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伊藤大志「矜持」

箱根駅伝で何かとつけて注目をされてしまうのが早稲田大学。
解説の瀬古利彦さんと渡辺康幸さん、大迫傑選手といった当代きっての名選手が在籍していた大学でありまた解説を担当しているからなのかもしれない。

常に注目される。その中心選手であるならばなおさらだ。伊藤大志くんもまた、その臙脂の矜持を受け継ぐ。そういった選手になると個人的に確信しているのだ。


一皮むけ始めた「エース」

2年連続で山登りの5区を担当した伊藤くん。1年時こそ区間11位ではあったものの、2年時には区間6位と健闘。2月に行われた丸亀ハーフでは当時の「早稲田記録」にあと3秒と迫る1時間1分50秒と好走を見せ、すでにスピードとスタミナではエース格と言ってもいいレベルにある。

駅伝シーズンに入っても出雲駅伝1区区間4位、全日本大学駅伝7区区間6位と安定感を見せており、早稲田の中心選手の中では欠かすことができない存在になりつつある。

とはいえ、出雲では総合6位に終わり全日本は足並みがそろわずに総合10位でシード権を落とす形となってしまった。伊藤くんも全日本大学駅伝のレースを振り返りこのように悔しがる。

コンディションが悪い中でも平林(清澄、国学院大)や芽吹先輩(鈴木芽吹、駒大)は51分台で走れている。そういった選手と比較すると、他チームのエース格とは勝負にもなっていないと思います。

http://wasedasports.com/news/20231107_215247/

目指しているのは「上」。ただ安定しているだけではエースにはなれない。この強い向上心を感じるのだ。

「このままでは終われない」

このままで終わるわけにはいかないです。必ず立て直して、箱根ではゲームチェンジャーとなる走りを必ずします。

http://wasedasports.com/news/20231107_215247/

悔しさを押し殺して語るコメントは、すでに早稲田を背負う責任もしょって立っていることが伺える。それもそのはずだ。来年彼は、長距離部門の主将としての責務も待っている。

だからこそ全日本大学駅伝での「ゲームチェンジャーがいない」という発言にもつながり、自らがそうなると宣言をしたのだろう。一方で、それを分かっているからこそ花田勝彦監督も日ごろから強い選手たちには競争意識を持たせているようだ。

「伊藤、石塚、山口には、エースになるように、という意識で、3人をセットで練習させていた」

https://4years.asahi.com/article/15022729

その期待通りの走りまでには、もう一歩と言うところまで来ている。そしてそうして日ごろから切磋琢磨しているからこそ、より自分が走りで見せるんだという強い意志を伊藤くんからは感じる。

高校時代には名門の佐久長聖高校の主将として戦ってきた彼だからこそ、臙脂のユニフォームに誰よりも矜持を持ち、そして責任を持って戦える。花田監督もそういったつもりで彼を箱根路へと送り出すことだろう。

「しっかりとインパクトのある走りをしないと、エースと呼ばれないな、と思っています。トラックシーズンで勝ち切れなかった分、駅伝ではインパクトのある走りを目指していきたいです」

https://4years.asahi.com/article/15022729

次期エースとして名乗りを上げるためにも、3度目の箱根路はインパクトある走りが求められる。数年後には早稲田が来ると言われただけのチームの中で、彼はどれだけ衝撃を残せるだろうか。

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