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何がなんでも水に濡れたくないから

家事が嫌いだ。間違えた、家事が大嫌いだ。好きなところは何一つとしてない。好きの反対は無関心と言うが、家事の場合は別。だ・い・き・ら・い・だ。

原因を考えてみよう。水に濡れるのが嫌なのだ、おそらく。料理をするにも手を洗わないといけない。洗いすぎは肌が傷むし、隅々まで拭くのもめんどくさい。そもそも手を拭くタオルを用意するためにも「洗濯して干す」というプロセスが必要になる。
こんな自分なので当然流しには常に食器が溜まっている。洗濯機は回したものの、干さずに放置して寝るなんてこともあるくらいだ。

それでもこんなことを続けていれば詰んでしまう。だから決めた。曜日に背負わせるのだ。金曜日の私に。
これを読んでくださっているあなたは、マザーグースの「月曜日のこどもたち」という歌をご存知だろうか。月曜日生まれは美人だとか木曜日生まれは遠くに行かなきゃとか、そういう占いめいた歌詞だ。
あんな風に、特定の曜日の自分に家事という辛い業を背負わせる。他の曜日は家事を放置して怠惰に過ごしていい。そう決めた。

そうして、最初の金曜日が来た。嫌だな、と思っていることでも今日はやらなくちゃいけない。お風呂の排水溝に詰まった髪の毛を取ったり、三角コーナーをゴシゴシしたり。トイレの床を拭いたり。「嫌でも今日はやれ!」と運命を受け入れて体を動かす。多分私の目は死んでいる。
結局、二時間もかからずにリストアップしていた家事は終わった。達成、解放、そんな快の感情でいっぱいだ。できれば台所の壁も掃除したかったが、まあ初日だし上出来だろう。

こうして金曜日には家事を少し頑張る習慣を始めた。他の曜日に自分を責めずにだらだらできる、プライスレスな日々。
だけど何かあるとこのペースはすぐに崩れてしまう。そこで手が濡れるのが嫌な点はビニール手袋を活用したり、掃除が終わったらおいしいものを食べに行く計画を立てたりしてなんとか自分を奮い立たせている。
これを書いている今日も金曜日。外は雨だ。何がなんでも水に濡れたくない私だけれど、雨に濡れるのは構わない。
「おいしいもの食べて、帰ってから家事しよう」
意気揚々と傘を開いて外に出た。

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