前島賢の本棚晒し【復刻版】06:「艦隊これくしょん―艦これ―」ノベライズ(築地俊彦『陽炎、抜錨します!』/内田弘樹『鶴翼の絆』/鷹見一幸『一航戦、出ます!』)

割引あり

本記事は、電子書籍ストアeBookJapanに、連載「前島賢の本棚晒し」第1回として2014年10月10日に掲載されたものを、加筆修正の上再公開したものです。
記述は基本的に連載当時のもので、現在とは異なる場合がありますが、ご了承ください。
連載時に大変お世話になりました、そして、再公開を快諾頂きました株式会社イーブックイニシアティブジャパンの皆様に厚く御礼申し上げます。

 今週から、eBookJapanで始めさせて頂くことになった「ラノベ漂流20年~前島賢の本棚晒し」。小学生の時に、『ロードス島戦記』と『ゴクドーくん漫遊記』と『スレイヤーズ!』の洗礼を受けて以来、青春はもちろん人生までをもライトノベルに捧げつつある、ライター前島賢(32)が、古今の名作を独断と偏見でチョイスしていくチラシの裏……もとい、書評コラムである。

 の、だが。
 初回から申し訳ないが、実は、筆者はここ一年、ライター業そっちのけで『艦隊これくしょん』にドハマりしており、とりわけ、これを執筆中の9月現在、過去最大の難易度と言われた同ゲームの夏季限定イベントに気力と体力の全てを奪われ、ろくに頭が働いていない。ライトノベルって何すか軽巡洋艦の親戚ですか状態。
 そんなわけで第1回目は、そんな燃え尽き提督のリハビリを兼ねて『艦これ』の話をさせて頂きたい。いや、ちゃんと本題と絡めます。『艦これ』ノベライズのお話です。

 今更説明は不要かもしれないが、『艦隊これくしょん』は角川ゲームスが開発、DMM.comにより配信されているブラウザゲームだ。プレイヤーは、第二次世界大戦で活躍した艦艇を擬人化した美少女=艦娘を指揮する「提督」となり、謎の敵・深海棲艦と戦っていく。昨年4月のサービス開始以後、口コミをきっかけに人気が爆発。2013年を代表するヒットコンテンツとなり、その注目度の高さから、新規登録が制限される状態が現在も続いている。

 もちろん、ヒットコンテンツにはメディアミックスがつきもの。『艦これ』も来年1月にアニメ化が控えており、またそれ以外のメディアではすでに活発な展開が始まっている。そのうち、ライトノベルでは、コミックとともに、複数のシリーズが同時並行で進行中だ。
 現在のところ、長篇だけでも、

・築地俊彦『陽炎、抜錨します!』(ファミ通文庫)
・内田弘樹『鶴翼の絆』(ファンタジア文庫)
・鷹見一幸『一航戦、出ます!』(スニーカー文庫)

 の3シリーズが刊行中で、加えて複数作家による短篇アンソロジー『とある鎮守府の一日』(スニーカー文庫)がある。
 しかし、そうなると「一体どれから読めばいいの?」と戸惑う読者も多いはず。そんなわけで今回は、そんな小説『艦これ』3冊それぞれの魅力を紹介していきたい。

・築地俊彦『艦隊これくしょん ―艦これ― 陽炎、抜錨します!』(ファミ通文庫)

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