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金栗四三杯は妥当だったのかどうか

本当に三週間前にやっていたとは思えないほど時間がたってしまったが、今回の箱根駅伝は「青学の圧勝」だった。ただこれは、原監督が大勝負として2区の黒田くんと3区の太田くんで仕掛けるという「賭け」に成功したと言ってもいい。

何より3区の太田くんは日本人記録を大幅に更新する激走を見せて青学を優勝に導いた(もちろんどの区間の選手たちも素晴らしい走りをしていたことはここに付け加えたい)。

さて、その中で少しだけ話題になったのは箱根駅伝のMVPである金栗四三杯の受賞者について、今日は少しだけ話したい。

太田くんか?山本くんか?

レースの趨勢を決めたのは太田蒼生くんであったことは間違いない。しかし、MVPに選ばれたのは5区で区間新記録を樹立し区間賞を獲得した「山の妖精」こと山本唯翔くんだった。

レースの流れと状況からかんがみるに、山本くんの城西大学は優勝争いに絡むことが無かった。一方で太田くんは駒澤大学との鍔迫り合いを制して首位に躍り出る激走を見せた。その後、青山学院は追い付かれることもなく圧勝して見せた。

ここだけを切り取ると、今大会のMVPは太田くんでも何ら不思議ではない。むしろなぜ山本くんだったのか、ということになるわけだ。

そこで今回は箱根駅伝の歴代MVP受賞者を見て行き、そこから傾向と対策を見てみたい。

歴代受賞者の一覧を見てみよう


この表から見るに歴代でMVPを取った選手は各々区間新記録を樹立しての受賞であることは明白だ。区間新記録を更新していても歴代1位ではなく2位であれば授賞理由にならないこともここから見てわかるとおりである。

神野大地選手と今井正人選手の「区間賞」という項目は、区間距離の変更なども理由にあるため、ここでは「区間新記録」とは取り扱わないが、実質区間記録更新として取り扱う。

では、各区間の区間記録更新以外での理由にはいったい何があったのだろうか。

では受賞に至った理由とは?

ここで、歴代の受賞者の金栗四三杯受賞者の理由を見て行こう。

ここから見るに、以下の3つが受賞の理由として考えられる。

  • 区間記録の更新

  • それ以外の顕著な実績

  • 優勝に貢献するほどの結果

この3つの中で2つの条件を満たしていることが最低条件となる。

この時に太田くんが受賞を逃したのは以下の前者の「区間記録の更新かそれ以外の顕著な実績」を残していない事、また山本くんが記録した「5区区間記録更新および、大学史上最高位に貢献した」という2つの要素が重なり合ったこと。

つまり、2つの条件を満たしていたことが印象として良かったのだろう。例えばだが太田くんがヴィンセント選手の区間記録を更新し、その上で総合優勝に貢献していれば……。

山本くんとの複数の受賞と相成ったのではないだろうか。

まとめ

これが個人的な私見になる。だが、だからと言って「太田くんに受賞資格がない」と言いたいわけではない。ただ山本くんの受賞は極めて妥当だったという事だけである。

例えば、どの区間でも区間記録を樹立することなく青学が優勝していれば太田くんが受賞していた可能性は大いにある。もちろんそういうものだと割り切って授賞理由を妥当だという私のような人ばかりではなく、やはり優勝校から出すのがいいのでは?

と考える人がいても決して驚かない。

ただ、あえて見たいというならばだが、太田くんが3区で58分台を出して青学圧勝でMVP受賞。そういう世界線を見てみたい自分もいるのだ。

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