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400字ショートショート

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いつしか積み重なった泡のような。色違いの飴玉のような。ちょうど400文字の小さな世界です。(前書きと改行はカウントしていません)
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#掌編小説

400字ショートショート「夏の飴玉は」

ソーダの味がするらしい。何かって夏の飴玉のこと。実を言うとうちにもあるんだ。去年、茹であ…

須田真梅
1か月前
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400字ショートショート「月のフルーツパーラー」

下弦の月は角度によっては器になる。久しぶりの宇宙旅行で降り立った星には、その器を利用した…

須田真梅
1か月前
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400字ショートショート「芽吹き弾く人」

まえがき たらはかに(田原にか)さんが毎週ショートショートの投稿イベントを開催されていま…

須田真梅
1か月前
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400字ショートショート「夕焼け当番」

前書き 「我ら朝を撃つ」のアナザーストーリーです。この話だけ読んでも大丈夫かと思います。…

須田真梅
2か月前
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400字ショートショート「金曜夜のオレンジバウム」

週末に行くカフェがある。きっちりとベストを着込んだ男の人がやっているお店だ。 コーヒーは…

須田真梅
2か月前
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400字ショートショート「オリオンに恋した乙女」

宇宙には網が吊るしてあるのをご存知ですか。細い細い銀の糸で編んだものゆえ、そちらからは見…

須田真梅
2か月前
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400字ショートショート「天気の目次」

二階には私専用の本棚がある。リスのブックエンドに挟まれた、大好きな恋愛小説を入れておく場所。そこからシェイクスピアの本を全部取り出すと、とっておきの一冊が現れる。空模様を操れる魔法の本だ。 あまり使う機会がなかったそれを取り出してみる土曜日の朝。きっかけは大切な親友からの電話だった。 「どうしよう。初デートなのに雨みたい……」 彼女の長い片想いを私は知っている。絶対成功してほしくて開いたのは晴れの章。ページをめくった瞬間、雨雲は素早く街を去っていった。 「すごく楽しかった。