笑いながら、夜は更けていった。


4日目 9:00 フレペの滝まで朝のお散歩

体が痛い。

知床五湖で慣れない森の中を歩いたからなのか、布団ちっちゃくするゲームの反動か。

どっちが原因かはわからないけど、今日は最終日。とことん道東を楽しもう。

今日はフレペの滝を見にいく。
もともと予定にはなかったけど、ガイドさんおすすめ、とのことで急遽やってきた。

今日も30度は超えるみたいだけど、歩くとふわっと風が吹いて気持ちいい。

30分くらいテクテク歩くと、看板が現れた。
フレペの滝だ。

この向こうに滝が見えるらしい。どれどれ。

えーっと…

どれだ?

これだ。滝が遠くに流れてる。
だが、iPhone7じゃこれが限界だ。
いいカメラほしい。

フレペの滝は断崖絶壁をホロホロと流れていく姿から、「乙女の涙」とも呼ばれるらしい。

なにそれロマンチック。

時間がゆっくり流れている。
のんびり青空と雲を眺めて、帰り道を歩く。

夏もおわりだなあ。

駐車場に戻り、これから網走へと向かう。
えっちゃんに隠し撮りされていた。

なんちゅう格好しとんじゃ。


11:00 網走監獄で蝋人形におびえる

ぶーんと車を走らせる。太陽がジリジリと痛い。冷房をつける。外気温は34度を示していた。

誰だよ夏の終わりとかいったやつ。
ゴリゴリの夏じゃねえか。

ちょうどハネウマライダーがかかった。
車内カラオケ大会は大盛り上がりだ。

カラオケ大会してると時間が短く感じる。
あっという間についた。

今旅最後の予定。網走監獄。

ここは、えっちゃんのリクエストだ。
職場の同僚におすすめされたらしい。
人生観変わるって。

だが、私は正直あまり乗り気でなかった。

だって、監獄だぜ?監獄って、見ていいの?こっそり入ったら、怖いお兄さんたちに囲まれない?

結論から言うと、怖いお兄さんたちには囲まれなかった。ただ、四六時中ビビり散らしていた。

脱獄してるお兄さんや、拷問を受けているお兄さん、とにかく実生活ではあまり関わりたくないお兄さんがいっぱいいた。
全部蝋人形だったけど。

ビビりすぎて、写真は全然撮れなかった。
でも、人生観変わるのは本当かも。

網走から旭川までの道路は囚人の手で作られた、ということを知った。これは本州でいうと、東京駅から静岡県焼津市くらいまでの距離。

囚人は、この長い区間を昼夜休みなく工事させられていた。逃亡しないよう、2人1組でお互いの足をくくられながら。食糧難や寒さ、ヒグマに怯えながら。大勢の囚人が命を落とした。

いま自分が立っている場所は、当たり前ではない。道民なら知っておくべきことがいっぱいだった。

自然がいっぱいの道東旅行で、ちょっと異色な経験ができたと思う。


14:00 さみしさを交えながら女満別空港へ 

監獄でビビりまくった後、帰りの女満別空港へと車を走らせる。

ここから釧路まで車を返しにいくなら白目をむいてしまうが、女満別空港すぐのレンタカー屋で返せばいいから楽ちんだ。

移動にお金をかける。これ道東旅の鉄則。

飛行機に乗り、45分空の旅。
移動にお金をかける、これ道東旅の鉄則。


道東の旅も終わりか。さみしいなあ。

釧路で勝手丼食べたかったなあ。
摩周湖で青を感じたかったし、
屈斜路湖で砂湯に入ってみたかった。

羅臼でシャチに会いたかったし、
阿寒湖でマリモ観察したかった。
紋別で流氷クルーズもいいよね。

3泊4日じゃ全然足りない。


コロナが落ち着いたら、また道東に行きたい。
最低10泊はしたい。30泊でも足りないくらい。

その時が来たらすぐ道東に行けるよう、いまは自分にできることをしよう。

バイバイ道東。また来るね。


次は、アンパンマンパッチを忘れずに。