KOK勝手に応援企画2021年大会出場者紹介(3)~晋平太
はい。ということで、今回はMCバトルの中でも地方で行われている大きなMCバトルを紹介したいと思う。
ストリートカルチャーだからこそ
日本のHIPHOP史を語る中で、さんぴんキャンプそして、B-BOY PARK。こうしたストリート文化が必ずしも全国に広がっていかなかった経緯は少なからずある。
クラシックである「証言」にはもちろんTWIGYやYOU THE ROCK★といった地方の優れたMCたちが居たし、私が単純に知らないだけで地方のストリートに味のあるラッパーたちが多くいたことも事実ではある。
THA BLUE HERBに餓鬼レンジャー、大阪の韻踏合組合、横浜のOZROSAURUSに名古屋のTOKONA-X。とても個性豊かなラッパーたちが多くの名曲を残してきた一方で、アピールする場所は極めて狭い範囲に限られていた。
しかもだ。UMBの初代優勝者から見てみると、晋平太までの優勝者は関東圏内のMCに偏っていたことからも。まだまだ「全国にやばいやつがいる」という認識がまだ浸透していなかった部分も否めない。
2005 カルデラビスタ→千葉県柏市
2006 FORK→神奈川県横浜市
2007 GOCCI→茨城県水戸市
2008 般若→東京都世田谷区
2009 鎮座DOPENESS→東京都調布市
2010,11 晋平太→埼玉県狭山市(現在は東京都東村山市)
だが、その趨勢は確実に変わりつつあった。それが爆発したのが2012年のUMB。
2012UMB決勝は、当時大阪の超新星であったR-指定そして、宮崎の超新星であったMOL53(RAWAXXX)だった。
そこから戦極MCバトルを始めとしてMCバトルが活況を呈すようになり、R-指定の3連覇以降は以下の通りだ。
2015 CHICO CARLITO→沖縄県那覇市
2016 NAIKA MC→群馬県
2017 DOTAMA→栃木県佐野市
2018 MU-TON→福島県白河市
2019 Authority→青森県黒石市
2020 早雲→京都府
こうした大きく広がっていく一方で、地方からも盛り上げていこうという機運が高まってきた。
7月31日に行われた口喧嘩祭もまたそのようなイベントの一つである。
岐阜・柳ケ瀬で行われる東海地方の象徴
JET CITY PEOPLEと並んで二大巨頭となっている東海シーンを支えるHIKIGANE SOUNDが主催する口喧嘩祭は、かつて「東海地方のやばいやつを決める」大会だったのがHIKIGANE SOUNDの評判が高まるのと同時に全国から名だたるMCが集まる大会へと変貌を遂げつつある。
もちろん、2019年よりこの大会を制することによって、KOK出場が決まるからというのもあるのかもしれない。ただ、それだけHIKIGANE SOUNDというクルーが大きなリスペクトをもって迎えられているということに他ならない。
梵頭、裂固といった全国でも名の知れたMCを始めとして素晴らしいMCが在籍しているクルーは今年で活動10周年となる。それを記念したことを合わせても、フリースタイル好きならば誰もが知っているようなMCたちによる真剣勝負が繰り広げられた。
そして、その素晴らしい大会を優勝で締めくくった男こそ、晋平太だった。実は個人的に晋平太さんには思い入れがあるので、それはまた別の機会に。
晋平太
先程も説明したようにUMB2010,11のチャンピオンとして知られており、R-指定との2010年大会のバトルは現在に至るまで語り草となっている。
B-BOY PARK2005年大会優勝、またフリースタイルダンジョン初の制覇者としても知られている。2019年をもってMCバトルからは引退し、YouTuberとして活動する一方でバトル解説動画などで好評を得ていた。
彼自身の言動と行動から嫌われてしまう一面も無いわけでは無い。
漢さんとのLibraをめぐっての騒動に加え、温厚なことでも知られるSAMを怒らせた件もあった。口喧嘩祭の主催でもある梵頭さんと「公認」で喧嘩になった騒動もあった(なんでもお気に入りのタオルを引っ張ったことがきっかけだったらしい。梵頭さんのタオル引っ張るってすごいな)。SIMON JAPさんから逃げんじゃねえぞと宣戦布告されたこともあった。
と言っても、これらは全て解決していること。自らが誤解を与えてしまうことがわかっていたからこそ、逃げずに立ち向かう一面もあるのかもしれない。
また、彼のライミングスキルへの評価は現在に至るまで高く、口喧嘩祭でもそれは健在だったようだ。
FORKさんに続いてUMBチャンピオンがKOKに殴り込みという形になったが、果たして一体どんなドラマを作ってくれるのだろうか。
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