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箱根駅伝コース概要「9区」

さあ、花の2区の裏返し区間である「松の9区」。行ってみよう!

■コースの特徴

23.1kmの長丁場となる松の9区は、各校のキャプテンないし準エースクラスが集うことが多い。
前半は権太坂等の下り主体、後半の保土ヶ谷駅以降はほぼ平坦なレイアウトだが、長い区間なのできっちりとしたペース配分が必要となる。
とはいうものの、近年ではどちらかと言えば後者の「ペース配分」を重視する大学が多く、長い距離を単独で走り切る能力を持った選手たちの起用が圧倒的に多い。駒澤大学が2000年代の黄金時代には9区に力のあるランナーを配置してここで逆転・勝利を決めるというケースが多くあった。

復路の鶴見中継所は全中継所中最も繰り上げスタートが発生しやすい。さらには手前が他の中継所と異なり引き込み口からリレーゾーンまで約160メートルの直線がある。この為、9区のランナーの目の前で10区のランナーが繰り上げスタートしてしまいタスキをつなぐことができず涙する光景が幾度も見られる。

■97回箱根駅伝では何が起こったか

前回9区区間6位の成績を収めている創価大の石津佳晃さんが、区間記録まであと13秒に迫る歴代4位のタイムで快走。
鶴見中継所をトップでタスキを渡した。駒澤大学の山野力くんは区間6位に留まり、創価大学との差が3分19秒に大きく広がってしまった。
中位争いでは、青山学院大学の飯田貴之くんが区間2位の好走で4位に浮上した。

シード権争いは、権太坂で國學院大・早大・帝京大の8位集団が形成された後、國學院大・高嶌凌也さんが脱落。また、高嶌さんは18km過ぎで11位の明治大学・富田峻平くんに一度は追いつかれるが、20km手前で再度突き放し、前を行く東京国際大学を捉えて9位でタスキを渡した。

10位と11位の差は僅か38秒。8位順天堂大学まで広げても2分以内の差で最終10区を迎えることになった。
11位で襷を受けた神奈川大学の高橋銀河くんは区間最下位に沈み、15位まで転落した。

順位は以下の通り。

通過順位

1.創価大学
2.駒澤大学
3.東洋大学
4.青山学院大学
5.東海大学
6.帝京大学
7.早稲田大学
8.順天堂大学
9.國學院大學
10.東京国際大学
11.明治大学
12.中央大学
13.城西大学
14.日本体育大学
15.神奈川大学
16.拓殖大学
17.法政大学
18.国士舘大学
19.山梨学院大学
20.専修大学

■97回箱根駅伝区間賞

石津佳晃(創価大学/4年生)1時間8分14秒

自身最後の大会として臨んだ今大会で区間新記録に迫るレースを見せたのは印象的だった。前回大会で区間6位と好走を見せたその体験も相まって、駒澤大学を一気に突き放して初優勝まであと一歩というところまで手繰り寄せたのは石津さんの好走があってこそだろう。この大会を最後に競技引退し、現在は一般企業に勤めている石津さん。
とても印象深いレースとなったはずだ。

■区間記録保持者/日本人最高記録保持者

篠藤淳(中央学院大学/2008年)1時間08分01秒

往路最古の記録が佐藤悠基選手の1区ならば、復路最古の記録こそ2008年に記録した篠藤さんのこの記録となる。
中央学院大学時代は、1学年下の木原真佐人さんとエースとして活躍。2008年には中央学院大学史上最高順位となる3位に大きく貢献した。在学中より3000メートル障害の選手として日本トップクラスであった篠藤さんは、かつて絶対王者であった岩水嘉孝さんを日本選手権で破り優勝。山陽特殊製鋼に就職後も3000メートル障害の第一人者として活躍。
2021年限りで現役を退き、現在も同社でコーチを務めている。

さあ、大手町が見えてきた!

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